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248+優柔不断ガールズ。


「ねえミノちゃん、テナはこっちが良いと思うんだけど……」


「やはりそうか? 私も其方が良いと思った。……のだが」


「やっぱり!? ミノちゃんも此処気になったよね!? そうするとこっちだと思うの! いや、総計するとこっちなんだよ!? でも――」




「ねぇ、未だ……?」



「「もうちょっと」」



 何時まで選んでるのよ此の二人は……!

 リョウコです、家が近いって訳じゃないから毎日って訳にはいかないけど、最近はミノルとテナとよくこうやって近くのショッピングモールをうろつくことが多いです、だって涼しいし。


「あー、やっぱりテナはこっちにする! 総計的に見た此のビジュアルにテナは魅入られたーッ!」


「ふむ、では私は此方にしよう、ひとつ気に食わないと何もかもアレなのでな」



「――アイス選びのひとつやふたつで三十分悩むんじゃないわよ! すっかり食べ終わったわよ私!」


 ビジュアルだか何だか知らないけど、アイスは味勝負なんだから!


「すみませーん! この宇治抹茶アイスのコーンで!」


「小豆スペシャルひとつ」


 ――しかも悩んでいたアイスのチョイスが二人して渋い! ミノルは何か分かるけどテナまでそんな味覚してるのね! ちょっとびっくりしたわよ!


「テナはあ、アイスっていうとそういうのしか食べれないの」


「え、そうなの? 甘いの無理、とか?」


「ううーん、だあいすきだけど、アイスは好きじゃなくてねえ?」


「ちなみに私は甘いものなら何でも大好物だが?」


「アンタには聞いてなかったけど分かったわよ」


 何だかよく分からない味覚してるわね、トマトは大丈夫でミニトマトは駄目っていうのと同じようなもんよね。店員さんからアイスを受け取って、嬉しそうにきゃらきゃらと笑うテナを見ながら私は思った。




 場所は移って休憩スペース。

 こうやってのんびりするのも嫌いじゃない、中学の時は部活やってたから、そんなに友達と遊んでなかったってのが理由だと思うけれど。


「クーラー涼しいねえ……」


「そうだな、このまま溶けられそうだ」


 溶けてしまえ――つい口にしそうになったじゃない。流石に女友達に酷いことは言えないわ、あんの馬鹿共(※部活の方々)の影響だわ……!


「あ、そういえばテナ、アンタって部活何処入ってるの?」


「ふ? テナは美術部だよお?」


「美術部!? 何て意外なとこ入ってんのよ……」


「そう? テナは中学から美術部だよお?」


「そうなの、ミノルは? やっぱ中学から陸上?」


「そうだな、私はそうだ。しかし他部活と兼部していたよ」


「何と?」


「薙刀部」


「にゃんだって?」


 つい噛んだ。

 何よ、その格好良い部活。うちの学校には絶対に無かったわよ。


「ミノちゃんの薙刀持った姿はすっごく格好良かったんだよ! テナいっつも見てたも~ん!」


「照れるな」


 相変わらずきゃらきゃらと楽しそうなテナの物言いに、寸分も表情を動かさずにミノルは照れた――らしい。分かりにくいわよ本当に此の子。


「リョウコは?」


「リョウコは中学の時、何部だったんだ?」


「嗚呼、私はバド部」


「バドミントン!? リョウコ格好良い~!」


 テナは基本何でも格好良いみたいね。目が凄くキラッキラだもの。


「続けなかったんだな」


「ええ、其処まで真剣じゃなかったしね」


 嫌いだった訳では無いけど、友達に勧められて入っただけだったし。何だかんだで今の部活も気に入ってる訳だから、――完全に染まってるわね、私。


「でもあれだねえ、バド部からGC部って、かなり飛んだね」


「まあね」


「ヒコク弟の影響なんだろう?」


「……はい?」


 ……え、ちょ、待って待って、ミノルには未だ話してないはずなんですけど。


「あ、そっかあ、リョウコはあー君にぞっこんらしいもんねえ?」


 ぞっこんって古ッ!! とか言ってる暇はないわリョウコ!! 今テナが言ったじゃない、“らしい”? 誰かに言われたのね!? だってそうでもなきゃ自分に関してのヒコクアサキ並に鈍感なミノルや知り合ってそう経たないテナにまで知れ渡るはずがないわ。

 そうと決まればどっちよ、漏らしたのは確実にあの二人しか居ない、私は一体どっちを明日にでも殴り飛ばさなければならないのかしら!?



「――って、カイちゃんが言ってたよお?」


「私はヒコク兄に聞いた」


 どっちもかあのダブル馬鹿!!!!

 ていうかロクジョーカイリ、ぞっこんって古過ぎるっつーの!!



「あ、あのね、其の件については――」


「大丈夫だよリョウコ!」


 先ずは口止めしなければ、そう思って口を開いた私の言葉を遮ったテナは、ひとつウインク――コレがまたすっごく似合うのよ――をして、



「テナ、シギシギにしか口滑らしてないから!」



 なんとまあ手遅れだったらしい一言を言ってくれた。


「テナ、アンタこっち来なさい」


「え? なあに?」


「――アンタって子はぁあああああああああああ!!!!」


「え? えぇ!? リョウコ!? 目が怖いよぉおおおおおおおおおお!?」


「ふっ、元気だな」




 まあ、この後テナをどうしたかは――想像に任せるわ、ふふふっ。







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