225+こんなことなんてザラにある。
リョウコですっ、何か久しぶりかも。
今日は先生の所為で微妙に危ぶまれた体育祭――のはずだったんですけど、大雨の為に中止でした。
「うちの学校は梅雨に体育祭があるから、当日に出来るのは珍しいことらしい」
「そうなんですか」
ズラせばいいのに……フウカ先輩の話を聞きながら私はそう思ったんだけど、流石に皆が思ってることだろうから言わないでおくわ。
――という訳で、部活です。
「はーい、一年共よーく聞けー。今日はハヤからの言伝を預かってきた」
ぱんぱん、と手を叩いたサチト先輩は私達一年を見ながらそう言った。ちなみに当人のハヤ先輩は午前でぶっ倒れて帰ったそうです。
「――お前等テスト勉強しろ!」
『何其れ』
被った声は何種類かしら、ちなみに私は言ったわよ。
「まあ確かにそうだな、我が部活が幾ら自由とはいえ、“赤点”なんてことがあった日には――」
其の瞬間ビクリと反応した奴が約二名。
「リョウコは大丈夫なの?」
「はい、私は一週間前になったらちゃんとやりますから!」
ちいさく首を傾げるフウカ先輩にそう言えば、何故か良い子良い子された。
「――俺は全力で歓迎するけどな!!」
「サチトは赤点常習犯だから」
何なのよサチト先輩。
「サチトの中間考査の成績は二十点未満」
「うっせぇなフウカ! れ、歴史は苦手なんだよ!!」
二十点って……楽々赤点じゃないのよ。
「おいこらリョウコ! 先輩をそんな目で見んな! 歴史だけなんだからな! 他は良いんだからな!!」
「……そうなんですか?」
フウカ先輩に聞いたら、ひとつ頷かれた。ちょっと意外。
「俺のことよりも、だ! はい今現在進行形で目を逸らしている馬鹿っぽい二人!」
「見た目で判断反対!」
「反対!」
びしっと指差されて反応する馬鹿ふた――違う、ヒコクユウヤとロクジョーカイリ。ぎゃーぎゃー言ってはいるみたいだけど、ぶっちゃけあの二人は少しでも成績向上したのかしら……?
「じゃあ此の前の考査の結果をサチおにーさんに見してみんしゃい! はい!」
「ユウヤゲームやろーぜー!」
「いーよー!」
「逃げんな!」
全然向上してないみたいね此の反応。
「はあ、……ヒコクアサキとワタヌキゼンは、高校のテストは大丈夫そうなの?」
本当にゲームに向かってった馬鹿――馬鹿はもう訂正しないわ――は放っておいて、私はそういえば居た二人に声を掛けてみた。ヒコクアサキはともかく、ワタヌキゼンも結構喋らないのね。
「僕に不可能はない」
何処から来るのよ其の自信。
「俺は大丈夫だよ、リョウコっちゃん。こーみえてもゼン君、頭は良いのよ?」
「そうなの?」
「そうそっ、なんなら勝負、してみる?」
「いいえ、遠慮しておくわ」
にっこりと笑うワタヌキゼン、……何だか負ける気がしてきたわ。
「――って訳で! 其処の馬鹿共はちゃんと勉強しておくこと! 期末で赤点なんか取ったら夏休み補習確定なんだからな!?」
「「何ですって!?」」
あ、此処には反応するのね、流石。
「でも良いじゃない、アンタ達中間は赤点無かったんでしょ?」
「今回もそうである保証はねえんだぜリョウコ!」
「あ、アサ君、勉強教えて下さい……」
「あ、俺も!」
「気が向いたら良いけど。とりあえずカイト、英語のノート貸せ」
なんかもう、高校入っても本当に変わらないな、と思ったけれど、だからこそ良いんだろうな、とも思った。
「サチト、私考えたの、部活内で赤点取ったのってサチトだけなんじゃ――」
「フウカ! ゲームやんぞ!」
うちの部長、大丈夫かしら。