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156+本日は豪風注意につき。


 ユウヤでっす! 入試が近過ぎるので皆で学校帰りに遊ぶことにしましたっ! おかしいだろ、って思った皆~? ――これはヤケクソっていうんだ。


 文字通り皆――七人という大人数でゲーセンに言ってみたりした訳です。中学生じゃないのか、っていう視線は全身全霊を以ってスルーさ!! 受験生じゃないのか、って視線には心を窓をシャットダウン!!!!



 と、いう訳だけど流石に真面目リョウちゃんや隠れ真面目ユキちゃんも居る訳だし、そろそろ帰ろうか、と外に出たら。




 ゴー―――――




 ――あれ、風強ぇ。

 関東は本日の宵、豪風です。




「うわぁ、前見えねぇ」


「もうっ、誰よ! 入試前に一度羽伸ばそうとか馬鹿なこと言ったの!!」


「ユウヤ君だよ~」


「その話にノリノリだったのはリョウコさんですね」


「ううううるさいっニカイドーアスカ!!」


「あっはっは! 聞いてくれたまえアサキ! 身体が勝手に動くよ!」


「散れ、そのまま風と共に去れ」


 誰を誰と言わなくても分かる個性ある俺他六人。風に拒まれ――一部誘われ――砂に見舞われ……うわ、口に入った。


 そのままぎゃーぎゃー騒ぎながら歩くも、少しも風が止むこともなく。普段の何倍疲れるの此れ。


「アサ君、大丈夫?」


「進めない」


 あ、怒ってる。なかなか前に進めなくて怒ってる。

 うーん……此処はアレだね、何か楽しい話でもしよう!


「ねぇねぇアスカ!」


「何ですか?」


「俺、明後日誕生日!」


「知ってますよ、受験期丸被りなんですよね」


 そうなんです! 俺は明後日が誕生日! ――というのを今月入って数十回とアスカに言い続けているんだけど。


「あー、そういや誕生日だっけ、プレゼントは破壊力のある――」


「ものは要らないから」


 相変わらずのカイト君。リョウちゃんの時も同じこと言ってたっけな、破壊力が必要な誕生日って何なんだろ。



「ねぇリョウちゃん」


「何よっ、――ああもう! 風何時止むのよ!!」


「ごめんねリョウちゃん、でもひとつ言いたくてね」


「何?」


「ユウヤ君、誕生日だって」


「聞こえてるわよ」


「だから、――アサキ君も、誕生日だよ?」


「……………………受験どころじゃないわ!!!!」


 ――リョウちゃんが何か覚醒した。

 気付いてなかったのかな、俺数日前から一組にも言い触らしてたはずなんだけど。風に舞うリョウちゃんのポニーテールがリョウちゃんの発狂すべく感情を表している気がする。……あれ、アサ君聞いてたかな今の。


「アッサく……て、ちょ、アサキー?」


 超後方に居るし。まさかもうギブか弟。

 皆に声を掛けて戻る俺。


「あの、アサキ?」


「疲れたもう」


 ああやっぱりギブでした、兄ながら思う、風圧にやられる弟って……。滅茶苦茶不服そうに立ち止まっていたアサキの荷物を持ってあげれば、引っ張って皆に合流。


「ギブが早ぇよ」


「五月蝿い体力馬鹿しぬれ」


 苦笑なカイト君に暴言を吐く元気は残っているようなので、そのままれっつらごー!





「そういやぁアサキ、お前私立受けないなんて強気だよなー」


「アサ君なら風で戦闘不能だよ」


 俺が引っ張ってんだもん。


「モモ! 其処車道だから!!」


「モモちゃんとユキちゃんは風と戯れてるんだよ」


「それどういう意味ですか」


 解説する俺を交えて正常な人は四人、と。後ろで風と戯れてる人達はスルーに近いね此れ。カイト君やリョウちゃんがタフなのは分かるけど、アスカって調子良い時は頗る元気なんだよね! さっすがアスカ☆ ――常時中途半端なアサキとは違うよ。



「誕生日か、誕生日……」


「何だよリョウコー、お前は良いなー、受験以外のこと考える余裕があってよー」


「悪かったわね。……でも、誕生日……」


 さっきからリョウちゃんはぶつぶつと喋ってるけど、安心してリョウちゃん。――アサキには全く聞こえてないからさ。



 という訳で、やっとこさ家近く。

 皆各々ばいばーい、と別れて、――結局最後までユキちゃんは風と戯れていた。本当、何時からユキちゃんってボケてたっけってなるね!


「アサキー、家着くよー」


「んー」


 引っ張られてただけなのに其れでも不服そうな弟。……うん、久しぶりにアサキが何か可愛――いいえ何でもございません何で分かったの睨まないでこあい!!


「じゃ、ユウヤ」


「ん?」


「帰ったら勉強な」


「……はい」



 ちきしょう! やっぱりスパルタだ!!




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