255+サバイバル的なこの状況。
「うおおおおっ! 肉っ!」
「肉ばっかり食べてないでちゃんと野菜食えよユウヤ!!」
「そういうお姉もね」
こんにちは、今日も暑いなー、マヒルだ。
前日にユウリが言ってたように、今日は真昼間の此の糞暑い時間にバーベキューをしている。さっきまで近くの河原でバトルロワイヤルしてたはずの二人は未だ元気で流石に兄ちゃんびっくりだぜ。鉄板の前で再びバトロワを繰り広げている二人、……そんなに急がなくたって減らんぞ。
「アサキお兄食べないの?」
「暑いから要らない」
暑いからこそ食うんだろ? とは思うものの、ユウヤ達が騒いでいた間も延々と休憩していたはずなのに、一番疲れている弟には何も言えなかったんだが。確かに暑いよな、避暑に来てるようなモンなはずなのに無意味ってどうよ、今年の夏は意味が分からねぇ。
「アサ君食べなきゃぶっ倒れるよ!!」
「そうだぞアサキ! 肉を食え肉を!!」
「だからお姉は野菜を食べなよ。……ねえアサキお兄、せめて野菜とかだけでも食べられない? 本当に倒れちゃうよ? 俺取ろうか?」
「……」
……うん、オトワ様様だな。普段は絶対に頑なに拒否るであろうが、健気な従弟の言葉を無碍には出来ないようだ。オトワは気持ち楽しそうにいそいそと野菜を集め出して小皿に盛り、ついでにユウリの皿にもピーマンを乗っけていた、……出来た弟だ。
ちなみに俺はもう食った、水上戦バトロワがなかなか終わらないものだから先食った、だって俺が全部やってたのにあいつ等来ねぇんだもんバカヤロウ。
「ぎゃ、ピーマンが!」
「食べなよ、高校生でしょ?」
「其れと此れとは別なんだよオト……!」
どっちが年上なんだか。
暫くもくもくと租借に励んでいた餓鬼共だが。
「――あり、そういやママ達は?」
俺にしてみれば今更過ぎる一言を吐きやがった。
「そういや居ないね、何処行ったんだろ? アサ君知ってる?」
「マヒルが知ってる」
其れを知ってんならお前も知ってんだろうが。相変わらず野菜をもぐもぐと食ってるアサキを一瞥してから、俺は頭を掻きながら大分前に親共が去っていった方向に目をやった。
「何でも買っておくものがあるんだとよ、飯は食ったから買い物して直で家帰るとよ」
「「ふーん」」
先程まで死闘を繰り広げていた二人の気の無い相槌を見てから、俺はひとつ溜息をついた。
「よーっし! 腹ごしらえも済んだし、再び河原へごう!!」
「よっしゃあ! オトも行くか?」
「……行く、アサキお兄も行こう?」
「え、でも、片付けあるよ」
「俺がやっとくから、たまには行って来い」
寧ろアサキの口から片付けって言葉が出て来たことに俺は驚いたが、此処は素直に遊びに行かせよう。だって普段行かねぇもん、こういう時に少しは動かさないと……!
川に落ちるなよー、なんて。
あって無いような注意をして、俺は餓鬼共の様子を伺いながら機材の片付けに取り組んだ。