144+ませた少年、馬鹿な青年。2
やあ皆、ユキだよ。寒い季節になったね、ふとコンビニエンスのおでんが食べたくなった私は、ただ今其の帰路の真っ最中さ! 早く帰って頂きたいね! ちなみにおやつさ!!
と思ったのだが。
「――あれは……」
近くの公園に、見慣れた銀髪を見付けた。あれは――セツさんではないか。遠目に見てもあの銀髪はやはり目立つね、どうやら今回は不良に絡まれている――という訳ではないらしい。
――だって、一人でブランコに乗ってるんだもの。
……あれ、あの人幾つだったかな? マヒルお兄さんと同い年だった気が……。
「あ、ユキちゃん?」
あ、気付かれた。結構距離があるはずなんだが、あまり特徴的でない私によく気付いたものだよ。
凄く笑顔で手を振られるものだから、行かざるを選ない私は其方へと向かう。まず聞くことはひとつだ。
「何、してるんですか?」
その歳で一人ブランコとは。
「あん? 暇潰しだぜ?」
ただの馬鹿なようだ。……いや、いけないいけない、しっかり話を聞かねばね。
「何故、公園?」
「いっやぁねー、連絡もせずにウミんとこに用事で来たんだけど居なくってよー」
「はあ……」
ほう、それはウミさんが悪いのではなく、確実にセツさんが悪い訳だね。……言わないけれど。
「チャリ壊れてるから歩いて来たんだけどさ、また歩くの怠ィし迎えに来てくれるはずのシロもちょい用事出来たらしくて未だ来れねぇらしいしー」
「だから、公園に?」
「おう!」
きーこーきーこー音を立てさせながら、セツさんは良い笑顔で言った。……凄く良い笑顔だね!
何処かのゲームセンターで時間を潰すとかの選択肢が浮かばないセツさん、素晴らしいと思う。
「そういうユキちゃんは?」
「私は買い物の帰りです」
「そっかー、暗くならねぇ内に帰れよー?」
「……はい」
大人らしいことを言われたのだが、生憎ブランコの音が邪魔をするね。
しかしどうしたものか……このまま帰っても良いのだが、セツさんをこのまま放置するのは気が引ける。……寂し過ぎるじゃないか、この人。
「あ!」
――と、今度は何なのだろうか? ガシャン、と先程とは違う音を立ててブランコから降りたセツさん。どうしたのいうんだろう。
セツさんの視線の先、其れは公園の中で遊ぶ少年達に向いている。サッカーをしているようだね。
「俺サッカー部だったんだよな! 混ぜてもーらおっ!!」
じゃなー! と元気良く手を振るセツさんは、少年達の方へと向かっていった。少年達は暫くキョトンとセツさんを見ていたが、直ぐに慣れたのか一緒にサッカーを始めていた。なんという順応性……アサキなら絶対やらないね。
私は暫く其れ等を見遣り、何故か幸せな気分で自宅に帰ることにした。……ふふっ、セツさんはとても茶目っ気ある人なのだね。
Prrrr.
「もしもしーロクジョーですけど」
『あ、カイリ君ですか? 空乃中学校三年担当のアヤメですけど』
「うぇ、先生どったの、俺何やらかしたよ」
『今日はプライベートですよ、貴方の成績に問題はありません。――今日、弟が其方に行きませんでした?』
「……セツさん? ちょい待って。――姉ちゃんに聞いたけど来てないって」
『……そう、ですか……。今日「ウミんとこ行くから帰り迎え来て」って言った癖に携帯繋がらないもので』
「セツさん何してるの。って、もう八時じゃん。……え? ――あ、せんせ? 姉ちゃんがもしかしてマヒルさんとこじゃねぇかって」
『……マヒル君ですか。番号、教えてもらえるかな?』
ぴーんぽーん、ガチャ。
Prrrr.
「え、あ、ちょ、誰か来たそして電話――」
「うわああああマヒルうううう!!!!」
「んだよセツかよ呼び鈴鳴らした意味を教えろよ。んでちょっと待て、電話だ。もしもし――」
「公園で遊んでたら携帯無くしたあああああ!!!! ウミん家ら辺から歩くの疲れたっつーんだよおおおおお!!!!」
「うるせぇイイ歳して公園で遊ぶな!! え、あ、はい、あ、今家来ました。携帯無くしたみたいです、はい。――お兄さんが迎えに来てくれるってよ」
「うわあああああ」
「五月蝿い、黙れ。……ほら、こたつ入って良いから落ち着け、何か飲むか?」
「わーい、飲む」
「……」
茶目っ気というか、ただの馬鹿だが。