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「じゃーなー!!!!」


 カイリだ!

 学校が終わって帰宅だぜ! え、部活? なーに言ってんだよ、俺部活入ってねぇし? というか俺達受験生だっつーの。

 さて、今日は帰って何やるかねー。


「アサキー、帰ろうぜー!」


 用事がある、とか言って二組に行ったアサキを追ってやって来た俺。其処には案の定アサキが居て、先に帰るらしいユウヤに軽く手を挙げて別れていた。

 そして何時も通り急ぐことなくこっちにやって来る。


「うん。……あれ、ユキは?」


 其れは俺も思ってたことだ。クラスに居なかったんだよな。左の方――要するに、一組の方――に視線を巡らせて、ユキが居ないことを確認。何だ、先帰ったんかな。


「――私なら此処さっ!」


「ぐふっ!!」


 しかしあっかり見付かった。廊下に居た俺の真横に現れた。勿論左側から。しかも何故か俺に激突してきながら。


「ふっふっふっふっふっ、油断していたねカイリ、私が何時でも教室からやって来ると思っていてはいけないよ!」


「普通に教室から来いよ……つーかおま、滅多に激突とかしてこねぇだろーが痛い!!」


 そういうキャラだったかお前は!!

 最近ユキのキャラが分からなくなってきたのはともかく、脇腹が凄く痛い。ユキ痛い。


「サクライ先生に用事があってね、追いていかれないで良かったよ」


「そうなのか。ま、良いや、帰ろうぜー」


 とっとと帰りたい俺又はアサキなので、俺達はそのまま帰ることにした。












 けども。


「Let's make a venture!」


 ユキが叫んだ。相変わらずヤケに発音が良かった。

 校舎を出てまだ数分も経っていない、いや、寧ろ分単位経ったか? くらいの位置の校庭でそうユキが叫んだのだ。


「……今、何て言ったの」


 アサキが怪訝そうにユキを見た。完全無欠のアサキだが、どうやら英語は其れまで得意じゃないらしい。……畜生、それでも俺よか出来るってどうよ。

 だけど今回は俺は分かったぜ! ユキはこう言ったって訳だ。


「――探険すんのか?」


「その通りさ!!」


 探険したいらしい。

 アサキを見てみた。


「怠い」


 却下された。


「良いではないか!!」


 ユキは引き下がらなかった。


「怠い」


 却下された。


「何だいアサキ! アサキは私と遊ぶのと家でのんびりとするの、どっちが良いというんだい!?」


 ユキは頑張った。


「家」


 ユキは撃沈した。



「……」


「……分かったから、分かったから素で落ち込むのやめてよ」


 すぐ帰るからね、とアサキはため息をついた。でもどうやら探険に付き合うらしい。……何だかんだで暇だもんな、お前。二人の会話を微笑ましく思っていれば、何故かアサキが俺を見た。


「で、何処行くの」


「何で俺に言うの」


 普通其処はユキが決めるんだろ? ――と思いきや、ユキまで俺様を見てやんの。


「早く決めてよ」


「分かったから待てっつの、考えるから待て」


「後五秒、にーいーいーちー」


「カウントちゃんと五からしろよ!!」


「さあカイリ! 頑張って決めるのさ!!」


「だあーっ! 少しは時間を寄越せっつーのー!!!!」


 俺の中学校生活にユキが加わって早一年が経とうとしてるけど、やっぱりアレだな、人数は多けりゃ多い程楽しいかもしれない。


 ――とか思うんだけど。


「じゃ、何か食べて帰ろうか?」


「うん、それで良いよ」


 ユキが素を出せる人は少ないだろうし、アサキは元から大勢が嫌いみたいだし。


「三人って、妥当なのかもなー」


「「何」?」


 無駄に笑顔だった俺を見て、アサキもユキも不思議そうに俺を見た。



「――何でも!! よーし、帰ろうぜー!!」


 皆でやいやいも勿論良いけど、こういうのはこういうので大事だな、って。そう思った俺だった。


 平和って素晴らしいよな、結局探険じゃねぇってのは言わないでおく。




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