269+○○な秋!
「ねぇねぇアサ君」
「何」
「昨日ってさぁ、なんかあった?」
久しぶりの部活、珍しく居るハヤ先輩は既に生徒会長の机に臥して寝てしまっているけど、あとの皆は居るみたい。っていうか本当はハヤ先輩が暫くくたばってて出来なかった文化祭の片付けにやって来ただけなんだけど、ユウヤです!
がっつり視線がゲームに行ってるアサ君に俺がそんな質問をすれば、
「ゲームの発売日だったくらいだけど」
なんてどうでも良い話が帰って来た、そうだね、今やってるもんね!
「そうじゃなくてさ、なんか昨日花火鳴ってなかった?」
「朝のことなんて知らん」
「そうだよね朝っぱらからゲーム買いに行っちゃったもんね」
そういう時しか早起きしないんだから此の子は!!
聞いた俺が間違いだった、なんて溜息までもついていじけかけていたら、其れに気付いたカイト君が読んでた漫画から視線をこっちに向けてくれて。
「あー、アレじゃね? 小学校の運動会」
「運動会?」
……そうか、そんな時期だったか。中学から体育祭になって夏休み前にやっちゃうもんだから忘れてたよ。
そっか、最近になってやっと涼しくなってきたもんだから、秋が来てたのを忘れてたよ。秋、秋、……秋か……。
「よし、今日は栗ご飯にしよう」
「おい主夫」
良いじゃんか、食欲の秋なんだから栗ご飯食べたいよ。カイト君が苦笑するけど、俺の決心は揺らがないんだからねっ!
「食欲の秋だもんねぇ」
「そうそう! さっすがゼン君分かってるー!」
「そう考えるとゼン君は文化の秋かな、本ばっか読んでるし」
漫画だけどね。
「カイト君は?」
「俺も文化だろ、毎日ネットに飛んで文章ばっか読んでるわ」
うん、それは2●ゃんとかだよね、文化とか言ってるけど。
秋、といえば、文化の秋と食欲の秋と……あり、他に何かあったかな? まぁあったとしても俺達には関係無いよね、あははっ!
「食欲の秋……大敵ね……」
「確かに。乙女の敵よ」
「え、リョウちゃんとフウカ先輩って乙女座?」
「そういう意味じゃないわよ馬鹿! ……乙女座だけど!!」
どっちなのリョウちゃん。
「美味しいものが多い時期は太りやすいわ、ってこと、ユウヤ君」
「あー、そういう」
男でも気にする人は居るらしいけど、生憎俺の周りは馬鹿食いするか太りたくないとか知らないけど全然食わないかの二択だしな、ダイエット? 何其れ美味しい?
「でも、美味いもんは美味い時に食いたいだけ食うもんじゃねぇの?」
「食べたいけど太るのなんて絶対嫌よ、今運動なんてまともにしてないのに……」
「リョウコは痩せてんじゃん」
「なっ――脱いだら凄いんだからね!?」
リョウちゃんカイト君相手に何口走っちゃってんの、台詞が際どいよ。
「大丈夫、リョウコはそのままで充分可愛い」
「うう……でも痩せたい……」
ダイエットって、女の子の永遠の悩みなんだなぁ、と理解した俺だった。好きな人が居るとかそういうの関係無いらしいけど、……うーん、ダイエットなんて必要には見えないけどなぁ。
「ハヤー、起きれー」
「……変な起こし方をするな」
「起きろー」
「はいはい」
「あ、ハヤ先輩は芸術の秋か」
「はい?」
さっきはあんなこと考えたけど、ハヤ先輩はゲームをちゃんと(※重要)クリエイトしてる訳だからね。うんうん、――俺はそんな調子で頷いたけど、寝起きのハヤ先輩は一体何のこっちゃ分からないとでも言わんばかりにキョトンとしていた。
「ま、うちじゃあハヤだけだわな」
「うんうん」
「いや、だから何の話だ……?」
「サチトも食欲だよなぁ、うちの部活ってもう何なんだ」
「あっはっは、其れを言ったらおしまいだぜ、ワタヌキ君」
「……?」
まぁ、楽しければ俺は其れでいーや! ちなみに此の後ハヤ先輩にはちゃんと話の流れをお伝えしました、以上。