249+或る晴れた日のこと。
アサキです。
全力で外に出たくなかったんだけれど、先月発売の漫画やらゲームやらを買いに行かない訳にはいかないので久しぶりに外に出た。滅茶苦茶暑い。
さっさと帰ってクーラーの部屋に篭りたい、嗚呼もう溶ける。
「ただいま」
一分一秒を争う炎天下の中に何時間も居たら昼を過ぎてしまった。午前中に帰って来る予定だったんだけど。
「おっかえりーあーくーん、遅かったねー」
「うん。……何で廊下に居るのお前」
何故かユウヤがクソ暑い廊下に居た。……リビングに居るものだと。何かしてる訳でも無さそうだけどこんなところで何してんの。
「今電話してたんだよ」
携帯でしろよ。其れかリビングの子機でしろよ。
「誰と?」
「ユウリ」
「うっわ懐かし」
「其れ言ったら怒られるよ?」
苦笑しつつそう言われたけど、もう一年近く会ってないんだから仕方ないと思う。一年もあったらそりゃ忘れるって。
「帰郷の話?」
「そうそっ、――延々に楽しみだっていう話をされた」
ホント女版ユウヤって感じだよ、ユウリって。
とか何とか話しながらリビングに入って、物凄く素敵な温度差に悦る。嗚呼、極楽極楽。
「そういえば父さんは? 居ないことに違和感感じ忘れてたんだけど」
一年の内で半年も家に居ないもんだから忘れてたんだけど、あの人確か帰って来てたよね……? 何処?
「父さんなら部屋に篭ってるよー」
何でだよ。
「久しぶりに本読み出したら止まらなくなったっぽい」
ホント何なんだあの人。
話は戻って。
「何かね、皆でキャンプする予定なんだって」
「其れは全く聞き覚えのない予定だな」
もう山とかは絶対行かないからな、山ん中彷徨うとか懲り懲りだからな。
「大丈夫だよアサ君、川だから」
「まあどうでも良いけどね、僕興味無いし」
「其れでユウリが、『キャンプと言えば、やっぱ肝試しだよね!』とか言ってたからちょっとだけ殺意が沸いた」
「落ち着け、電話越しの人間は殺められないから」
お前に殺意を抱かせるなんて、ホラー系ってある意味凄いな。
「まあでも、オトワが怖いのとか苦手らしいからやらないとは思うけどね」
「嗚呼、そういえばあいつ苦手なんだっけ。毎回思うけど意外過ぎる」
幽霊役とか凄く得意そうなのにな。
話を聞くところ、後はただの世間話だったらしい、良かった、僕が其の電話出なくて。
「でもそっかー、あと二週間後くらいには行くんだよね、あっちは結構涼しいから楽しみだなー」
「まあね、……でもユウヤ」
「ん?」
「――お前はとっとと宿題やれ」
「はい」
先終わらせないと、後が辛いぞお前の場合。