205+高校ライフのお供は一体?/前
「ヒコク君、昼休み少々時間良いですか、職員室に来て下さい」
「え? ……あ、はい」
自分の周りの大人ってろくな人が居ないから、こういう真面目な呼び出しに慣れていないアサキです。つーかヒコク君とか呼ばれんの久し過ぎる。
「ひひひひヒコク君! ハヤサカ先生何の呼び出しなんすかね……!?」
前言撤回最近こいつに呼ばれてたわ。ユウヤに会ったのに未だ苗字呼びかフドウ、ユウヤのこと何て呼ぶ気だ。
「何でお前が焦んの」
「え!? ……それもそうっすね」
という訳で昼休みに職員室にやって来ました昼休み。初めて入ったがあったけぇじゃないか、今日寒いってのに。
「先生、来ましたけど」
「嗚呼、早かったですね。では本題行きます、君部活に入ってないでしょう」
「……え?」
ハヤサカ――先生を付ける気にはならない――は椅子に座りながら簡潔に述べた。部活……いや、入る気無いし。
「君が学校早退した日、部活見学があったんですけどね――」
「知ってますよ、だから帰ったんで」
「――馬鹿かおま……ごほんっ、いえ何でも」
「今馬鹿って言っただろおい」
ハヤサカ今絶対馬鹿つったよねえ、馬鹿ってねえ。
「とにかく、一年時は皆に入って貰う予定なので四月中には決めておくように」
「はあ、……え、一年って皆入ってんですか?」
「予定では。他クラスは未だ入ってない生徒が多いらしいけれど、うちのクラスは君だけですよ」
初耳過ぎる。……ちょ、真面目にかよ、部活って何だし。
用は済んだしとっとと帰れオーラ全開だったハヤサカの元から去れば、僕はそのまま二組に向かった。……居るとは思えないがとりあえず寄る。
「……居ない、な」
「ようアサキ」
後ろから声がして不覚にも驚いた、何なんだよ全く。声からしてカイトだがムカつくから踵蹴りした、がつんと向こう脛にヒット。
「あぐっ! ぐぐ、ぅ……馬鹿野郎こっちは汁物持ってんだよ……!」
「汁物言うな、ただの飲み物だろ」
うずくまってやがる、ざまあみろ。
しかしよく考えたら用があるのこいつだった、真後ろに現れたことには目を瞑って話をしてやろう。
「でさ、カイト」
「この状況で会話をしやがるのかお前はあああ」
「部活どうしたよ」
「部活? 未だ入ってねぇよ」
文句言う割に答えるカイト。野郎の涙目程惹かれないものはないがそれで立ち上がったカイトは、あっさりとそう答えて持っていたペットボトルに口をつけた。
「怠くねぇ部活に入りてぇんだよなー、なんかどっか無い?」
「僕が聞きたいね」
「どうせお前も未だ入って無いんしょ? どっか良いとこあったら宜しくな」
「何故僕が入ってないって――」
「部活見学の時一緒に帰らされたの誰だよ」
「カイトでしたねそうでした」
部活見学あるから途中で帰ろうと思ってたのに、カイトのチャリに乗って来ちゃったんだった。でも声掛けただけで一緒に帰っちゃうお前もどうかと思うが。
にしても、部活か。……どうしよう。