237+何時だって無限大。
お久しぶりです~、……え? もう誰だか分かるよね? ……そうだよね、もう忘れちゃったよね、モモですなんかごめんなさい。
「――で、どうなのよ」
はう。
一瞬何の話だったか分からなかったけど、そういえば今、リョウちゃんと一緒に喫茶店に来てるんでした。やっぱり夏は喫茶店で涼むのが一番だよね。
え、ええと、ええと……何の話だっけ?
「ちょっとモモ、久しぶりに会った訳でもないのに何寝ぼけてるのよ?」
「ご、ごめんね、ぼうっとしてたの」
学校が違ってもちょくちょく会ってるからそんなお久し、な気分は無いんだよ~。
……で、何の話?
「だから、今年はお祭り、行くの?」
「――うん! 勿論行くよ!」
そうだった、夏だからそんな話してたんだよね! 毎年一緒に――去年は皆で――行ってるんだけど、今年はちょっと問題があって。
「本当に大丈夫? ――アンタテスト期間でしょ?」
そうなんでした、私の学校、がっつりテスト期間なんです。リョウちゃんは今だからいいみたいだけど、私はちょうど一週間後、あははどーしよ。
「大丈夫大丈夫、所詮は一年生の期末試験だし、ね?」
「ね? じゃないわよ! それじゃなくてもアンタ中間ヤバいんじゃなかったの!?」
「大丈夫大丈夫! ……あ、でもいいよ? リョウちゃん他に行きたい人居るなら一緒に行っても……」
「アンタまたそういうこと言う! い、居る訳ないでしょ!?」
そうだよね、もし居ても優しいリョウちゃんが言う訳ないよね。……顔は真っ赤だけど。
自分でも分かってるらしくって、さっき頼んだオレンジジュースを一口飲んだ。……よーし。
「ねえリョウちゃん」
「ん?」
「今年はアサキ君誘わな――」
「帰る!」
「わー! ごめんねリョウちゃん帰らないでー!」
ちょっとからかってみちゃおうとか思った私がいけなかったな! ごめんねリョウちゃんがそんなかわし方したことないから本当私なんかがごめんね!
「で、でもほらリョウちゃん! 去年は誘えたんだよ?」
「い、いい! 今年はいい! だ、第一ほら、アイツ今足怪我してるし!」
「え、そうなの?」
「……アレ? 言ってなかったかしら?」
「言ってないよ?」
「アレ?」
「……あれ?」
――という訳でちょっと説明を受けました。
「アサキ君が怪我なんて珍しいね~」
「まあね、全然運動とかしない人だし、あ、でもだからなんじゃないかしら」
運動不足でってことかな、私は全然怪我とかしないけど。
「ま、本人は全然気にしてないみたいだから…………心配してないけどねっ!!!!」
……此れは初めての反応かもしれない、此の溜め方は初めて聞いたよ! でも凄く心配なのは良く分かったんだよ!
「それにさ、アイツお祭り嫌いとか言ってたじゃない? だから、また誘うのはアレかなあ、って」
再びオレンジジュースを飲んで、ひとつ溜息をついたリョウちゃん。……――何時の間にそんな可愛くなっちゃったの?
何この恋する乙女リョウちゃんたら! 悩める乙女が目の前に居るよ!? あわわわわ(※暫くお待ち下さい)
「だからいいの! とりあえず一緒に行くなら、ちゃんと勉強しなさいよね?」
「うん、分かったよ~」
乙女リョウちゃんはそうやって私に厳しい一言を添えて、にっこりと微笑んだ。
勉強かぁ……リョウちゃん、私が勉強頑張ったら、リョウちゃんも恋愛を頑張ってくれるかな?