175+遅ばれ進め、修学旅行。/なな
暫くは修学旅行編。
「俺映画村に行きたいっ!」
「えー? どっちかっつったらアレ、天満宮行ってこなきゃ俺達やばくね?」
「えへへー、私もかなー」
「そうよアンタ達! 受験あるの忘れてるんじゃないわよっ!」
ユウヤでっす! リョウちゃんにイタいところを突かれた俺達後期組。まあ仕方ないよね、後期ってほんと数人しか取らない訳だし。……そっ、其の為にもちゃんと行こうか、天満宮さん……! 道真公、俺達に祝福を!!
「じゃあ、ユウヤ達の班は七人だね」
「ほーい」
受付に居たあーや先生は相変わらずの笑顔だった。
そうです、修学旅行二日目にして今日は自由に京都見学!! 昨日は色々疲れて大変だったけど、今日はすっごく楽しみにしてただけあって朝から今までハイテンショーンっ!
「班長と副班長は誰かな?」
「……だっ、誰だろ」
「決めとけって確か僕、言ったよね」
「わああっ、先生の表情こええっ……!」
危険だ、いち早く適当でも良いから班長と副班長を決めねば。決めてないとか言ったらマジ殺されるのでアイコンタクトでアサ君を見れば、再びアイコンタクトで返された二人を見る。
「班長はカトウさんで副班長はユキ君です!」
「はいい!?」「おや?」
だってアサ君が(目で)言ってたんだもん。
「そう、それじゃあカトウさんにはこれ渡しておきますね。経費削減だから使いにくいかもしれないけど……。ユキ君にはカメラかな」
「は、はい……」
「ふふっ、ばんばん撮らせて貰おうかな!」
仕方なく受け取るリョウちゃんに、ノリノリなユキちゃん。背後に黒幕が満足そうに踏ん反り返ってるけど、どちらかと言えばその隣のアスカの方が黒く見えるなんて俺は言えなかっやば目ぇ合った怖い怖い!
「どの辺が経費削減なんですか?」
「ええとね、繋がる本部の連絡先がイツキ先生の個人番号だってところです」
「ようしアヤメまずは歯ァ食いしばれ」
――嗚呼、其処でも修羅場が。
実に爽やかな笑顔で火花散ってるけどやめようよ先生達、リョウちゃんが聞いちゃいけないことだったんだって全力で落ち込んでるからさ!? あと背後の黒幕が何気に番号メモり出したから、はぐれた時用とか考えてるはずないし、確実に個人番号に惹かれてメモり出したからさ!
「アヤメテメェの番号だけ消しやがったな!?」
「ふふふっ、嫌ですねイツキ先生、プライバシーの侵害ですから当たり前ですよ」
「俺のプライバシー何処やったああ?」
「そろそろ行きましょうか」
仲の良い先生達を尻目に、背後の黒幕がメモった番号を自分の携帯に登録し終わって爽やかな笑みで俺に言った。修学旅行に来てからアスカの機嫌が三割増し良いんだけど何なんだどうしよう。
「そうだね、行こっか!!」
まあ、気にすることなんてしないけどさ☆
俺がただじゃ済まないもん。




