268+自由過ぎる文化祭終了。
「あははっ、楽しかったねー! 俺結構持ってかれたけど」
ユウヤは楽しそうに言い、僕からすれば洒落にならない金銭の話をしている、相変わらずアサキですが。
「其れにしても、相変わらず凄かったなぁ、マヒルさん」
「確かに凄かったっす! ボクは何喋ってるか全く理解出来なかったっすけど!」
カイトもそんな感嘆の声を上げているが、フドウは一切理解が行き届いていないらしく何かもう案の定過ぎんだよ。
結局、あの例のムカつく先輩はあること無いことウミさんに責めに責められ、最終的には『もう、持ってて下さいまし』だなんて畏まっていた。説明もまともに頭に入らなかっただろうにウミさんの笑顔拷問なんて最悪だよ、だからせめてもの慈悲を授けて僕は殴らないでおいた、やっさしー。
兄貴等は文化祭終了時間まで自分等の母校を巡るとか何とかで離脱、ちなみに豪華な景品は消去法でセツさんのものになりました。皆他のを持ってたり、使わなかったりするんだよね。
部活の片付けがあるとか何とかでフドウが離脱してから。
「はってさて、そういえば運良くも揃ってんねぇ」
もう数時間もすれば終わりという文化祭――僕等どんだけクイズしてたんだか――の中、後頭部にて手を組むゼン君がそう呟いた。
「え、何が?」
「部活の一年男子ってとこ?」
別名カトウを抜いた一年四人、少ないって神秘だ。
「いやぁさ、今年はサチト達が頗る忙しかったから何にも出来なかったけど、来年くらいで何かしたいなぁってね?」
「GC部で何するの」
「生徒会としてで良いじゃん、大規模に出来るよ」
嫌だよ目立つのとか、つーか生徒会入るなんて未だ言ってないし。
「今あっ君が考えたこと当ててあげよっか」
「やめて下さいエスパーでもないのに」
にっこにこの笑顔なゼン君は「いーじゃんいーじゃん、暫くはハヤ先輩とかサチトがやってくれんだから」なんて気楽そうなことを言ってくれる。確かに部活決めた時から覚悟は決めてたけども、本当にやるのはやはり怠いってものだ、今回手伝ってみて思ったし。
「ま、俺はどっちでも良いけどなー」
「え、じゃあカイト君が副会長やれば?」
「だが断る」
どっちだお前。
「まぁ其処ら辺は面倒だし、ゼンに任しときゃ良いんじゃね?」
「「賛成」」
「嗚呼もうご本人に駄々漏れで話す癖やめない? ゼン君びっくりしちゃうからさ」
面倒事は嫌いだけど、こうやって馬鹿やるのは嫌いじゃないから、やめるつもりは毛頭無い。他はもっと怠そうだし、何より本当の他人なんかと今更、仲良しこよししたいと思う訳が無い訳だから。
前を歩く二組の三馬鹿を見遣りつつ、己の感受性が幾分豊かになってきていることに呆れる――といっても、未だ顔には出ないけど――。
けどまぁ、其れも良いか、なんて思えるようになったのは、きっと――。