215+経過的廃人。
お久しぶり、というのでしょうか、いえ、俺からしてみれば何のことだよって感じなんですけどね、アスカです。
「……」
「……」
高校生になってから毎日、又は二日に一度はメールが来るようになったユウヤと久しぶりに会ったのは良いんですが――さっきからユウヤが机にぐでって動きません。ただの屍のようですね。
「ユウヤ、どうしたんです?」
「うぇー……」
さっきから此の調子なんです、何かあったのは一目瞭然なんですけど。……疲れてるんでしょうか?
「ユウヤ?」
「うー……」
「――疲れてるなら帰っても良いんだよ? 俺は別に、寂しくなんて、ないから――」
「寂しい思いさせてごめんねアスカっ!? 俺は何時でも元気だよ!!」
相変わらずのちょろさについ苦笑が漏れました。
「ふふっ、大丈夫ですよ」
「そうだよねそうだよねアスカに久しぶりに会えたのに高校のテストの難易度の高さに打ち沈んでる暇は無いよねっ! テストなんてどうでも!」
「其処は少し考えてて欲しかったかもしれませんがね」
満面の笑みで言われるものだから強くは言えませんでしたが、高校からテストは急に難しくなりますからね。それじゃなくても中学の時アレだったユウヤとしては、大変なんでしょう……。
「アスカはもうテストやったの?」
「いえ、俺は来週からです。ユウヤは終わったんですか?」
「ううん、明後日までだよ?」
何でテスト期間中に会いに来ちゃったんですかね此の人は。嫌という訳ではありませんが何だか複雑ですよ。でもまぁ、ユウヤらしいとは思いますけれどね。
「でも、本当高校生って大変だよー。アスカんとこはもっと大変なんだろうけど」
「そうでもありませんよ。私立なだけあって皆さん頭が良いですけど――所詮は頭だけの人間ばかりですから」
「うわあ流石はアスカだね! 笑顔が眩しいよっ!」
「ふふっ、ありがとうございます」
ユウヤ以外の人の台詞なら確実に褒められてませんけど、ユウヤなら絶対に褒めてますからね、純粋さって重要です。
「とまあ冗談は此のくらいにするとしましても、身体を壊さない程度に勉強、頑張って下さいね」
「おう! 中学みたいにだらだらやってたらヤバいからねー、留年なんてことにならないよう頑張るつもり」
「アサキ君にも迷惑かけないように頑張ってね」
「きょ、極力頑張るよ……!」
何時までもアサキ君に頼りっぱなしじゃいけませんしね、俺が助けてあげられる機会も少ないし……本当に頑張って欲しいものです。
「――やべ、もうこんな時間だ、アサ君に殺される」
その後少し話していれば、ユウヤが何とも物騒な一言を呟いた。冗談に聞こえないところがアサキ君クオリティですけれど。
「飢えたアサキ程怖いものはないよ」
「怖いんですか?」
「色んな意味でね。ゲームとかしてるとそのまま飢え過ぎて寝てる感じ」
「あははっ、相変わらず過ぎますよ」
アサキ君、本当に変わりませんね。何よりですけれど。
そんなアサキ君に電話をすると言ったユウヤを見つつ、俺はとりあえず帰る準備をしようと携帯を手に取っては、既に遅い時間なんだなぁ、なんて考えてみたり。友達と居ると、時間の長れなんて忘れてしまいますよね。
「あ、ねえアスカ、久しぶりにうち来なよっ!」
「……どうしたんです、急に」
「不機嫌アサ君がご飯を求めながら、別れが惜しいならアスカ君連れて来ーい、って」
既に不機嫌なんですねアサキ君。
「――じゃあ、お邪魔しますね」
でも、まぁ、久しぶりに行きたいなっていうのも事実なので。
何時までこうやって遊んでられるかも分からないですから、行ける時に行こう、そう思いました。