170+遅ばれ進め、修学旅行。/に
引き続くアサキです。
あの後新幹線なのを良いことにユウヤまで乱入してきて大変だった。結局寝れないし、寝たかったのにあん畜生。
「おら、とっとと並ばねぇと次行けねぇぞー」
一組に向けてサクライ先生が叫ぶは駅内のとある一角。決められた班ごとに並べやこの野郎、と悪態をついている訳ですね分かりま――
「二班並べ――アサキ! お前班長だろうが!」
「うわあ」
忘れてた事項を綺麗に思い出させてくれやがりましてあの先生。スキーの時は押し付けたのに今回は、
『待て参謀! 今回は正々堂々じゃんけんで――』
『黙れ腐れ外道』
と言った具合にミトウが――え、別にその後の罵倒でミトウが落ち込んだのが面倒臭かったとかじゃなくてだよ、うん。
まあ、じゃんけん負けたんだってば。
「なあなあユキ、京都って舞妓さん居ねぇのか?」
「舞妓さん? 居るだろうが駅には居ないんじゃないかい? 動きにくいと思われるし……」
「軍曹、酔った」
「俺に言われても……」
「軍曹、疲れた」
「だから俺に言われても!」
仕方なく先生の方に行き、後ろを振り向いたら嫌気が差した。スキーの時と班はほぼ変わらないし――つーかユキが入っただけだし――楽は楽なんだけど。――……テメェ等。仕方ない、声をかけてみよう。
「おい二班、並べって」
「タコ焼き食いてぇなー、本場って美味いんかな」
「そりゃもう美味しいだろうさ!」
「黙れー並べー」
「軍曹~!!」
「うわあ! おいハルナ! よっ掛かるなよ!」
「やれやれハジメー」
「――……俺が“並べ”っつってんのが聞こえねぇのか?」
「「「はい」」」
すちゃ。
速やかに返事をして並んだのは主に後半三人だったけど、辺りに夢中なカイトの首根っこを引っ捕らえて並んだユキに免じて許してやろう。
「二班並びましたけど」
「早かったな、お前が班員を脅した件に関しては目を瞑ろう」
「ちょ、さっ、サクライ先生! 今の迫力見なかったんですか!?」
「射抜かれるかと思ったんですけど!?」
「うるせぇ黙れ俺のクラスは俺がルールだ」
ミトウやらハルナやらの反論は通じない、改めてサクライ先生のクラスで良かったとか思った。
まあ今月でそんなクラスともおさらばなんだけど。
「それじゃあ一組、次バス行くぞー。……あっ、とその前に――未だ動くなカイリ、説明があった」
行動力抜群の班員を止め、サクライ先生は言う。
「明日の自由行動日の話だが。学校でも言った通り、三人以上八人以下のメンバーでならどのクラス同士で組んでも構わねぇって話だったな」
はあ、その説明か。
僕は何時もの七人だから特に気にしてなかったけど。
「今日中に班長と副班長か決めといてくれ、班長には俺やアヤメとかに繋がる携帯渡すから」
先生は珍しく先生らしくして、分かったな、とクラス全員に確認を取った。ていうか先生、今日ばかりは本当に先生らしい。まあ、いいんだけどさ。
「んじゃ質問とかあるかー、無かったらバス行くぞ」
「はいっ! 先生今日に限って超先生らしいけどどうしたんスか!」
「うるせぇ」
「はい」
カイトが質問したけど答えてねぇな其れ。