167+順当な結果です。
ざわざわ――
ユウヤです。
只今の時刻は朝九時頃。普通に学校の時間だけれど、何故か俺が居る場所は――とある高校の門前だったり。
「……なんで俺、此処に居るんだっけ」
時間は一時間前に遡るんですけどね。
『アッサくーん! ほらほらっ、合格発表見に行くんでしょ! 起きなさーい!』
『――……』
『アサキー?』
『……ユウヤ、見てきて』
――と、何とも端的な話だけれど、アサ君が駄々捏ねたからなんだよ。あれだけ自信満々だった癖に、自分で見るのは嫌なのかなぁと。ふふっ、アサ君ったらぁ。まあそれは良いんだけど、――俺が見に来るの、おかしくね?
普通親とかでしょ、だって俺ふつーに学校なんだけど。何此の複雑な感情、遅刻だよ、寧ろ遅刻を越えてサボりでしょ。
とかなんとか一人で唸っていたら、聞こえていた騒ぎ声が一層大きくなる。
「あ」
合格発表が張り出されたみたい。きゃー、やら、わー、やら、ちきしょー、やら。うんうん、数人は落ちちゃうのは仕方ないよね。……ええと、アサ君の番号はー。
「アンタ、何やってるのよ?」
「おう?」
あ、リョウちゃん。
「やほー」
「じゃないわよ。アンタは前期受けてないでしょ?」
「うん、アサ君の代理」
「……」
何か超複雑そうな表情された。俺だって複雑だい。
「あ、リョウちゃん受かってた?」
「え、えぇ、まあね」
「じゃあアサキは?」
「は? み、見た訳ないでしょ!? っていうか番号知ら――」
「嘘はいけないよリョウちゃん」
「――受かってたわよ」
やっぱり知ってた。
「五月蝿いわね! たまたま知ってただけなんだからね!? アンタなんかとっとと重要書類貰って来なさいよっ!!!!」
そう叫びながらリョウちゃんは走り去ってしまった。叫ぶ割に次やることを的確に教えてくれちゃうんだから良い人だよね。
『あ、もしもしアサ君?』
「うん、ちゃんと書類貰った?」
『……合格なのは確定なんだね』
ベッドの中からアサキです。今日はどうしても出たくなかったんだ、なんかもう、アレ、週末疲れとか。
何処ぞからのユウヤの電話に寝返りをうてば、ひとつ溜息をついてみる。
『俺今から学校行った方が良い?』
「当たり前じゃん」
『でも俺、名目上サボりじゃん』
「僕が体調崩したから代わりに書類取り行かせた――ってさっきアヤメ先生に電話した」
『……』
ちなみに先生は『そうですか、まあアサキ君なら絶対受かってるものね』と爽やかに仰って下さった訳で。
『まあ、うん、じゃ』
「じゃ」
何か呆れ気味だった気もするけど、其れは気にしない方向で。
「……合格、と」
正直言えば自信はあったけど、絶対な確証なんて何処にも無くて。体調、というかベッドを出たくない理由もきっと其処にあるからこそ、ユウヤに頼んだんだけどさ。
ともかく、無事終わって良かった。
さて、母さんに電話でもするか。