233+思った以上に深刻でした。
『ね、捻挫ァ!?』
我が兄共が叫んだ、久しい、アサキです。
「はい、打撲ではないですね、靭帯ちょっと傷つけたみたいだから、長引くかなー」
マヒルとユウヤに連れられて病院に来たら、内科医のはずの父さんにそんなことを言われた。
僕よりも驚いている馬鹿兄二人だけど、正直僕はどうでもいい。
「どれくらい?」
「一ヶ月はかからないと思うよ、アサキは言わずもがな安静にすると思いますし」
バレた……!
「とーさん! アサ君は大丈夫なの!? 学校行けるの!? それじゃなくても授業態度最悪なのに出席日数にまで響いたら……!」
「喧嘩売ってるの、ねえ」
確かにそうだけどさ。ユウヤに要らん心配をされている、僕は大丈夫だってのに、寧ろこのまま歩いてやろうか。
「大丈夫だよ、腫れが引くまではアイシングして、それから暫くはギプスで固定しながら学校行けば、ね?」
「アサ君が松葉杖なんて面倒なものを使うとは思えないんだけど!」
「お前は僕が痛みよりも面倒さを取ると思ってるの?」
確かに面倒だけど、流石の僕だって痛みには勝てないけど? 至って真面目でツッコめなかったので、僕は黙って父さんの話を聞くことにした。
現在居るのは病院なんだけど、ぶっちゃけ早く帰りたい、病院嫌い。
「でもアレ……大変じゃねえか? アサキチャリ通だろ」
最初に驚いてから暫く閉口していたマヒルが後ろで腕を組んで一言。
「チャリはチャリだけど、僕自分のチャリじゃないし」
「は?」
「アサ君カイト君の自転車に乗ってっちゃうからね」
……何だよ悪いか、チャリ怠いんだよ。
僕のそんな視線に気付いたらしいマヒルは何とも言えない表情で「お前……」と呟いたけど気にしないことにする、ほら、僕怪我人だし。
「まあ、とりあえず暫くは安静に、ということです、……心配なので僕も家に帰りますかね」
「え、父さん帰って来るの!? わーい!」
「これでも父親ですので、幾ら帰るの面倒でもたまには帰りますよ」
家に帰るのが面倒だから帰って来ない父さんと僕は一体どちらがより面倒臭がり屋なのか考えてみたいところだけど、今はいち早く自宅に帰りたいので僕はひたすら黙ることにする。
「ふっふっふ、お父さんが付きっ切りで看病してあげますよ、アサキ」
「捻挫如き付きっ切りになられてたまるか」
「捻挫馬鹿にしちゃいけないんだよアサ君! 痛いんだからな!」
「お前捻挫なんてしたことないだろ」
という訳でこの僕が捻挫してしまった訳だが――体育出ないで済むのは嬉しいな、ざ、ポジティヴ。




