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24+夜な夜な作業。


「あー」


「どうした」


「宿題やり忘れてたー」


「気付いて良かったね」


「冬休みの」


 グフッ!!


 久しぶりに夜分にこんばんは、アサキです。今の効果音は僕が不甲斐ない兄を持った事に対して今更ながらダメージを受けた音です。


「――……とりあえず、ユウヤイケ」


「なんかイントネーション的に“逝け”だった気がするのはお兄ちゃんの気の所為かな?」


「気の所為だ」


 多分。


「今何日だと思ってんのさ」


「十二。成人の日~」


「死ね」


「うわお、直球。だって最初の授業までって言ってたからさー。アサ君はやってないのないのー?」


「ある訳な――」



 記憶遡る事十五日程――


『ユウ君は宿題は終わったのかな? 遊びに行っちゃったけど……』


『未だに決まってる。って僕もやらなきゃー』


 ――母さんとそんな会話をして二階に行って――


『さて、今日は何終わらすかなー』


 ――んで机の上のゲーム機見つけて――


『……』


 ――そのままゲームして夕飯になって――


『明日でいっか』


 ――で、次の日やった気でいたのは――



「――くねぇ!! 俺英語やってねぇ!!」


「ほら見ろー! 俺の数学と同等な感じじゃないか!!」


 遡りを終えてリアルに戻った僕は鞄から一冊の冊子を取り出した。嗚呼、あの時これを机に置いておいたからやった気MAXだった……。


「馬鹿野郎! お前も早くやれってんだよ!」


「そだね、やろやろ。いっちー先生に怒られちまうさ」


「英語はアヤメ先生だから怒りはしないだろうけど急いでやらないと……」


 何ページだっけ……。……十ページ?


 時計確認、二十二時か……こうなったら。


「電話してくる」


「誰に?」


「カイト、やったの写させて貰うっきゃない」


「うわー! アサキずりぃぜそりゃ!!」


「お前は僕のを写せばいいだろうが」


「良い案だ」


 扱いやすい兄貴め。

 僕は急いで下まで降りて、カイトの家に電話する。


「起きててくれよ……」


 やり忘れが英語で助かった……。カイトは英語だけが取り柄の馬鹿だからな。


『――アサキ?』


「助かった!!」


『うえっ!? 何!? 急に……』


「お前の英語の宿題を僕に貸せ、取りに行くから」


『えー、良いぜー、でも外寒いぜー?』


「今はそれどころじゃないんだ、とにかく――」


『いいよ、俺が行く』


 ブツッ


「……」


 こういう時便利な友達だ。……いや、友達じゃないってば。



 ――数分後。


「お泊まりに来ました~」


 何故そうなる。


「いらっしゃー」


 ユウヤも招くな。


「実は俺数学やってなくて。あっ君写させて!!」


「んなこったろうと思ったよ。まぁ今はどうでも良いから貸せ」


 僕の明日がかかってるんだ……! という訳で、二人は居間でやらせて僕は一人部屋でやる事になった。部屋狭いし寒いからね。






『あ、俺最後だけてきとーだから最後は自分でやってけれうへへーい』


 とカイト節で言われてから早一時間程。

 ……写すだけでこんなにかかるなんて……!! 恐るべし英語!!

 ……にしても、やっぱりカイトは英語だけ凄いな、凄くまともだ。ちゃんとやった形跡もあるし、こりゃ他の教科もちゃんとやりゃいけるんじゃ……あ、数学は無理か。授業中に『すったかたー』とか言ってる奴だもんな。


「さて、後一ページ……やば、眠い」


 普段は寝てる時間なんでね。ごめんなさいね、全国の夜更かし人間達よ、僕はもう眠いんだ。

 と言ってる間にやってしまおう、……嗚呼、カイトこっからちゃんとやってない様だ。明らかに字が変わった。下線部1の意味のとこ


 A.そこに線があるから。


 とか書いてある時点で分かったわボケが。

 そして穴埋めの所に


 (シャケハンズ)!


 とか片仮名で書いてあるのはどういう了見だ?



 ――……まぁ、僕は穴埋めだけやって寝よ。






 ちゃす、カイリっす。

 そろそろ皆名前で呼んでよ、まだいっちー先生くらいしかちゃんと呼んでくれてないってば。

 んなこたぁなさておき。


「カイト君」


「なぁに?」


「アサ君って何でこんなに数学出来るのかねー」


「知りませぬねー」


「でもさ」


「うむ」


「此の調子で行くとー」


「行くとー?」


「頭脳の良さ違い過ぎてアサ君と同い高校行けなさそう」


 ――……嗚呼、何か、色々サーッと心の中で引いていった気がしたけど一つ言いたい。


「それはいけない!」


「だよねっ! 俺アサ君と同じ高校行きたい!!」


「俺も! 寧ろずっと一緒が良いかもしれない成績的な意味で!!」


「よし! じゃ、ちょいと勉強頑張ろー!!」


「其れかアサキの成績落とすぜ!!!!」


「あ、そりゃ良い」


 自分で言って何だけど、そりゃ良い。

 つー訳で、先ず此のアサキの宿題プリントをうりゃうりゃうりゃうりゃー(※ご想像にお任せします)



 ――明日どうなる事やら。



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