214+人が変わる為に必要なのは努力。
「√2がひとよひとよにひとみごろ、だから1.――」
「ユウヤ?」
「の、お帰りマヒル兄、休みの度帰って来てるなんて暇だよね」
ユウヤです! 高校生になって初めてのテストが間近ってことで勉強してるんだぜ☆ ――なのに。
ばさっ。
「――ど、どどどどうしたユウヤ……!? 勉強なんかして、……風邪!?」
どつきたくなったのは俺だけではないはずだよ、うん。部屋に入って来るなり荷物落しやがって、俺を何だと思ってるんだか!
「風邪じゃないやい! 俺は高校入って変わるんだっ! アサキにだって負けないんだーい!」
「あ、いや、悪かった、確かに不謹慎な発言だったな」
マヒル兄は苦笑して俺の方にやってくれば、物珍しそうに俺の机の上を眺める。なっつかしいなー、なんて言ってるマヒル兄だけど、やらせりゃ全部出来ちゃうんだろうなー、と。……畜生ずるいぜ。
「んで? アサキは?」
「クソ真面目な顔して朝っぱらからカイト君家向かったけど」
「あー、ゲームしに行ったのね」
『俺が悪の手から世界を救う』とか言ってたけど、たまに本当に思うよ、あいつ電波なんじゃないか、って。
「でもさーアサ君絶対ずるいよ、何でそんななのにテスト出来んだか」
「授業中にやってるとかじゃねぇの?」
「寝てましたがあの人」
「そうか、お前が授業をよくサボっていることはよく分かった」
やべ、口が滑った。つーか兄貴怖いよ笑顔が。
「授業をサボってるっつー話は後にして――アサキは記憶力が良いんじゃねぇか?」
「瞬間記憶能力!?」
「アニメ又はドラマの見過ぎだよお前は」
「はい」
仕方ない、とりあえず話を聞くことにしよう。
「瞬間記憶能力ってアレだろ、一瞬で覚えるってやつ。そういうんじゃなくて、一度入ったモンが抜けにくい……って感じなんじゃねぇかな、アサキは」
「ふーん――俺は先ず入らないからよく分からないけどね」
「重症過ぎるぞお前」
ちなみに俺は其のタイプだ、と付け足すところを見れば、アサ君もそうなんだろうな、と一度頷いた。マヒル兄とアサ君のタイプは何だかんだ似てるからね、天才型……畜生血の繋がりが俺にも欲しい!!(※血の繋がりはあります)
「へーんだっ、俺にはそんなミラクルな技無いから地道に勉強するもん!」
「ははっ、頑張れユウヤ、其の意気だ」
「――という訳で分かりません教えてマヒル兄!!」
「はいはい」
苦笑しつつも手伝ってくれる兄貴が大好きだ……!!
頭良い人が側に居ないと何にも進まないんだってば! 其ればっかりは中学の時から何も変わらない俺だった。