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196+桜散るらむ入学式。

「もうお母さん、何時死んでも悔いは無いわ……!」


「ま、未だ未だだよ母さん! こんなとこで倒れないでね!?」


 恍惚とした表情を浮かべる母さん、生きて……まだ死んじゃ駄目だよ! ユウヤです! 今日は待ちに待った入学式! 晴天に見舞われた今日! そんなに緊張してないし、父さんも母さんも来るから嬉しいんだよね! ――アサキ起こし忘れて一時はどうなるかと思ったんだけど。

 午後からの入学式だからって高を括って起きないアサキを叩き起こして――文字通りマヒル兄が叩き起こしてた――入学式会場なる体育館にやって来た俺、基俺達。ていうかアサキも緊張感無さ過ぎなんだよーっ!

 俺は一年二組だって、ざっと見たらカイト君とリョウちゃんも同じクラスだった。アサ君は一組で、中学同じなの一人も居なかったみたいだけど……大丈夫かな……?


「ユウ君とアサちゃんの晴れ姿も見れたもの……!」


「未だだよ未だ! まだまだ晴れ姿あるから!」


 アサキよりこっちが大丈夫かなっ!?









 アサキだ。


「アサキ、物凄く目付き悪いよ」


「うるせぇ、寝起き三十分じゃこんなもんだ」


 隣に座る父さんに苦笑されたけど、それは仕方ないと思う。眠過ぎる、入学式なんてどうでも良いんだけども、僕やユウヤより張り切る両親も面倒だし。

 説明会の時もそうだったけど、入学式まで親を隣に座らせるか。ユウヤには母さんで僕には父さん、横にこんなん居ちゃ寝れもしない。



『続いて生徒会長の言葉――』



 進行の声まで眠気に誘われるんだが。畜生、こんなことなら早めに起きておくんだった。

 何だか真面目そうな生徒会長の話が終わって、クラスの担任紹介とか何とか言ってるんだけどやっぱり眠い。嗚呼、ああああああ!!!!!!(※眠気が末期)



『一年一組担任、ハヤサカ――』


 ……担任くらいは聞いてやっても良いか。


『――は諸事情につき本日は欠席です』


「初日欠席かよ」


「あはは」


 マイクの音量で掻き消された僕のツッコミ、父さんにしか聞こえなかったみたいだけど、全生徒が思ったであろうツッコミだったと思う。

 眠過ぎてもう進行の声が聞こえなくなってきたけど、ユウヤのクラスの担任は女の人だって言うのは分かった。優しそうな人だ――




 ――其処で意識がシャットアウトした覚えがある。











「入学式で寝るなよ、」


「眠かった」


 戻ってユウヤです。自宅に帰って来たと思ったら、アサキがマヒル兄にそれだけ言われてばたんきゅーしました。……え、死語?


「アサキは人一倍春の現に乗せられやすいからな……」


 苦笑してそう言うマヒル兄は、制服姿ながら寝てしまったアサキに何時もながら毛布を掛けてやった。相変わらずあまあまだなぁ、マヒル兄。人のこと言えないけどさ!


「楽しく行けそうか、学校」


「うん! カイト君同じクラスだし! ……アサキはどうか、分からないけど」


 寝てるアサキを見遣りながらくすり、と微笑めば、マヒル兄は何処か自信満々に笑っている。ニヒルな笑み、――珍しい笑顔かも。


「アサキなら大丈夫だろ、きっと」


 何を根拠に? 其れは聞けなかったけど。マヒル兄がそう言うなら、そうなんだろうね。



 兄貴なんだからちゃんと見守ってやれ、最後にマヒル兄はそう俺に言った。




 うん、頑張るよ、お兄ちゃんは!




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