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123+新学期だって変わらない。


 アサキです。


「……」


 放課後です。怠いです。


「学校、無くなればいいのに……」


「おいこら、担任目の前に何言いやがるんだテメェ」


「嫌ですよ先生、本音です」


「タチ悪ィ……!」


 会話の通り、放課後の教室にはサクライ先生も居る。何をしてるかって? ちょっとした課題を。


「お前が授業中に課題を終わらせねぇから……」


 先生がぶつぶつ言っているのを聞いてくれれば分かるように、何と此の僕が放課後に授業中の課題をやっている。珍しい。サクライ先生なのに――何故か英語の。


「仕方ないじゃないですか、寝てしまったんだから」


「寝る前にやれや、夜更かしせず早く寝ろ」


「十一時には寝てます」


「早ぇよ」


 英語の課題というのは夏休みの日記。英語で日記を書けというのが無謀だが、アヤメ先生の――


『五分あれば終わるよね』


 という笑顔にはクラス中が落ち込んだだろう。あんた、僕等中学生なんだけど、ボキャブラリが全く違うんだけど。

 しかもサクライ先生が此処に居る理由もまた凄くて、今日厳守の課題らしく全員提出をさせたいが為にアヤメ先生がサクライ先生をパシッているという情報が入っている。


「アヤメの野郎は弟の為に早く帰らなきゃらしいからよ」


 とサクライ先生は言うけど、アヤメ先生の弟ってそんなに幼い人なのか、と試行錯誤をする。まぁ、要するに僕が此れを早く終わらせれば良い訳だ。というかアヤメ先生の弟ってどんな人なんだろう。何か兄貴達との会話で色々聞いた気がするけど――あれ、思い出せない。

 


「先生」


「あ?」


「知っていますか、僕は夏休みの思い出が特にないんです」


「寂しい夏休みだなおい」


 真顔で言ったら真顔で返された。なんとボケ殺しな……。よくユウヤが言うボケ殺しとはこういうことをいうのか。


「じゃあ何してたんだ?」


「……ゲーム?」


「……ゲームだけで夏休みが終わったのか……?」


「……まぁ」


「時は金なり――って言葉を知ってるか?」


「はい、知識はあります」


「……」


「……」


「……」


「……」


「……書け」


「……はい」



 ごめん、先生。












「アサキー、そろそろ終わったかい?」


 数十分して。ガラッと扉の隙間からそう声を掛けてきたのは、笑顔が素面と噂高いユキだった。相変わらず笑顔だ、夏休みが明けてもお前は変わらないな……。


「もうちょっと」


「そうか。――それにしたって珍しいね? アサキが放課後まで課題を残しておくなんて」


「寝てたんだよ。それに、英語の創作文はどうも苦手でな」


「おや? 完全無欠のアサキに三度弱点だね」


 お前の中の僕は一体どうなってるんだか。


「というか、別に先帰れば良いじゃん」


「何と! そんなに淋しいことは言わないでもらいたいね。好きで待っているんだ、心配しないでくれたまえ」


「……」


 なら、いいんだけど。

 それから更に数十分でそれを書き上げて、既に暗がりになりつつある下校になってしまった。あー、英語って何であるんだろう。ムカつくから明日カイトを殴ろうかな。


 ――は、良いとして。



「――……」


「……」


 何でユキはこんなにニコニコしてるんだ……?

 いや、何時もニコニコだけども。普段の三割増しでニコニコしてやがる。何なんだ、何か楽しいことでもあったのか?


「さぁアサキ!」


「はい?」


「私と共にカイリの家に向かおうではないか!!」


 ――は?


「今日はカイリの家でお泊り会なんだ、だから行こうじゃないか!」


「待て、何その聞き覚えない話」


「まぁ言ってないからな!」


「おいこら」


「ユウヤには了承を得ているからね! さぁ行こうじゃないか」


「行こうじゃないかってあなた、ユウヤは僕の保護者じゃないから。――ってあれ、聞いてる? ねぇサキネ君、ねぇってば」


「はっはっはっはっは!!」


 畜生全く聞き耳を持ちやがらねぇ。何だよ今日に限って、何かあったっけか?


 そのまま引きずられてカイトの家に行くことになってしまったのは、言うまでもなく。


 ――何なの?




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