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207+高校ライフのお供は一体?/後


 アサキのままですが。

 という訳で次の日、ゼン君に連れられ付属二人と共に部活見学に行くことになった。


「はいっ、此処が部室だよー」


 ぶっちゃけ何も話していないカイトと、少し話したけどクリエイトの意味すら理解出来ていないユウヤはまあ放っておくことにしてまずはひとつ質問しようか。


「ゼン君」


「はーい何だいあっ君?」


「あのプレート読んでみようか」


 呼ぶなり僕の肩に腕を回してくるゼン君――相変わらず馴れ馴れしい――は、僕が指差した部屋のプレートを見ては不思議そうに首を傾げた。



「何、――生徒会室が珍しい?」


「いや、別に」


 珍しくはないけど、おかしくない?


「「アサキ!」」


 僕と同じ感情を抱いたらしい背後二人が同時に叫んだ。両方に同時に引っ張られたものだから倒れるかと思ったんだけど、ゼン君も気を利かせていきなり離さないで下さい。


「おいアサキ! 何で生徒会室に連れて来られんだ!? つーか部活じゃねぇのかよ!」


「そうだよアサ君! ワタヌキ君とグルで何かしてんの!? っていうかいつの間にうちのクラスに友達出来てんのさ!」


 双方違う疑問なような気もするけど、カイトの疑問には僕だって知りたいんだから答えようがない。知っているのはゼン君だろうから、彼に聞くのが手っ取り早――


「サチー、連れて来たよー」


 ちょ、もう入っちゃってるし。

 中から声が聞こえた気もするけど、小さくて聞き取れずじまいだったので仕方なくゼン君に続いて入ってみた。




「――……何これ」


 そこにあった光景は、普通なようで充分に異様だった。

 長机を挟んでソファが二つ、一番奥には立派な机と椅子がセットで置かれている――のに、それを使用している人は誰ひとり居なかった。

 生徒会室なだけあってその更に奥には給湯室まであるみたいだし、やはり此処は生徒会室……だよな? うん、やっぱりそうだよ、なのに――その端っこであからさまにテレビゲームやってる方が二人程見受けられるんだが。



「よぉゼン、遅かったな――だッ! フウカ待ちやがれ!」


「車は急に止まれない」


 やっているゲームはまさかのマリ○カート。何だこれ。


「サチ、フウカ先輩も、折角入部希望者連れて来たんだから今くらいゲームやめなよ」


「バカヤロウ、うちの部活がゲームやらないで何が残んだ」


「ゲームは急に止まれない」


「あっ君達ごめん、これ終わるまでそこ座ってて、この人達動かないから」


 気持ちは分からなくないが、学校内でゲームをやっているこの実態に驚きを越えて寧ろ冷静。使われないソファに座る僕等はその男女の先輩――だよね?――がやっているマ○カーをずっと見ていた。上手いなー。






「――畜生負けた……格ゲーならぜってぇ負けねぇのに……」


「サチト、負けを引きずってないで早く説明してくれない? 折角この俺が連れてきた有能なる方々がお待ちかねだから」


 女の先輩の勝ちで終わったゲームはさておき、正面に座った彼等とそのソファの後ろに立つゼン君を僕は見る。


「そうだったな。えっと、入部希望者だったっけ? この部活に目を付けるなんて君達流石だぜ、我がゲームクリエイト部は伝統ある部活なのに最近はこう衰退して――」


「ゲームをクリエイトしているのはハヤ一人だけれど」


「フウカはそういうことを言わないように」


「だって本当のこ――」


「はいはいはい! この話は終わり!」



 ……何だろうこの人達。


「見てもらった通り、ぶっちゃけゲームやるだけの部活なんだけど、俺達二年は生徒会役員だからそっち手伝ってもらいたいというかぶっちゃけ手伝ってくれないと生徒会長が倒れるっていうか」


「現生徒会長はサチトと違って責任感の塊だから、ゲーム好きで尚且つ生徒会役員になってくれる人を迎え入れたいと思っている。ちなみに生徒会役員はこれだけしか居ない」


「何か大変そうな部活じゃない?」


「大変と楽は紙一重ってか」


 ユウヤとカイトが何か言ってるけど気にしないで話を聞こうか。



「んで、俺が部長のキスギサチトだ、こっちが副部長の――」


「ヤコウインフウカ」


「もう一人居んだけど……嗚呼、さっきから言ってるハヤって奴な。今は生徒会の方の仕事出てるみたいでよ」


「……此処が生徒会室じゃないんですか……?」


「よくぞ聞いてくれた少年! ……ええと」


「ヒコクです」


「ヒコク君!」


 いちいちテンションのたっけぇ人だな、まあそれも置いといて。

 此処は生徒会室は生徒会室でも旧生徒会室らしく、今はこのゲームクリエイト部の部室になっているらしい。といっても現生徒会室は専ら使われずに、此処で仕事することが多いらしいけど。


「ってことは、キスギ先輩とヤコウイン先輩とその、ハヤ先輩? の誰かが生徒会長ってことですか?」


「その通り! ハヤが生徒会長で俺が会計、フウカが――」


「書記」


「――って訳だ、……ええと」


「ヒコクですよ、双子です」


「ヒコク君! え、双子? マジ?」


 キスギ先輩はなんかよく分からないところに喰いついているが僕は気にしない、今は先輩二人の間に顔を出すゼン君の笑顔がうざいってことくらいしか気にしてない。


「……あり、副会長居なくないッスか?」


「よくぞ気付い――」


「ロクジョーッス」


「ロクジョー君!! 人数足りなさ過ぎて一年間副会長無しだったんだ! だから入部したらぜひ立候補して欲しいんだよ俺達的に」


「うちの学校はうちの部活以外で役員が出ることは決してない、ちなみに私達はじゃんけんで決めた」


「適当かい」


 ついツッコんでしまったけど、誰も気にしていないようなので良かった。


「じゃんけんで俺とフウカが会計と書記選んだら、生徒会長が居ないのはキツいってんで嫌々生徒会長やってるハヤは今日は来なさそうだな」


 ハヤ先輩か、入学式の時挨拶してたあの人だよな? 遠目に見たけど、真面目そうだなと思ったあの人か。あの容姿を見て、ゲームクリエイト部とかいう冗談みたいな部活所属だなんて誰が気付くだろう。

 今日は来ないのか、というのはまあ置いておいて、……この部室来てから色々置いてるな僕。



「キスギ先輩」


「サチトで良いのに」


「サチト先輩」


「わお切替早い、ん?」


「この部活の活動は週何ですか」


「週五です、休日は主に無し。でも参加は自由です」


「生徒会の仕事は」


「主にハヤが仕切るから特に。量が多い時とあからさまにハヤが疲労してる時に俺が収集します」


「……うん、悪い条件じゃない」


「え? でもよアサキ、副会長とかやる羽目になるかもなんだぜ?」


「そんなんゼン君に任しとけばいい」


「あっ君、ゼン君聞こえちゃってるんだけど」


 とにかく、他の部活より楽そうなことには変わりない。良いんじゃない?



「入ります、ゲームやってるだけで良いならこれ程楽な部活はない」


「マジマジ!? よっしゃあ部員ゲット! そちらさん二人はどうしますよ」


「入りますけど」


「アサキに着いてきたんだし、アサキ入るんなら俺もー」


「部員三人ゲット、今日は良き日。ハヤにメールする」



 という訳で、何とも不思議な部活、ゲームクリエイト部に所属が決定しました。クリエイトなんて絶対しないけど……まあ、楽しそうだしいいよね。





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