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15+健康なのが一番だよ。


「二人共、成績表は?」


 此のタイミングで来るのか母さん!

 クリスマスが明けた次の日、休暇を満喫する母さんとマヒル兄の居る中、俺達はゲームをしています。だって暇なんだもん。という訳でこんにちは、ユウヤだったりします。


「何だ、お前等未だ見せてなかったのかよ」


「昨日は何にも言われなかったから」


「そーだそーだ!!」


 マヒル兄の問いに少したりとも目を画面から離さないアサ君、ゲーマーは何か違う。兄弟三人でやってるはずなのに、何だろう此の実力の差。


「じゃあ今お母さんに見せてー」


「うん」


「うぇ……」


 素直なアサ君と呻きにも聞こえる俺の声、だってあんな成績……。


「兄、ゲーム中断しといて」


「おうさ」


「一人で進めたらコ ロ ス」


「アサキよ、兄ちゃんに何て事を言うんだ」


 アサ君はゲームになると人が変わるから仕方ないんだよ、マヒル兄も学習能力がないなぁはっはっは。



 二階から持ってきた各々の通知表を見て――母唖然。


「ユウ君……?」


「ごめんなさい」


 先手必勝☆先に謝るぜ!!!!


「何何、俺も見るぜ」


 後ろからマヒル兄も覗き込む。そして再び――唖然。


「「……」」


 ザ・硬直。

 そんなに? 俺の成績そんなに酷い? いや、酷いけどさ、いっちー先生も譲歩して1じゃなくしてくれたしさっ、……ね?


「何か……変?」


「「凄く」」


 口を合わせるなやい!!


「にしても……二人共並……って感じだよなぁ……」


「並で悪いかぁ!! ――ってアサキも?」


 隣りでボーッとしてるアサ君の通知表を見ると、結構バラつきがあった。

 俺達の学校の通知表は上から国語、数学、理科、社会、体育、英語、美術、音楽、技術家庭なんだけど、アサ君の通知表は……。


「3,5,5,3,2,5,3,4,4」


 どうした実技の一部。


「寝れない教科が多くて」


 寝れないのが高いんだろうな、数学とかいっちー先生だし。


「まぁ、アサちゃんは体育とか苦手だもんね?」

 

 母さんがアサ君の頭をよしよしと撫でた。俺達中学生なんだけどな、母さん覚えてるのかな。そして黙って受けてるアサ君は慣れ過ぎて特に反応が無い。


 其の横で僕の通知表を見て突っ立つマヒル兄。


「2,2,2,3,5,3,4,5,5」


 え? 今のが何かって? 勿論俺の成績だよ? 前半おかしいって思った人はメッコメコにしたるぜ。


「まぁユウ君は実技得意だもんねぇ?」


 そして母さんはおんなじ反応。見せても怒らない母さんが俺は大好きです。


「……こいつ等は母さんに似たんだろうなぁ……俺父さん似で良かった」


「お兄ちゃんったら、ママと弟達が可愛くないの? まー君?」


「その呼び方はやめい母親。そしてあんたは別に可愛くないだろうが」


 何を嫌がるのかマヒル兄。家を出る数年前までずっとまー君だった癖に。


「まぁ、ママは別に成績は気にしないわ。1があったら別なんだけど」


 ぎりぎりセーフ!!!!


「私はこっちを見るのよ、ね?」


 こっち……というのはすなわち通知表の右側。俺達の学校だけなのかは知らないが、そこには担任の先生が生徒を見定めた色々なコメントや○印が載っている。俺の場合、大抵“健康”に○が付いているんだ、ははっ。


「じゃあユウ君からね」


 ぐはっ、俺自分でも見てないのに! アヤメ先生何書いたんだろ……?


「“男女共に対等に仲良く出来、健康的且つ元気に日々を過ごしています。”」


 何だ、普通。寧ろ俺にプラス。先生にしては何も――


「“出来ればその元気な力を勉学に持って行けると良いでしょう”」


 ――あるよね、うん。流石に2だけの三教科はキツイよ。自分でも思う。


「ユウヤ」


「何?」


「勉強しろ」


「よしきた」


 マヒル兄からの一言でした。


「次」


「あーちゃんのね」


 アサ君のは一体何が書かれているのだろうか……自分のよか数十倍気になる。


「“非常に優れた頭脳を持っている為、これといって勉学面に非はありません。”」


 この人本当に俺の片割れなんだろうか。でも持っているのところに修正器が使われている。……うっすら“はず”って見える。……持っている“はず”。


「“多少の好奇心の無さが見られるものの、これは個性として受け止められるものです。”」


 ほう、この無気力人間が個性だと。いっちー先生アサ君のコメント書くのにどれだけ頭を捻ったんだろう……。


「“後はもう少しの真面目さと協調性があると尚良し。素直さがあると尚尚良し。”」


「後半何やら希望が混ざってる様な気がすんのは兄ちゃんの気の所為か?」


「先生此れでもオブラートに包んで書いたと思うよ、俺」


 マヒル兄もアサキを見てれば分かるのかもね。でもこんなアサ君が良いんだよ、うん。


「……うん、健康で頭良いならママは其れでオッケー!」


 我ながらこの母親は何基準なのか良く分からない。アサキと俺が逆だったらいけないんだろうな……。


「あら、もう三時じゃない。おやつにしましょ!」


「「はーい」」


「……」


「何で一番下が一番やる気ないのかしらね家うちは」


 いそいそゲームに戻るアサ君。花より団子逆バージョンの我が弟。


 ま、そんなアサキだからいいんだけどね。


「視線が厚かましい」


 心を読むな。



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