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132+情報収集。/後


 引き続くユウヤです、学校帰りです。あの後他に誰が居るかと考えて、独り三組なリョウちゃんのところに行きました。


『え、高校? そんなことよりヒコクアサキは大丈夫なの? 早退したんでしょう? ――は!? 別に心配したっていいでしょ!? 友達の心配をしてるのよっ、悪い!?』


 ――けれど弟の仮病の所為で全く話が聞けなかった。畜生、リョウちゃんって仮病に気付けないんだろうな。あの棒読みにも引っ掛かるんだろうな。


 という訳で、アスカもアサ君も居ないんで一人淋しく下校と洒落込んでいるのさ。お見舞いの為にカイト君の家に向かってるけど、アサ君まだカイトん家に居るかなー?


 ぴーんぽーん。


 インターフォンを長押しして早数秒。中からどたどたと音がする。ウミさんかなー。――それにしても俺の周りの人達って滅多なことじゃインターフォンを活用しないよね(※自分含む)。


 ガチャ。


「はい」



 ……。



「「あ」」



 正直吹き出しそうになったよ。




「――どう思うよ、双子の弟に違うお宅で出迎えられるこの様」


「僕だって同じ気持ちだよ」


 まさかアサキが出て来るとは……!


 数秒二人して固まって、直ぐに訳を話したアサ君。どうやらウミさんがお買い物に出ているらしい。



『あらアサキ君! カイちゃんのお見舞いかしら? 確実に未だ学校の時間だけど、お姉ちゃんはカタいこと言わないわよん』


『それは助かります、でも別に見舞いじゃ――』


『しかもちょうど良かった! 今からお買い物に行こうと思ってたんだけど、アサキ君が居てくれるなら安心ね!』


『え、ちょ――』


『それじゃあカイちゃんのこと宜しくね! 多分寝ちゃってると思うけど』


『……はい』



「――という訳」


 勝手にリビングに通されて、アサキの話を聞いた俺。どうやら話の通りカイト君は寝ているのか、リビングにはアサ君が相当頑張って暇を潰した跡が残っていた。


「ウミさん、いつ出掛けてったの?」


「午前中」


 ――もう放課後なんだけどどういう。

 そりゃあ暇になるわなー、俺だったら寝るな、寝る。

 何だかんだ任された仕事を放り出せないアサ君だもんね、カイト君を起こす訳でもなくげっそりしてる。ていうかウミさんどうしたよ。



「ねーちゃーん……?」



 ふとリビングの扉が開いた。どうやらカイト君が起きたみたいだ。アサキの話を聞く限り大分長時間安眠なさった様子だね。


「あり、何故にお前等が俺ん家に居るんだ」


「「お邪魔してます」」


 普段とあまり変わらないけど、少しだけ顔の赤いカイト君に事情を話すと、その場でぐったりと倒れた。


「えー、ねーちゃん居ねぇの? 腹減ったから何か食いたかったのになー……ユウヤ何か作って」


「え? うんいいよ?」


 ソファでぐったりしながらジタバタするカイト君からそう要望されたので、俺はあっさりと立ち上がってキッチンに向かった。


「食欲あるなら平気じゃないの?」


「んー、俺様は元々大丈夫だー」


「黙れ病人」


「そんなこと言っちゃってー、俺が学校休むと毎回来――」


「別に見舞いとかじゃないから。貴様が熱に浮かされて弱っているところを嘲りに来てるだけだから」


「ちょ、酷、全力で酷ぇ」



 リビングからのそんな微笑ましい――え、微笑ましいでしょ?――会話を聞きながら、俺は適当に見繕った材料で何を作ろうかと考えていた。


 何か平和だなぁ。こうやって平和が続いてると、何か高校のことなんてどうでもよくなってきちゃったぜ!

 ――でもそれはダメダメ。ユキちゃんを見習って、急がなくても良いから、勉強だけでもしなきゃ!


 結局、そんな結論にたどり着いた一日だった。中途半端な結論だけど、其れが俺だからね。
















「ユウヤ、知ってる?」


 何やら長時間に渡って買い物に出掛けていたウミさんが帰って来てから、俺達は家に帰ることにした。カイト君、元気そうで良かったよ。


「え、何が?」


「受験とか考えるのは良いことだけどさ」


「うん」






「――来週、テストだよ」






 ――うわああああああああ!!!!


 全力でテスト勉強をしよう、そう誓った瞬間だった。

 平和なんて訪れねぇよ!!




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