197+奇怪、奇天烈! 突飛な彼。
高校生になって二日目、ざわつくクラスに苛立ちを感じながらまさかの教卓ど真ん前の席に着くアサキですが。まさか過ぎるよ初っ端から、何此処、嫌がらせ?
昨日は随分と寝たから気分が良い、ユウヤとかカイトとかに、
『初日から根暗ってたら駄目だ!』
とか言われた気もするけど気にするかよ。僕の自由にして何が悪い――という訳で、のうのうとゲームに向かっている訳だけど。
「――皆さん、席に着いて下さい」
何時の間にか現れた担任だと思われる其の人。歳は大分若いし、一見大学生に見えなくもない。……特徴は眼鏡だな。
ぞろぞろと席に着く生徒達を見ながら、其の人は黙って前だけを見据えていた。何処か機械的な先生だな。
「では改めまして。昨日は母方の祖父の従兄の葬式で休みましたから、初めましてになりますね」
遠い血縁だ。
「六親等なんて所詮他人ですが、……まあ僕の話は良いですね」
ほとんどの人が首を傾げる中、意味を理解した僕は小さく溜息をついた。確かに他人だな、祖父の兄弟だって遠いのに従兄って。
担任は眼鏡を中指で押し上げて、再び仕切り直して顔を上げる。確か昨日名前言ってたよな、ええと、何だったか、眠気眼で聞いてたから全く出て来ない。
「一年一組担任となりました、ハヤサカです。新任ではありますが、宜しくお願いします」
――真面目な先生のようだ。サクライ先生に是非見習って欲しい。
真面目なのは良いんだけど、担任が真面目って少し困るかもしれない。中学の時ゆるゆるだったんだもん、仕方ないじゃないか。少し心配にな――
「――それと、一つ言っておきますが、僕は子供が大嫌いなので悪しからず」
――は?
「別に貴方達が悪い訳ではないのですが、個人的見解で子供と部類される人種を得意としません。ですので不本意ながら、少々貴方達にキツく当たる場合もありますがそれは一個人である僕の責任ですので」
『……』
一組一同はそりゃもう、ぽかーん、と唖然。一番前の僕には見えないが気配で分かる、そりゃもう凄く唖然とした気配だ。
「成績などには勿論影響させません、ただ一言――余り僕に関わらないように、以上」
以下自習にします、そう言って担任、基ハヤサカ先生は教卓の上にプリントを残して消えてしまった。これはあからさまに勝手に取ってけ、の意思表示であろうことは間違いない。
「何だ、あの教師」
「普通言うか、子供嫌いって教師が」
クラスの一部から漏れる声。一同同意だろうが、生憎未だ相槌をうつだけの知り合いにはなっていない。
最後までNot 笑顔だったハヤサカ先生。……我ながら、癖有る先生率たっかい。