279+やる気元気、根気良く。
二学期中間考査二日目ですが見事に沈没しました俺です、ユウヤです。
とりあえず一言言わせて下さい――知らねぇよ英語とか!!!!
カイト君なんであんなの得意なのかなっ! 本当何言ってんのかさっぱりだよ! 俺絶対英語検定とか取らない、外国なんて英語圏になんか行ってやらないんだからー!!
とまぁとある一教科がズタボロだったんだけどだからってめげないよ俺、最終日がある、少しくらい頑張るよう。ミノルちゃんだって“経過が大事”って言ってたもん! 結果がどうであろうが経過だよ皆っ! 数学は苦手教科の中で一番得意――下の上くらいかな――だからどうか平均点十点下くらいでお願いします。――目標が低いとか思った奴俺の前に出ろ。
「――と、思ったものの」
夕食を終えたリビングにて。
アサキは上でゲームやって――勉強? 絶対無い――んだか知らないけど一人ですが、一人=一切合切理解が出来ないよ!
ううん、ええと、AとBとに一緒なのが? 和集合? え、此れが、……え?
比較的簡単な場所ですね、なんてハヤサカ先生が言ってた気もするけど、ごめん先生、ある意味期待を裏切らなくて。
「うん、聞いた方が早い」
一時間くらい前に気付いてたんだけどどうもやる気が起きなかった俺は机上に散らばった教科書類を放置して、ノートとシャーペン片手に二階へ向かうことにした。アサ君求め三千里ー――とか言ってたら部屋の前、まぁ階段上るだけだしね。
「あ、さ、くーん、勉強おっしえてー!」
そんな意気揚々――別名空回りなテンションでばたーん、と部屋に入る俺。――そして其処でしでかしたことに気付く訳だ。
「――……ん」
「あ」
アサ君、寝てた。そして起こした。
「………………」
「ご、ごめんアサキ寝てた!? まだ九時回ってないけど寝てたよね……!?」
がっつり毛布被ってるのと長い沈黙で一目瞭然だ……! やべぇよ怒られるよ……! 俺はとりあえず下手に出る準備を二秒で整える、やべぇ慣れてる。
けれど普段なら、
『うぜぇんだよ消えろカス』
最低でも此れくらい飛んで来ても良いはずなのになかなか言葉が飛んで来ない。起き上がってるから二度寝は無いだろうし……ん?
「ん」
「……ん?」
何だ其の手は、アサ君が手を差し出してきているんだが。
「……あれ? 勉強教えろって言ってなかった……?」
「え、言ったよ?」
「じゃあ早く貸せよ」
「ほわい。――えぇ! 教えてくれるの!?」
「……え、教えて貰えると思った確率そんな低い訳?」
だって寝起きでしょ!? ――寝起きのアサキがそんなに優しい訳無い!
「あ、あの、マジに教えてくれる?」
「いいなら寝ますけど」
「ありがとうございまーす!」
結局アサ君の機嫌が下降することは無く、無事分からない箇所数十を教えて貰えた訳だけど。
「あんがとーねアサ君」
「相変わらず馬鹿だな」
「うん、やっぱり酷いね」
自分から勉強する気のある奴には優しいよ僕、と無表情で言った弟に矛盾を感じながらも、頭が良い弟って良いなぁと思ったのは此れで何度目だろうか、なんて考えた。上も下も頭良いのに俺って一体何なんだ。
まぁでも、適度に頑張りましょうか、えいえいおー。