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235+そして忘れてた時期。


「っていうかさあ、雨、降りそうじゃね?」


 そう言ったのは空を仰いで呆れるカイト君でしたユウヤです!

 アサ君が図書室行きたいとか言い出したのがキッカケで皆して図書室に来てるんだよね。


「そうだねぇ、そろそろ帰宅したい時間なのに。ゼン君濡れて帰んの嫌ぁよ?」


「梅雨はもう終わったと思っていたんだけれどね、しかし私は雨も嫌いではないよ」


「そうなの? でもミノルちゃん家遠いのに濡れちゃわない?」


「ふっ、私はバスなのでね、どちらかと言えばテナが雨嫌いなのが気に掛かる」


 俺の横に座るゼン君と、その向かいに座るミノルちゃんがそう言う。

 嗚呼そうそう、今アサ君とシギ君と一緒になってひとつの本を読んでいるっぽい女の子ことテナちゃん、ミノルちゃんのお友達なんだっていうから驚いたよ。どちらかと言えば今風の女の子だしねー、でもミノルちゃんは「テナは俗にいう高校デビューだ」とか聞いちゃいけないこと言ってたから俺は優しさを以って聞かなかったことにした。悪い子じゃないみたいだしね、此の前急にやって来たと思えば「あのねえ、あー君全然松葉杖使わないんだよ? 足怪我してたんじゃないの?」と報告をくれたし。――そして本当にあいつは捻挫しているのだろうか。



「ねえねえあー君! テナまだ読み終えてないよ!」


「ボクもッスよ! ヒコク君頁捲るの早いっす!」


「うるせ、第一お前等が僕が読んでるの読むのが悪い、他読め」


「いーじゃーん! あー君のけーち!」


「けーち!」


「ドウモトはいい、だがお前は許さん」


「何でっすか!?」




「……何か、お兄ちゃん泣けてきた」


「何で」


 空を仰いでいたカイト君にそうやってツッコまれるけど、だってあの根暗の弟がお友達と仲良くやっているのを見るとついうるっと……!

 楽しくやっているところ悪いんだけど、そろそろ帰るべきだと思うのは俺だけなのかな。


「アサ君、そろそろ帰らない?」


「途中で降られたら嫌だよ僕」


「まあ、俺は未だいいんだけどさー、今日――雷雨になりそうなんだもん」



「「帰る」」


 即答だなおい。ちなみにアサ君と声が被ったのは、今の今まで一人恋愛小説にのめり込んでいたリョウちゃんです、どんな娯楽も嫌いなものには叶わないんだね!


「え、何々、あっ君とリョウコちゃんって雷嫌い?」


「うっさい違う」


「違うわよっ! た、ただ帰りたくなっただけよ!」


 リョウちゃん言い訳苦しい!


「大丈夫だぞリョウコ、私がついている」


「だから違うってば! ――ああもう無駄にキリッとしないのミノル!」


「みのちゃんは何時だってキリッってしてるよお?」


 女の子が増えたことでリョウちゃんの疲労も増えたっぽい、ドンマイリョウちゃん。


「雨降ってもアサ君はカイト君の後ろ乗ってるだけだし多分大丈夫だよ」


「その件に関しては俺が全然無事じゃ済まなさそうなんだが?」


「大丈夫だよ、カイト君風邪引いても一日あれば治るでしょ?」


「俺休んだらアサキ学校歩きだぞ」


「それは大変だ」


「ちっきしょう俺の心配はナシか」


 うん? 何か落胆の声がしたけど気の所為だよね?

 でもまあ、今は降ってないし急いで帰れば大丈夫だよね、明日は休みだしゆっくりしたい、出来れば今日中に洗濯物を干しちゃいたいなー。



「まあ、俺とユウヤは今日しかゆっくり出来なさそうだよな」


 とか思ってた矢先、カイト君が何やら意味深な一言を呟いた。一体どういう――?


「ゆっ君、休み明けからテストだよん」


「うぇ」


 忘れてたし、うおお……!




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