169+遅ばれ進め、修学旅行。/いち
「俺様いっちばーん! よっしゃあ、おるぁ!! ぐふっ、ジョーカー!!!!」
「無駄にやる気満々格好良いよ~ロクジョー君!」
「ふふっ、そして引いたモノを口にしてしまう辺りがカイリらしいね」
おはようございますアサキです眠いので寝ていいですか。
「ほらアサキ! 俺様のカードを引けっつーの! 其れかジョーカー引け!」
何故朝っぱらからこんなにも元気なのか、僕には分かり兼ねるが楽しみというのは睡魔を凌駕するように出来ているらしい。……かっこ僕は除く。
「……」
「ふははははさあさあジョーカー引けー!!!!」
スイッ。
「畜生!!」
「そりゃ初っ端ジョーカー引く訳ないだろうが阿呆、あ、上がり」
「早っ!!」
「早くないかい!?」
「凄いね~」
ていうか顔に出てるんだけどさ。何故か最初から手札一枚だった僕は一発上がりをした所で。ポーカーフェイスとは程遠いカイトとにこやかな残り二人が接戦を繰り広げ始めた。
修学旅行ということで、関東人な僕等が向かうは関西地方。日本の都道府県の府、京都大阪という訳だ。
「はい、私も上がりだよ~、ごめんね、先上がっちゃって……」
「ふふっ、まあ勝負事に恨みっこはなしさ! さあてカイリ、勝負だ!!」
「望むところだぜ!」
「お前等、音量下げろ、五月蝿い」
新幹線は静かでいいけど、だからって何時間もこいつ等と騒いでたんじゃ僕の身が保たない。
……凄く寝たい。
「だぁあーッ! 負けたーッ!」
「ふふふ、危うく最下位だったよ」
「もう一回! 勝つまでやっかんなー!」
「自分が勝てないことを知っているところは殊勝だな」
「しゅしょうってなぁに?」
「……何でもない」
――誰か助けて。