247+夕立の季節。
「ユウヤー」
「んん……何ー……?」
早くも夏休みの暇加減に逆に疲れが出てきたユウヤです、クーラーのお陰でこう涼しいものだから、アサキじゃないけどつい寝てしまった。アサ君に起こされるなんて一年で二桁も無いのに。
「外」
「う? ――おお、見事に真っ暗」
時計を見れば未だ夕方だってのに、空模様は目に見えてひっどい、暗いよ、緑っぽいよ、おまけに酷い雨、これじゃあ雷雨になるかもねー。だからアサ君俺を起こしたのかな、此の子雷嫌いだし。
「雨降ってるよ」
「見りゃ分かるけど」
「……洗濯物、良い訳?」
「……うぎゃあ!!!!」
「起こしてくれてありがとうアサ君、でももうちょっと危機感ある声が欲しいってお兄ちゃん思うな」
ぎりぎりアウトな洗濯物と共にびしょ濡れになってそう言うも、そんなこと聞いてるはずのない弟はのんびりと其のびしょ濡れた洗濯物を洗濯機に突っ込んでいった。畜生、慌て過ぎて物干し竿倒した、洗い直しだ。……コレ俺のも洗わないと駄目だ。
「折角洗ったのに……また洗い直しって……何で夕立なんて来るかなっ!」
「此の前気になってマヒルに電話して訊いたけどちゃんと聞いてなくて忘れた」
「電話してまで自分から聞いたのに興味無かったんだね」
というか弟に其れ質問されて空で答えられるマヒル兄もどうかと思う。
「……ていうかびしょびしょなんだから早く着替えれば?」
「え? 嗚呼、うん、ごめんアサ君、俺の服取ってきてくれない? ていうか風呂入っちゃうわ」
「うん」
……おお、言ってみるものだな、アサ君のことだから「怠い」の一言で両断されるかと思った。ふっ、アサキも大人になったってことだな。
そんな弟の後ろ姿を見送って、俺は一人含み笑いをしておいた。
「……ん? アサ君其処に居るー?」
「……」
「何してんの?」
「……何もしてない」
久しぶりに湯船に浸かってみたら、脱衣所にアサ君の気配発見。
何もしてないらしいけど、一瞬で理由を理解した。
――外、雷鳴り出したね。