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147+本人が一等驚いているであろう。


「ユウヤー、どうだっ――」


「う、うああああ……!」


 週初めですカイリだ。なのにテストだなんていうものだから昨日は寝れなかったぜー。珍しくもアサキまで寝不足らしくって理由聞いたら、


「ユウヤの勉強の所為で三時近くまで起きてた」


 という訳らしい。

 うあーユウヤやる気だなー、普段俺よか勉強しねぇから俺よか点数低いのに。しかもアサキまで引き連れて――まあだから朝から酷い目付きなのは怖いけど。


 んで放課後。勿論俺のは聞いちゃいけねぇぜ! 前よか悲惨な予感、つーか数学って何? サックラせんせーはなにしてくれちゃってんのかなあ?

 二組のユウヤをアサキとユキと一緒に尋ねたら、――なんか叫ばれた。怖ぇよ。


「ユウヤ、どうしたんだい?」


 ニコニコのユキが優しめに聞いている。此方としては急に叫ばれて、俺がうああ……! だけども。



「何か、俺、自分が自分じゃない気がするんだ……」



 急に電波だな。

 死体を見たかのような驚いた表情をしながら、ユウヤは俺達を見る。


「何やら急な話だね? 何かあったのかい?」


 しかし相変わらずユキはユキで。のんのんとユウヤに尋ねる。因みに、アサキも居るからな? 未だ目付き悪く突っ立ってるからな! うわお言ったら怒られそうだぜ!!



「実は――」


 意を決した様子の不安そうなユウヤ、其の手には一枚の紙が。紙――数字の羅列を見るところ、其れはこの俺様を苦しめた数学のテスト問題らしい。しかしその問題用紙には問題があった、あの冷酷鬼畜数学教師サクライイツキ、彼から連想するにはあまりにも綺麗過ぎる問題文とは別に――シャーペンで書き込まれ文字がびっしりと。



「俺――数学の問題が全部解けたんだ……!」


「「何だって……!?」」


 ざわ――空気の流れが止まる。一瞬にして凪と化した二組の教室内、其処に感じられるのは残り少ない生徒達の呼吸音だけだ――



「当たり前だろ」



 ――あれ?


「昨日、実質今日の三時まで此の僕が勉強教えてあげたんだ。数学の点数の五十や六十上がって貰わなきゃ困るんだよ」


 どうやら凪と化した状況でも、弟の寝不足に対しての怒りは収まらなかったらしい。そしてユウヤの普段の点数が最低四十点以下なことが分かった。


「で、でもだよアサキ! 俺だよ!? 此の俺が、数学のテストを何の漏れもなく出来ちゃったんだよ!?」


「どうせミスしてる箇所があるんだから、先ずは書けてくれなきゃ。第一お前は毎回勉強ちゃんとしないから出来ないんじゃないか」


「でもー……」


「じゃあ、凄く納得出来ること言ってやろうか」


「え?」



「――……お前、誰の弟だと思ってんの?」









 ――某大学。


「ちきしょー! レポート終わらねー!! マヒル! 手伝って!!」


「……提出、期限昨日だったよな其れ」


「悪いか! つーかアノヤロウが期限一週間とかふざけたこと言いやがるから――」


「俺、あの講義中に終わってたけどな」


「……」











「そっか、そうだよね、アレと同じ血が少しでも流れてるんだもんね」


 あっさりと納得したユウヤは、一転してけろっとした表情をみせた。何なんだ其れ、お前達の中でマヒルさんって何なんだ? 確かに凄い人だとは思うけどー……今度姉ちゃんに聞いてみよ。



 しかしさてはて。テスト返し、どうなるやら。




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