表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/500

138+ドキドキ☆ハロウィンパーティーナイト!!/後編


 アサキだけどそんなことはさておき。

 前半組が居なくなってから、早数十分が過ぎたので森に入ることにした。


 今回の肝試しのルートは、近くの森の奥にある神社に行くだなんて人を馬鹿にしている楽々ルートだ。木が多いから森だなんて呼んでいるけど、結局はただ木の多い一本道。ライトがあれば其れなりに困ることは無いし、少し肌寒いかな、くらいの話――なはずなんだが。


 後半組。


「うわぁ暗ぇ」


「ユウヤったら大袈裟だなー!」


「そうよ! 暗いだけじゃない!!」


「ユウヤ、近い」


 ユウヤ、カイト、カトウに僕。さっき気付いたんだけど、他三人怖いものが駄目だった気がするのは僕の気の所為だよね。僕に引っ付いているユウヤはともかく、カイトとカトウは笑ってるしな、ははっ。



 べちゃ。



「ん?」



「うわぁあああああああ!! 顔に何かべちゃってしたぁあああああ!!!! アサキ助けてよぉおおおお!!!!!」


「べちゃ!? 何なんだよ!! べちゃ!!? 気持ち悪っ!!!! 溺死した幽霊か!?」


「きゃああああああああ!!!!」



 うるせぇよ。


「ただの蒟蒻か何――」


「き、気持ち悪いよおおおおお!!!!!!」


「悪霊退散んんんんん!!!!」


「十字よ! 十字を切って神様に祈るのよ!!」


「うるせぇよ」


 つい口に出てしまった。人の腕を持ちながら騒ぐな、僕の腕を引きちぎる気か。

 騒ぐユウヤの近くにぶら下がる、恐らく蒟蒻に手を伸ばす。


 ぐにゃ。


 ぐにゃ? ――嗚呼、何だ、無駄に糸蒟蒻な訳か。セツさんとウミさんも無駄に変なのぶら下げた――



「「ぐにゃああああああああああ!!!!」」


「きゃああああああああああ!!!!」


「だからうるせぇよ」



 いちいち反応すんじゃねぇよ!!

 未だ最初だっつーんに此の先どうなるんだか……。凄く不安に思いながら、僕は持っているライトを落とさないように強く握り締めた。



「あ、あ、アサ君く、首があるよぇおおおお!!」


「叫ぶ前によぇお、って何なのか教えろ」


「けっ警察に連絡を!!!!」


「駄目だ! 俺達が犯人にされちま――」


「おちつけ」




「あっアサ君火の玉っ! の、呪われるよおおおおおお!!!!」


「青い炎は魂の証拠なんだろ!?」


「根拠のない情報は止めなさい」


「そっそうなの!? ご、ゴメンナサイ呪わないで下さい昨日ポケットのゴミをポイ捨てしちゃってすみませんでした!!!! だから助けて下さ――」


「お・ち・つ・け」




「……え、今の、女の人の声……?」


「きゃあああああああああ!!!!」


「りょ、リョウコうるせぇぞ! お、俺はそんなのこっ、怖くないんだからな!?」


「“ワタシノコト オボエテイナイノ……?”って、言ってるけど」


「助けて怖ぇええええええええ!!!!」






 きっと数十分が経ちましたが。マヒル達の前半組も、こんなに時間が経ったのだろうか。――絶対経ってない気がする。

 普段ならば数分で通り抜けられる一本道なのに、此の三人が度々立ち止まるからなかなか進まない。ユウヤには色んな方向に引っ張られるし、怖がってなかなか動かないカイトとカトウを促すのも大変だし――誰か、僕を助けてくれ。


 けど。



「はぁ、はぁ、はぁ……」


 マジ泣きで僕の腕を絞めるユウヤと、


「は、ははははは、俺は別に怖くねぇぜ……?」


「わっ私だって怖くないわよ!?」


 笑えていない笑顔で此方を見る二人を見ると、――自分より彼等を助けて欲しくなるな。今は落ち着いてるから、このまま神社に着ければいいな。さっきカイトが驚いていた看板――ただの看板に驚くくらい怖いんだな――を見るところもう少しだ。

 しかし何がそんなに怖かったんだ……? 人口だって分かってるんだから、そんなに怖がることはないだろう――



 べちゃ。



 ――に。……あ。



「「ぎゃあああああああああ!!!!!!」」


「きゃああああああああああ!!!!!!」



「落ち着け馬鹿野郎共!!!! 誰だ最後に白滝しかけた奴ァ!!!! 俺の前に出て来やがれってんだ糞野郎が!!!!!!」



 このままゴール出来ると思ってたから、ついマジギレした。











「お、お疲れ」


 マヒルだ。色々凄い叫び声が聞こえたが、一番凄かったのは最後の怒号だった気がする。ハッキリと聞こえたが、アサキのリミッターが最後の最後で切れたらしいな。

 全力で四人――主にアサキ――の心配をしていた俺等は、帰って来た四人を目の当たりにして――ただただ苦笑いをした。


「マヒル兄ィいいいいいいいい!!!!」


 まぁ、まずはユウヤに飛び付かれた。


「怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かった怖かっ――」


 ユウヤの方が怖いわ。



「俺様は別に怖くなかったぜ!」


「私もそうでもなかったわ!」



「“ワタシノコト オボエテイナイノ……?”」


「「ゴメンナサイィいいいいいい!!!!」」


 強がるカイト君とリョウコちゃんに酷いカウンター攻撃を加えるアサキ。声のトーンまで上げて何を言うか此の弟は、つーかそんな声聞こえたっけか……?(※デッキを蹴ってしまったので聞こえなかった)


「もう疲れた、帰りたいもん」


 未だ騒ぎ散らす三人の間を擦り抜けて、神社の境内に座り込むアサキ。すっかりふて腐れてしまったらしい、だが俺から見ればただの可愛い弟だな、やべえ弟達可愛い。






「ねぇねぇ皆」






 一瞬ドキリ、としてしまった。べ、別に悦ってたからじゃねぇぞ、畜生。

 だってその声がすんごくいきなりで、――至極澄んで聞こえたから。



「このまま脅かされっぱなし、って、嫌じゃない?」



 そう言ったのは怪談クイーンことモモちゃん其の人で。や、お前脅かされるも何も、怖がってねぇじゃん――そんな皆の疑問は代表して俺が心に留めておこう。


「ど、どういうことなの……?」


 恐怖の名残から未だよく脳が回らないのか、俺は薄々気付いたことをリョウコちゃんが尋ねる。



「今度は私達で、――二人を脅かそ、って話だよ、リョウちゃん」


 どんなに大人しい子でも、ひとつくらいリミッターが外れるものがあるというけれど、モモちゃんにとってはどうやらホラーがそうらしい。

 二人を――て、セツとウミをか? モモちゃんの被っている三角帽子が、良い感じに表情に影を作っていた。



「良いですね、俺は賛成です」


「僕の徒労を味合わせてやる」



 即座に案に乗ったのは、キレたら絶対に恐怖以上の何かでさえ凌駕するような二人だった。アスカ君にアサキ、か、ほらアスカ君見てみろよ、あんな良い笑顔するアスカ君なんて滅多に見られねぇぜ?



 ――この調子だと結局、皆乗ることになるんだろうな。中坊の知恵がどう出るか――だなんてナメたことは考えない。



「何分だ?」


「二十分は欲しい」



 先程までやる気の無かったアサキがそう即答するもんだから、つい吹き出してしまった。二十分、ねぇ?

 引っ付くユウヤを引き剥がし、俺はやれやれと先程やってきた道へと戻っていく。そっちに行けば、確実に二人に会えるからなぁ。


 時間稼ぎくらい、受け持ってやろうじゃねぇか。






 本物のパーティーは未だやってねぇが、序章(プロローグ)からさあ、――アンコールといこうか。




後編書いたのに、まだ続くハロウィン話。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ