270+何のオチも無い雨降りの日。
ユウヤでっす! 昨日までの暑さが嘘みたいに超涼しい! やっとのことで夏も終わったかなぁ……とか思ってると明日辺りからまた暑くなったりするんだよね、ははっ。
とまぁそんなことはさておき。今日の夕飯は何にしようかなぁ、と食卓机に座って思考している訳ですが。まぁ最早日常の一ページだけど。ついでに言えばソファは我が弟に占領されています、まぁ此れも毎回のことかな! 何時起きるかは分からないけど、夕ご飯時には起きるだろうし今は寝かしておく訳だよ。
「ぬー……」
昨日は何にしたっけ、ええと、カレーか。んで一昨日が? ……肉炒めか。其の前が確か麻婆豆腐でアサ君に『辛ぇよ死ね』って言われて、少し前にはロールキャベツ作って満足げにされたっけ。そんであとはカレーとシチューが並んでうああってなったんだけど文句言われなくて、其れで調子こいてまたカレーにしたのにやっぱりツッコまれなくて暫く毎日カレーにしたのに何も言われずとうとう俺が飽きて――こう考えるとうちってカレー率高いな、……いや、アサキが文句言わないから良いんだ、二人って一回じゃ使い終わらないんだもん。それに俺が気付かないんだよ並んでるのとか、毎日のローテーションとか直ぐ忘れるから。
そう考えるとうちの弟は作る側からすればある意味楽だよね、文句言わないんだもの。でも逆に言えば『何食べたい?』『何でも良い』の会話率八十パーセントだから……まぁ何とも言えないよね。
ジリリリリ...
「何で黒電話?」
其の音で携帯が鳴ってるのは分かったんだけど何で黒電話なの、――って俺の携帯だし! 俺の携帯ちゃんと着うたにしてたはずなんだけ――あーら俺の携帯アサ君の目の前にあるお前か。
アサ君がそんな茶目っ気を出してるのは微笑ましいので良いとして、しかし目の前にある携帯=起こしてしまう=理不尽だけど怒られるの方程式を成り立たせない為にも早う出ることにする。……前もこんなこと無かったっけ?
おや、相手は愛しのアスカでは無いか、此れはワンコールで出るしかねぇぜ!
「もっしもーし!」
「五月蠅い」
やべぇ結局起こした。
けれど今は気にしないで、と。電話口から聞こえた苦笑に耳を傾けた。
『ふふっ、今日も元気ですね』
「勿の論でごぜーますよアスカ、俺が元気じゃない時なんてアスカとモモちゃんにお化け屋敷に連れ込まれた時くらいだし!!」
『未だ根に持ってるんですか其れ、ていうかユウヤが自分で入ってくれたんですよ?』
「いや、アレは絶対に無言の圧力があったよ二人して」
とか初っ端から話題が逸れたので修正修正。
「んで、どうしたの?」
『ええ、あ、今大丈夫ですか? そう長い話では無いんですが』
「大丈夫か駄目かと聞かれたら大丈夫じゃないと答えるけどもアスカなら大丈夫だよ」
何故ならアサ君のさじ加減だからさ☆ ――ほーれアスカだって口にしたら何だよじゃあ許す、みたいな態度で一回起き上がったのにまた寝ちゃったよ、何此のアスカだけのVIP対応、少し分けて下さい……!
『ふふっ、なら大丈夫ですね』
「大丈夫だよー、ちっくしょう君達何で仲良いのかなねぇ」
『ええと、手短に言いますね。――迎えに来て貰えません?』
「――ふぁい?」
一体何のことやら。面倒だから今日はシチューにしようとキッチンに向かいながら、俺はつい情けない声を上げてしまった。
『いや、外雨降ってるじゃないですか』
「うん、そうだね、お陰で家の中に干した洗濯物が乾かないし部屋ん中ムシムシするし――ってうちの話は良いね、其れでどうして?」
『実は――』
アスカの話によると、明日学校で休みたくない授業みたいのがあるらしくって、今出掛けた先に居るんだけど家にも誰も居ないし雨降ってるし傘持ってないしそのまま帰ったら確実に死ぬとかなんとか――其の授業とやらの話の時点で理解が追いつかなくなった俺は携帯をアサ君に渡して説明してもらって其れを理解した。え、変な横文字とか漢字の羅列とかががアスカの口から発せられたんだけど何其れ美味しいの、つーか私立の学校って何そんな難しそうな授業あるの俺死ぬんだけど。(※偏見です)
『手数掛かること頼んでるのは分かってるんですが、頼れるのがユウヤしか居なくて……』
「まっかせてよ! 迎え行く行く! 場所教えて?」
だって折角頼ってくれたんだし、俺みたいな馬鹿が休むなら未だしも出席日数だけでやばいアスカが休むのは別格だよ! ご飯遅くなることについては……うん、大丈夫だよね、うん。
「――りょーかい、それじゃ行くね!」
そんな遠くない場所だし、直ぐ帰って来れるけれども。とりあえず起きたてのアサ君に一言言っておこう。
「って訳で、アスカに傘届けてきたいんだけど」
「らっしゃい」
いっては何処に行ったんだ。
「ご飯遅くなるけど良いかな?」
「早よ行けド阿呆」
そして理不尽に怒られたよどうしようか、普通寝起きの子って可愛かったりするんだけど何故かうちの暴君滅茶苦茶小憎たらしい……! まぁ何時ものことだけどね。
まぁアサキがそういうなら、と俺はちょいと着替えて雨降りの中へと向かって行った。
うーん、酷い雨だ、雷が鳴らない内に帰ってこーよおっと。