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165+何時も通りが必勝法。


「あのー、アサ君?」


「……ん」


「まだ起きないの……?」


「……何時」


「もう普段起きる時間なんだけど」


「……あと五分」


 ちょ、何此の子、全くやる気ないんですけどユウヤです。何を隠そう今日は運命を分ける分岐点といっても過言ではない受験日ですよ、アサ君にとっちゃ。あ、俺は後期しか受けないから。

 なのに緊張? 何で僕がそんなのしなきゃいけねぇの? 的なオーラ全開で、ギリギリまで寝ていらっしゃる此の暴君を起こそうと必死な俺。アサキやーい、そろそろ起きようよー。優雅な朝を迎えようよー。


「ユウヤ」


「なあに?」


「今日の飯何」


「早く起きないと朝から焼肉にするよ」


 質問が全く優雅じゃねぇよ。









 やっとのことで覚醒したアサ君。黄色のエプロン姿でリビングに居た兄貴――不似合いなはずなのに似合ってるし――が普段通りに朝ご飯をセットしていた。


「ちゃんと食えよー?」


「食うし」


「嗚呼もうアサキ零してる」


 こういう日でも自宅に父さんと母さんの姿は無いけど、何か最近其れが普通になってきちゃってるんだよね。……本人達に言ったら全力で休み取ってきそうだけど。

 何だかんだマヒル兄はよく居るし、なんか平和だなぁ。


「ユウヤ、早く食わねぇと遅れるぞ」


「え? ぎゃああ、アサキ食うの早ッ!!」


 一人のんのんとしてたら置いてかれてしまった。ちきしょ、学校休みだから遊びに行くんだぞー俺だって。


「スムーズに動くぜ」


「……ちょ、アサキ実は結構緊張してるんでしょ? 普段んなこと言わないよね?」


 図星なんだろうけど此れ以上言ったらシャーペン飛んでくるどころじゃ済まないから引き下がる俺、健気なお兄ちゃんだよね!


「アサ君、忘れ物ない?」


「多分」


「筆箱持った?」


「うん」


「健康な身体持った?」


「日頃からね」


「未来に突き進む勇気も持ったか?」


「マヒル貴様は何が言いたい」


「あと糖分とか」


「……お前等は何なんだ」


「お「兄ちゃんですが何か」」


「……」


 アサキが凄く呆れてるけど、頑張って欲しいんだもん。


「じゃ、行ってくる」


「おう、いってら」


「頑張ってねっ、アサ君!」


 学校に行く時と変わりなく出ていったアサ君。相変わらずだね、とマヒル兄と笑いあったのは言うまでもなく。


「前期でほぼ取っちゃうんだし、アサキなら大丈夫だよね?」


「まあな、あの学校はアサキの偏差値よか十以上低ィしな」


「宝の持ち腐れだね」


「そしてユウヤの五程上」


「言わないで、前期で落ちたらショックでか過ぎてやばいと思ったから後期回ったんだから言わないで」


「ま、大丈夫だろ。俺の母校だ」


「……」



 其れこそ宝の持ち腐れだけど、とりあえず言わないでおいた。

 とにかく、頑張ってね、受験。




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