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209+理解されない暇人。


 マヒルだ。

 GWってんで自宅に帰って来たんだが、誰も居やがらねぇ。何だよ、去年は嫌って程顔付き合わせてた癖して両親帰って来てねぇのか?

 居やがらねぇ、っていうのは文字通りそういうこと。鍵掛かってっからインターホン押したのに双子すら出て来ないってどういう。



 ――Prrrr...



 ……あれ、電話鳴ってね?

 俺は慌てて自前の鍵を使えば自宅に入り、靴を脱ぎ捨てて受話器を取った。


「もしもし?」


『ロクジョーですけど、……ってあらやだマヒル? 何であなたが自宅に居るのよ』


「居ちゃ悪ィのかよおい、自宅なんだから良いじゃねぇかよ」


 ウミだった、慌てて損した。


『マヒル?』


「で、何用、あいつ等に用事なら携帯に掛けりゃ良いだろ」


 何かを悟られた気がしたが気にせずいこうか。


『嗚呼そうそう、二人の携帯にかけても繋がらなくてね? 前にカイちゃんが二人は携帯を携帯してないから、って聞いたから家に掛けてみたんだけど』


「生憎居やしねぇよ、ちなみに携帯はリビングに放置されていますが」


 廊下で話すのも疲れるからとリビングに移動した俺は、机上にばらばらと置かれている赤と青の携帯を見てそう言った。二人して置いて行くなし、何なんだあいつ等。


『……携帯を携帯しないで何が携帯なの?』


「言っとく」


『でも、携帯置いて行ってるってことは直ぐ帰って来るわよね~、とりあえずマヒル、用件だけ聞いておきなさい?』


「へいへい」


『今度大学のことで一週間くらい家に帰れないから、出来ればその間カイちゃんをお世話して欲しいのよ』


「カイト君を? 珍しいな、お前が一週間も家空けるなんて」


 ウミはそう言うと少しの間を空けて、何やら考えてから口を開く。


『仕方ないじゃない、レポート破滅的だったんだから』


 理由が寂しいなお前。要するに特別授業といった所か、カイト君を一人にするくらいなら死ぬと言い兼ねないウミだが、流石に其ればかりは逆らえない。頭は其処まで悪くないはずだが、集中力と素行がなぁ……。


「でもよ、カイト君ももう高校生なんだし、一人にしても大丈夫なんじゃねえの? 過保護も程々にしないと嫌われるぜー」


『あらマヒルったら、その言葉、そっくりそのままお返しするわよ?』


 畜生、反論出来ねぇかもしれん。


『でもね、私も一人にして大丈夫かなとは思ったのよ。アサキ君と違ってカイちゃんご飯自分で出来なくもないし』


「あれ、反論出来ないぞ?」


『けど一週間はキツいかな~、って。というか私が何も言わなくてもカイちゃん遊びに行っちゃいそうだから先に一言言っておきたかったの』


「……カイト君なら確かにそうしそうだよな」


 五分弱で此処まで来れる訳だし、ユウヤ俺に似て主夫状態だからな、喜んで世話するだろうさ。うちの男性陣はアサキを抜いて皆料理出来る訳だが……こう思うとアサキってどうしたんだろうか。


『という訳で用件はそれだけ、――と思ったけどついでにあなたに話があったんだったわ』


「え、良いけど」


『未だ言ってないんだけれど』


「どうせレポート関連の話だろ? 今から行こうか?」


『……はあ。ねぇマヒル、あなたはどうしてマヒルなの? 暇なの?』


「え?」


 何処のロミオの話だかは知らないけど、何なんだろう、今のは褒められたのか? よく分からないけど、しゃあないからウミの家にでも行こうか。

 ちなみに、暇か暇じゃないかと聞かれれば、――相当暇だから此処に居るんだけど。






「ただいまー……ってあり、マヒル兄の靴」


「お帰り、つーかただいま。俺今から出掛けっから、それとお前等ちゃんと携帯持ち歩けよー、行ってきー」


「行ってらー。……マヒル兄は忙しいねえ」


「マヒルだから」



 理解はされない暇人。




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