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171+遅ばれ進め、修学旅行。/さん


「じゃ今から自由時間だからねーっ! 皆っ、集合時間に遅れたら置いてっちゃうからな~?」


 隣の三組から少々笑い声が聞こえた。そんな穏やかな雰囲気を見て、ちょっと羨ましくなったユウヤです。


「キクカワ先生はああ言ってますが、本当に遅れたら容赦しないですから」


 二組は完全ブ リ ザ ー ド ☆

 あーや先生の笑顔が怖いよ! 菩薩が如き爽やかな笑顔なのに、何で背後にブリザードが見えるの!? でも何だかんだであーや先生は優しいことくらい知ってるんだからね! 多分!! きっと探してくれるに違いないさ! 多分!!



「一組ー、キクカワもアヤメもああ言ってるが、俺は容赦しないっつーか何つーか、全力で置いてくからな特に二班」


 第一、ああ言われてる一組を見れば少しならずとも気が楽になる訳だよね。

 「あっれーおかしいな、サックラせんせと何故か目ぇ合ってる俺」というカイト君の声も聞こえたけど、直後解散になってクラス別行動になったことで色々掻き消された。



 ちなみに今俺達が居るのは某寺院。鹿が沢山居るあの奈良の公園に居ます!


「ねぇねぇアスカっ、鹿煎餅買おうよ!」


「あはは、買うのは構いませんが、後で後悔しないで下さいね?」


 何やら意味深な台詞だったけど、俺は全然気にせず購入。


 ――刹那、数匹の鹿に囲まれた。



「――貴様等、謀ったな!?」


「そりゃあ餌貰えますからねえ」


 笑顔でこちらを見るアスカは、冷静に使い捨てカメラで写真を撮っていた。……撮ってないで助けて下さい!


「ぎゃー! ちょ、怖っ、鹿近っ、うぎゃそれは煎餅違う俺のさーいーふー!」






 数分後。


「ぜぇ……はぁ……助かった……!」


「お疲れ様です」


 俺と同じく鹿煎餅を買ったらしいユキちゃんが、「さあ鹿畜生共よ、私に付いて来れたならば褒美をやろうではないかっ!  はっはっはっは――」と言って鹿共々何処かへ走り去って。

 学年一速い足を何てものに活かしてるんだろうあの人は。


「ですから、後悔しないで下さいねって。此処の鹿達は空腹なんですから」


「だったら先にもうちょい具体的な情報が欲しかったかも!」


 でもまあ、騒いでいても仕方ないし、時間も限られてるんだから次行こ、次。






「うわ~、リョウちゃん見て見て~」


「見てって言われなくても見てるわよっ」


 モモです。自由時間となれば当たり前にリョウちゃんと一緒に居ます。大仏様って凄いなぁ……おっきいなぁ……。


「沢山居るねー、大仏様」


「そうね、こんなに沢山居るとは流石に思わなかったわ」


 リョウちゃんは笑顔で辺りを見回してる。お寺とかってつまらないイメージあるけど、やっぱり大きさとかが出て来ると違うものだよね~。


「なんか修学旅行だってのに、もう、少しだけ満足感があるわ」


「リョウちゃん早いよ~、明日が本番みたいなものでしょ?」


「は、明日?」


「アサキ君達との自由班」


 途端、笑顔だったリョウちゃんから余裕が消えた。


「ば、馬鹿ねモモったらっ! べ、別に私はそそそそんなにたたたたたのしみとかじゃ――」


 凄く吃ってるのに冷静さを保ててると思ってるリョウちゃんって凄く可愛いなぁ……。遠目に含み笑いでこっち見てるユキ君とロクジョー君が見えるけど、其れはリョウちゃんの為に言わないでおこっと。







「ないんだからねっ!? 分かった!?」


「うん、そうだね」


 まあ、楽しみなんだよね、リョウちゃん。



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