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261+衝撃の事実。


「――では、本日の授業は終わります、号令」


 ――はっ! 授業終わってやがる……! 何ということだ、よりにもよって数学の授業で寝ちまってたぜ……! なユウヤです。ハヤサカ先生の授業で初っ端寝るとか、俺良く怒られなかったなぁ。


「ユウヤ、お前やるな」


「え?」


 此方も久しぶりなカイト君、のんびりとした口調ながら何とも楽しそうに俺に言った。


「ハヤサカの授業で寝るとか奇跡に近いだろ」


「そんなこと無いよ! アサ君だって寝てるし!」


「其処はとっくにダークホースだからツッコまんぞ俺」


 そうなのか、うちの弟何なんだ。先生はすんごい無表情で俺を見遣って『兄弟揃って寝てくれまして』とか言ってたらしいんだけどまぁ其の話はさておき。



「んでさ、さっきハヤサカがポロッと漏らしてたんだが」


「ん? 俺的にはハヤサカ先生呼び捨ててるカイト君の方が勇者な気ィするけどどうしたの?」


「いや、うちの学校の文化祭、来週らしいんだが――」


 え、そうなの? うわぁ楽しみだなぁ!


「――ほのちゃん、そんな話してたっけか?」


「……あれ?」


 ええと、……一週間だよね、あと一週間後までにうちのクラスも準備するんだよね? ……そういうのって、普通は夏休み中とかにやるんじゃ……ないの?


「俺、さっきアサキとシギに聞いて来たんだけどよ、一組はテナの奴が実行委員だってんで張り切って進めてるらしいぜ?」


「ふぇー、カイト君は相変わらず直ぐに誰でも呼び捨てだよね」


 まぁ良いとして。

 隣のクラスはそうやって進めてるのに、俺達のクラスはさっき文化祭のことを知った――となると、考えられるのはひとつ。


「カイト君」


「あん?」


「――職員室、行こうか」


「奇遇だな、俺も同じことを考えていた」










「「ほのちゃん(先生)!!」」


「――ウタカタ先生なら資料整理に出てますが?」


 絶対あの人が忘れてるんだよ絶対!! ということで昼休みとなった今――結局昼食食ってから来ました――、カイト君と二人で職員室に乗り込みに来た。其れじゃなくても時間無いっぽいしね! 膳は急げ、だよ! しかし其処にほのちゃんは居なくて、代わりに居たハヤサカ先生がそう教えてくれた。


「ヒコク君、先はよく眠っていたようですが?」


「うああっ! ごめんなさい今後気をつけます!」


「ユウヤ、今はそうじゃなくて!!」


 そうだった、話を戻そう。


「ほのちゃん何処ですか!?」


「資料整理って言ってましたから、普通に資料室じゃないですか?」


「そ、其れって何処……?」


 うわあ視線で呆れられたごめんなさい。ハヤサカ先生はひとつ溜息をついてから、掛けている眼鏡を気取ることなく中指で押し上げて――気取らないやり方って難しいね――から首を傾げる。勿論訝しげに。


「そう急がずとも良いんじゃないんですか? もう授業も始まりますよ」


「そうは言ってらんないよっ、先生! うちのクラス文化祭の出し物決まってないんだから!」


「未だ決めてないんですか? 実行委員は何をもたもたして――」


「「話されてないんだよ! ほのちゃん(先生)から!!!!」」



「――はい?」


 此処でやっと、ハヤサカ先生の視線が真面目になった。何時も他人に関わりたがらないような目をしてるけど、こういう時は一番頼りになる気もする。幾ら子供嫌いでも、流石は先生って感じ。


「え、あの、……夏休み前に、話されませんでした……?」


「全然されて無いよ! 寧ろさっき知ったんだから!!」


「企画書提出は今日までですが」


「何だって!? 何も決めてねぇのにかよ!!」


「……貴女って人は!!!!」


 ハヤサカ先生はとりあえず叫んでいた、ギリギリ敬語だけど。……ハヤサカ先生の中にほのちゃんに対する尊敬はどれくらい残っているのかちょっと興味あるな。


「先生、どうしよう」


「僕は貴方方の担任じゃあ無いというのに何故こんなにも頭を悩まされなきゃいけないんですか嗚呼そうだウタカタさんの所為だ」


 先生は一人でぶつぶつ言っていたけど、生憎俺には聞き取れなかった。


「――分かりました、僕に任せろ、なんて驕りはしませんが、尽力しましょう」


 暫くすれば先生はそう言って立ち上がった。毎度のことながら、こういう時のハヤサカ先生マジぱないくらいイケメンだよね。

 現段階では何の解決もしてないんだけど、何だか俺的には解決した心境だったので、そのまま職員室を後にしましたとさ。
















「――はーい皆~、授業始めるよ~」


「……あり、今日はほのちゃん授業無いよ?」


「ふふっ、そうなんだけどね? 文化祭の予定全く決めてなかったことがハヤサカ君にバレちゃって、午後の授業ぶち抜かれちゃった。ていうか私が忘れてたんだけど、怒られちゃった」


 ゼン君の物言いにほのちゃんはそう言う。どうやらハヤサカ先生、午後の授業全部ほのちゃんの授業にしてくれたらしい。そんなことしたら色々と授業にズレが生じてち大変だろうに――まぁ、あの先生に限って其れは無いか、流石だよ、ハヤサカ先生。


「ってことで現国と英語は振替ね、今日は文化祭のこと今から決めるよ~?」


「先生、文化祭って何時なんです?」


「ん? 来週だよ」



『来週!?』




 此処で始めて、クラスに事情が伝わったのであった。ありがとう、ハヤサカ先生。




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