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221+GC部歓迎会!/前


「こ、此処であってんだよな?」


「そうなんじゃないの? だって表札にヤコウインって書いてあるし」


 一時は延期になった部活の歓迎会が休日に行われることになって、――ちなみに決まったのは昨日なんだけど――とあるお宅の前にアサ君とカイト君とやってきましたユウヤでっす。

 場所はフウカ先輩の家、名前からしてどっかのお嬢様なのかなーなんて思ってた俺としては驚きも少なかったんだけど、……んー、おっきい。お宅というよりは豪邸だよね。背より遥かに高くて大きい門の前でぼうっとしてしまっている俺達三人、カイト君に至ってはさっきから痛い程に門の上の方を見上げている。


「なあ、コレってどーやって入れば良いんだ?」


「俺も分からないんだけど、アサ君分かる?」


「……」


 アサ君はきょろきょろと辺りを見回して、ふるふると首を横に振った。そりゃ分からないよね、ていうかちょっとした長旅でもう疲れちゃってるよね、――とか思ってた矢先。


「あ」


 アサ君は声を漏らした。


「え、ど、どうしたの?」


「あれ」


 そういってアサ君が指差したのは――


「あ、先輩達」


「ん? おう、お前等早かったな」


 此方にやって来ながらひらり、と俺達に手を振ったサチ先輩と、――何が遭ったのか知らないけど既に疲労満杯っぽいハヤ先輩だった。メッチャ壁伝い、どうしたの先輩何か青いよ。


「どうだすっげぇだろフウカん家、俺いっつも遊びに来るんだぜ」


「それは迷惑なんじゃ――の前に、サチ先輩! ハヤ先輩どうしたんですか!?」


 フウカ先輩の家自慢する前にそっちのへばってる人の説明を下さい……!


「ハヤ? 嗚呼、気にすんな、何時もこんなだ。こいついっつもヘナッヘナだから」


「人を変な擬態語で表すな」


 ツッコミを入れながらもハヤ先輩の目は既に死んでいた。なんだろう、アサ君の比じゃない、アサ君がすっごく元気に見えるもん。


「そういや前言ってたよな、重度の貧血持ちだって、ほぼ病気の域だとか」


 門からやっと興味がなくなったらしいカイト君がそう言えば、サチ先輩は「そういうことだ」と満足げに頷いた。本人は全く理解していないみたいだけど。


「別に病気じゃないだろうが、」


「病気みてぇなもんだろうがお前のは、学校で何で倒れてんだよ」


「貧血だ」


「知ってんなら体調考えて行動シテクダサイ」


 其の言い合いすら億劫そうだね先輩。でもなんか、ちゃんと労ろうと思った、きっとアサ君ですらそう思ったはず。









「いらっしゃい、歓迎する」


 フウカ先輩は自宅なのに何故か制服だった。まともな服が無い、とか何とか、きっと普通な服が無いってだけなんだろうな。豪華なの着ればいいのに。


「とりあえず、ハヤは一旦寝れば良いと思う」


「そうする」


「未だ来て間もないのにねえ、ハヤせんぱーい?」


 先に来ていたらしいゼン君がにやにや顔で冷やかした、でも反応が無いハヤ先輩はそのまま何処かの部屋に消えていきました。……本当に大丈夫なのかなうちの生徒会長。


「ハヤがああなのは何時ものこと、あまり気にしないで」


「あいつにとっちゃ此処まで電車乗りつぐだけで体力精一杯だからな」


 本当に大丈夫なの、ねえ。根暗のアサ君だってまだ(どうにか)元気なのに。


「――よっし、まあハヤの復活はその内に、って訳で、歓迎会始めんぞー!」


「おー」


 一年よりも二年生の二人の方が元気だ、ってのはもういっそのことさておくことにする。




 俺達が通されたのは何とも広いリビング(多分)だった。其処には先に通されたらしいリョウちゃんがソファ――其れもまた豪華なんだけど――かっちんかっちんに緊張したまま居て、「ひ、一人にしないでよ!」と滅多に見れないデレを発揮していた。まあ本来其のデレを見せるべき相手は普段よりは楽しそうにリビングを見回してるんだけど。


「ふっふっふ、すげぇだろ、フウカん家は!」


「今我が家は私達しか居ない、パラダイス」


「何でサチが自慢すんのよ、ていうかだーれも聞いてないけどね、皆ぼーっとしてるし」


 なんていうか、部屋全体がきらきらしてるんだよね、ぴっかぴか、俺なんて居るのがおこがましいくらい。……こんなところでゲームクリエイト部の歓迎会?


「――片腹痛いわ」


「ん? アサキ何か言ったか?」


「イエナニモ」


 流石双子といったところ、俺が言おうと思ってたことをアサ君が呟いて、サチ先輩は首を傾げた。幾らゲーム命のアサ君でもそう思うんだから此れは相当だよ。しかも此処に泊まり? ちょ、何か壊したりしたらどうしよう、うち父さんが医者だけど払えるかな……!!

 俺もそうだけどきっと他の人達も諸々色んな思考を回している――サチ先輩を除けばゼン君だけがにこにこしてる――中、フウカ先輩が「お泊りする部屋に案内しようじゃないか」と何故かそんな口調で俺達を促した。



「ちなみにリョウコは私の部屋」


「え、あ、はい、分かりました」


「…………嬉しい」


「え?」


 女の子入って良かったね、先輩。



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