131+情報収集。/前
こんにつは、別に間違えてないよこんにつは、引き続きユウヤです。
マヒル兄に凄く心配されながらも遅くながら受験に向けて頑張ろうと決めた俺。アサ君が一緒に頑張ってくれるはずもないんで、一緒に頑張ってくれる人、又は頑張っている人を見つけようと思います。
「おっはよ!」
とりあえず、まずは同じクラスから!
「「おはよー」」
「あ、何か久しぶりに見た」
「久しぶりとか言うなよ」
「毎日会ってるだろー」
俺の表情を見るや否やぐだーっと文句をつけてきた。ていうか真面目誰だっけ?
「セイカだ!!」
「ライテだよ!!」
「ああ、ダブル」
「「まとめんな!!」」
だって息ぴったりじゃないかよう。
「久しぶりに声かけてきたかと思いきやこの仕打ち何……?」
「はいはい、どうせ僕達はその程度の人間だよ……」
「ちょ、待って待って! 分かってるから! いや、忘れてたのは事実だけど大丈夫だよ!?」
自分達の存在理由まで考えられても困るので、慌てて宥めて本題に入る。
「二人はさ、高校とかどうするつもりでいる?」
「「高校?」」
やっぱり息ぴったりじゃないか、というかもう君達が双子なんじゃないの?
「俺馬鹿だから私立行くぜー、楽だしな」
「僕は併願で公立に行きたいかな」
しかし、此処でダブルに違いが現れた。
「え、コウスケ楽狙いなの?」
「当たり前じゃねぇか! 勉強なんかしたくねぇもん。お前こそんな頭で大丈夫なのかよ」
「失敬な! 僕だってちゃんと勉強してんだからな!!」
二人がやんややんや騒ぎ出した。何時も一緒に居ても、お互いそういう話をしたことなかったんだろうなー。
「ふーん、じゃあ二人は違う学校ってことになるんだね」
「まあな」
「うん」
なんかあっさりと頷かれたけど、そういうのって、淋しかったりしないのかな? だって俺、皆と別れるの嫌だもん。
「ま、ソウとは何時でも会えるしな」
「だよね、家近いし」
そんな俺の考えは何のその。はっはっは、と素敵に笑い飛ばしてくれましたよはっはー。
「一緒が良いなんて皆そうだろ、だけど別に皆と一緒じゃなくたって……なぁ?」
「ねー」
「……」
ダブルが実は大人なことを知った。
「「まとめんな!」」
「それでこそ君達☆」
二組は聞き終わったから一組に行こう! ちなみにアスカは今日休みだ。流石アスカ、久しぶりに休みやがった。人が話したい時に居ないのがアスカクオリティ……!!
一組といえばカイト君、さってはて、カイト君はいずこー?
「嗚呼、カイリなら休みだよ?」
アノヤロウ。
そうニコニコと教えてくれたのはユキちゃんでした。どうやら新型のインフルエンザにやられたらしいです。――本当に免疫力ねぇなカイト君。かかれる病気はとりあえずかかっとけみたいなことなのだろうか。
「じゃ、ユキちゃんに聞くー」
「おや? 私で良いのかい?」
ユキちゃんと俺とじゃ知能指数的な問題で聞いても分からなそうだから聞かなくて良いかな、と思ったんだけど。聞けるなら聞いとこう。
「ユキちゃんって高校とかどうするの?」
「え? 未だ決めてないが?」
あら。意外な答えだった。
「え、決めてないの……?」
「勿論だとも! 私は専ら興味無いね!」
この人実は駄目人間なのかもしれない。アサキと一緒じゃないか。
「けれど、何時どう転ぶかは人生分からないから、勉学は怠っていないよ」
「え?」
「日々精進さ。どれだけ蓄えても、困ることなど無いのだから」
「……」
「一日一時間、いや、三十分程度かな……? 私は時間を決めてやっているよ」
――真似出来ねぇ……!!
ふぅむ、決定する前にまず実力を付ける訳か……。決定も実力もアレな俺、どうするよ、俺……!
やはりユキちゃんと俺とじゃ頭の出来から違うみたいだから、もう少しレベル下げよう。下げようって言ってから話し掛けるのは失礼過ぎる気もするけど、とりあえず心の中だけで謝って次に行く。
「モーモちゃーん!」
「は~い」
ごめんなさい――よし謝った。
クラスの中でふにゃふにゃしていたモモちゃんを発見、ふにゃふにゃしたまま此方に来てくれた。
「ごめんね、お友達と話してた?」
「ううん、大丈夫だよー? よく分からない話を上手く聞き流してただけだからー」
問題発言だよ、モモちゃん。
「それでユウヤ君、どうしたの?」
「あ、えっとねー――」
高校についての下りとか、勉強の下りとかをモモちゃんに言ったら、モモちゃんは何時もと変わらない笑顔で、
「全然考えてないよ~」
と言われた。
やっと見つけたよモモちゃん、俺は君を探していた……!
「まだ実感が沸かないっていうのもあるんだけど、やる気が起きないのが一番かな……」
「モモちゃん、ぐっじょぶ」
「学校から帰ったら、ご飯食べて本読んでたまに弟と遊んだりして寝るの。勉強する時間なんてないよー」
うんうん。俺だっておんなじだよ。
「――だけど、も少ししたら頑張ろっかなって」
「あ、俺と一緒」
「わ、ユウヤ君と一緒なの? だよね」
ほやほやと駄目人間同盟が結成されそうになりながらも、俺な内心本当に安心していた。皆もう頑張ってるのかなー、って、追いてかれたのかなー、って。
「未だ未だ大丈夫だよ、今からだって遅くないよー」
「だよね!」
「だからユウヤ君、これから頑張れば問題なんてこれっぽっちもないよ!」
成績的にも身長的にも俺より低いモモちゃんからの助言――というか、モモちゃんは大丈夫なのか――なのに、凄く力強い言葉に聞こえる。弱々しいモモちゃんは何処へやら。
この後、何だか慌てて謝られたけど、モモちゃんって忙しいな。
「あれ、そういえばアサ君居ない」
「アサキ君なら帰ったよー?」
「ええ!? 聞いてないし!」
「さっき、『頭痛い腹痛い胃辺りが捩り曲がって取れる』――って棒読みで言いながら帰ったよ?」
野郎、仮病じゃねぇか。
「アサキなら恐らくカイリの家に寄るんじゃないか?」
横からにゅっ、と現れたユキちゃん、まあ、何だかんだカイト君休んだら毎回行ってるしね。
とりあえず、帰りに寄るかな。