176+遅ばれ進め、修学旅行。/はち
リョウコです! よく分からないけど、班長になりましたっ!
「うわ~、見て見リョウちゃん、タコ焼き美味しそうだよ~」
「モモ、単独行動は駄目だからね」
目を離すと此の上なく厄介だからね、此の子は。まあでも私の横を離れないみたいだから良いんだけれど。
「うおーっ! 京都ーっ!」
「舞妓さん見たいよ舞妓さん寧ろなりたいよ」
「ふふふっ、二人共テンション大丈夫かい?」
――問題はあの三人ね。ヒコクアサキとニカイドーアスカは何か老け込んで二人してとぼとぼしてるから問題ないし、やっぱりあの三人をどうにかしなければ平和は訪れない訳よ!
「あ、リョウちゃんリョウちゃん!」
「何よヒコクユウヤ!」
「あっちに甘味屋様があるよ!」
「何で甘味屋に様付けてんのよ!?」
うきうきモード全開で私にそんなこと言われても……。第一――今から何処行くのよ、私達。
「其処の老夫婦、最初は何処に行くのかな?」
「其の場合、アサキ君と俺、どちらがお婆さんなのでしょうかね?」
「さあ」
「ツッコミ放棄しないっ! “誰が老夫婦だ”の一言くらいないの!?」
サキネユキのボケくらいアンタ達で対処しなさいよね!? ――ああもうっ、まだ全く周ってないのにもう疲れた。
「僕は希望ないけど、出来れば低燃費で済むコースが」
「同じくです」
もうやっぱり老夫婦で良いわアンタ達。何処の年寄りよ。
「ふふふっ、リョウコ班長お疲れですね!」
「分かってるならアンタも手伝いなさ――」
カシャッ! ジー……
「写真撮るな! ていうかポラロイド!? 何て古いカメラ渡されてんのよ!!」
「何を言うんだいっ! ポラロイドだって歴とした現代のカメラさっ、カラーだよ!」
「カラーなの!? 無駄にハイテクね! ――じゃなくて!」
――会話が進まないじゃないのよ!
「あの、リョウコさん」
「今度は何ニカイドーアスカ!?」
「あはは、凄い形相」
誰 の 所 為 よ 。無駄に爽やかなニカイドーアスカは女の子に遠慮なく呟けば、今度は少し遠慮気味に、
「ユウヤ達、居ないんですけど」
さっき以上に聞きたくなかった一言を告げた。
――もう嫌ァ!!!!!!