表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/500

137+ドキドキ☆ハロウィンパーティーナイト!!/中編


「――という訳で! “ドキドキ☆ハロウィンパーティーナイト!!~季節外れの肝試し大会!!?~”を始めます!!」


 そんなウミの声に、約三人が騒ぐ。こんばんは、今日の保護者は俺一人だと思っているマヒルです。

 騒いでいるのは勿論我が弟の吸血鬼と、前が見えないミイラ男とアレ、俺と同い年なはずの銀髪野郎だ。


「楽しみだな、マヒル!!」


「嗚呼そうだな」


 お前怖いの駄目だろうが。



「では此の大会の優勝チームには、ハロウィンに因んでお菓子詰め合わせセットと、一日絶対悪戯券をプレゼントしまーっす!!」


 悪戯券は此のメンバーにだけ効くらしい。別名・絶対服従券。


「……」


 俺はアサキを盗み見たけど、全くの無反応。――お前にその券を持たせるのが一番危ないと兄ちゃんは思ってる……!!


「――何?」


「いや、何も」


 言わないけどな。


「さってさて! チーム分けをしたいと思います! はいマヒル!」


「ん」


 ノリノリのウミに渡されたのはちっさい箱。どうやらくじ引きの箱らしい。


「計八人分だから、二チームに別れるようになってるわよ?」


「八……?」


 ちょっと待て、此処には人が十人じゃないのか?


「私とセツは今回脅かし側だからね☆」


 嗚呼そうかい。


「通りで怖がりのお前等のテンションが高いわ――」


「怖がりはセツだけでしょ? 私は別に怖くないわよ」


「……」


 この意地っ張りは何時になったら認めるんだろうな……。


 十分後からスタートね☆ と残してウミとセツはうきうきと闇の中へ消えていった。――あいつ等大丈夫かな――驚かす側って、案外怖いらしいんだけどな。







 役立たない年上が去ったので。


 一度振り返ってみよう。

 周りには俺よか小せぇ餓鬼共が七人。何故俺を脅かす側に回してくれなかったんだかな……。ちなみに居るのは――吸血鬼、ミイラ男、魔女っ子×2、雪女、雪男に一般人。逆に一般人が浮いてる気がするが……まあ、アサキだしな。

 前半四人は誰だか話したが、途中の雪男女は――


「うわー、ユキちゃん似合い過ぎだろう」


「そうかい? 私は女の子じゃないんだがね……」


「アスカ君、暑くない?」


「暑いですね」


 ――という訳だ。ユキ君が雪女、真っ白い長髪に真っ白い着物という、マジに場違いな格好をしていた。アスカ君はただただ厚着。北極に居そうな――もふもふしたコートのフードも被って。……でもアスカ君そんなに身長が無いから、本当にただの厚着の人みたいだな。成長途中だと普通じゃねぇか。ウミの野郎、会ったことない奴等の服なのによく作れたな。しかも一週間で。



「ねぇ兄貴」


「んぁ?」


「僕思ったんだけどさ」


 そして一般人が俺の横で呟く。



「――肝試しに勝ち負けってどーよ」



 ――凄く最もな意見を。


「まあ、勝ち負けの基準は……ウミが決めんだろ?」


「……そっか」


 という訳で、俺は冷静に安全対策を考える。其れから考えついた案を頭に、どうか俺とアサキを違う組にしてくれと神様に願ってから、俺は餓鬼共とくじ引きを進めた。










 前半組。


「ユキ君、こういう場所ってお化け出るんですかね」


「さぁって、私にはよく分からないが……どうなんだろうね?」


「マヒルお兄さんは暗いのとか大丈夫なんですかー?」


「嗚呼、全然平気だわ」


 ユキ君、アスカ君、モモちゃん、そして俺、って訳だ。

 先陣を切るは雪女、さっきからただただ厚着なアスカ君と話しながら進んでいる。個人的にモモちゃんは怖がるのかな、と思っていたんだが――



「怖いっていったらごーすとしっぷですよねー」



 ――さっきから此の子ホラー映画の話しかしてないわ。


「マヒルお兄さんってホラー映画とか見ますー?」


「あー、個人的に好きなんだが、あまり見れないんだよな……バイトとかで見れなかったり……」


「そうなんですかー、今度DVDお貸ししますよー」


「マジ? 其れは嬉しいな」


 やべぇ、此の子良い子だ。



「マヒルさん!!」


「ん?」


 四人の中で唯一肝試しを楽しんでいると思われるユキ君が俺を呼ぶ。お、何か怖いモンあったのか?



「今顔に何かぬるっとしたものが当たったりましたよ!」


 ははっ、そりゃ定番の蒟蒻か何かだろ。やっぱりユキ君はちゃんと楽しんでるみたいだな、進んでライトを持っただけあるな。



「其れがですね、蒟蒻だと思って捕らえてみたら、まさかの糸蒟蒻でしたよ!」



 捕まえたのかよ。そして糸蒟蒻かよ。



「マヒルお兄さん、此れ、何でしょう?」


「多分マネキンの顔だろ」



「わー、凄いー、炎が浮いてるー」


「わお、本当だね! どういうシステムになっているのか、是非とも聞きたいところさ!!」


「――うん? 今女の人の声しなかったか? しかも近付いてきたかと思いきや消えた……」


「あ、すみません、俺が今足元にあったデッキ蹴って止めちゃったみたいです」



「あ、ユキ君! 今度は白滝だよ!!」


「白滝だって!? 冬には美味しいね!!」




 前言撤回。此れ、肝試しじゃねぇわ。








 最終目的地に着けば、セツとウミが待っていた。


「お前等少しは怖がれよ!!」


 セツに怒られた。仕方ないだろ、怖くないものは。

 ウミも多少落ち込んだのか、後半組を驚かす為にとぼとぼと戻っていった。……なんかスマン。



「後半組、大丈夫かなぁアサキ君」


 そしてふと、モモちゃんが呟いた。……アサキは全然平気だろ? お化けなんざ怖がる奴じゃねぇし。



「ですねー、ユウヤもカイリ君も怖いもの駄目ですしね」


「うん、リョウちゃんもそうだからね~」


「ははっ! 素晴らしい組分けだね!!」




 ――嗚呼。

 とりあえずアサキ、頑張れ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ