121+素敵な言葉。
うふふふふふこんばんはー!! 誰だか分かるかなー? 分かるかなー?
『分からねぇよ』
きっとアサちゃんならそう言うでしょうけど、正解はシユウママンです! 良い子の皆、久しぶり!!
私は夏休み中、ずーっと仕事場に泊まりっきりで働いてました。何故かと聞かれれば勿論、一週間お休みを貰う為に決まってるじゃない! 今から日曜日までの五日程度の短い休みだけど、息子達の最後の夏休みを一緒に過ごしたいじゃない? ユウ君とアサちゃんの学校は何故かお休みが長いのよね、九月まで食い込むだなんてなんて素敵な夏休みなのかしら!!
という訳で我が家に到着! 皆何してるかしら~、久しぶりの我が子に会うのが楽しみ!!
「ただいまー!!」
人間元気に行かなきゃね、まだまだ若いわ!
そうやって玄関に入れば、当然の如くリビングから出て来てくれたのはマイスウィートサン、ユウ君!!
「わ、お帰り母さん!」
其の輝かんばかりの笑顔がお母さんは大好きです……!! 何て暖かいの!! ユウ君が入ればママ太陽要らない!!!!
「ただいまユウくーん! 会いたかったわ~!!」
「うん、俺も会いたかった~!」
そのまま抱きしめても良かったんだけど、汗だくのお母さんなんて嫌よね。ユウ君と一緒にリビングに行くと、そのリビングには四つくらい人影があった。
「あ、シユウママお帰りなさい」
「……お帰りなさい」
二人は従姉弟のユウリちゃんとおー君。ユウリちゃんは笑顔で可愛いわ~、やっぱり女の子よね~、おー君は無表情だけど其処が良いのよ! 将来絶対良い男になるわよ!!
――其れは良いとして、他二人からお帰りすら言われないわね。しかも実の息子なはずなんだけど。愛する息子達にお帰りを言わたいが為にただいまを言うのに!! ショック大!!
「あ、アサちゃーん?」
「――……」
試しにアサちゃんに声をかけてみた。――あ、寝てるわ此の子。未だ九時回ってないのにソファで寝ちゃってるのね。……可愛い。
まぁ、寝ちゃってるなら仕方ないわね! もう一人の方行こう!! ええと、もう一人はキッチンに居るわね、流石家庭的大学生!! 見た目はまんま不良なのにねっ!
「まーひーる君!」
「――……」
返事はない、只の皿洗いのようだ。
むきーっ! 此の至近距離でママを無視するのね!? マヒルの癖に!! 位置的には背後に居るんだから気付いてよ! もしもしわたしメリーさん今あなたの後ろに――
「母さん、マヒル兄今イヤホンで音楽聴いてるから聞こえないんじゃない?」
居る――って、あらまホント。紛らわしいことしないで頂戴マヒル!!
「――まー君!」
だから耳元で叫んでやった。
「!? ――え、あ、母さん?」
反応薄い!
「ちょっとマヒル! もう少し良いリアクションしなさいよ! つまらないじゃないのー!!」
「洗い物をする息子に面白さを追求すんなド阿呆」
「それは確かに!!」
手を使わず器用にイヤホンを外したマヒルは的確にツッコミを入れてきた。頭良いって此れだから嫌だわ!
「んで母さんや」
「何よう」
「お帰り」
「……よし、合格」
其れが聞ければいいのよ私は。
「んみー、自宅って良いわー」
少し落ち着いて。マヒルとアサキ(※戦闘不能)を抜いて二階に消えた子供達。私はマヒルが作ったという夕食を食す。
「え、今のんみーって何、んみーって」
「其処はツッコむとこじゃないわ、流すとこよ!」
そうよ、スルーしなさい!
――しかし其れにしても、マヒルの料理美味しいわね。私より上手くなったんじゃないかしら……、あれ? 母親の面目はいずこ?
「そういえばマヒル、貴方大学は?」
「まだねぇよ、俺は中旬まで休みだし」
「あら、楽な大学ね」
アサちゃん達のとこといいユウリちゃんとこもまだみたいだし、ゆとり教育万歳ってことかしら。
「万歳!」
「何が」
「何でもないわ」
言ってみただけよ。
「ま、明日からは私が家事をやってあげるから、存分に寝坊しなさいね!」
そして此れが言いたかったのよ。何時も無理してくれてるんだから、私が居る時くらい代わってあげないと!
「へいへーい」
「返事適当!!」
相変わらずね此の子ったら!!
「――あ、母さん、後ろ」
うん? 急に後ろだなんて何?
言われて振り向いたら、さっきまで騒いでたのに全く起きなかった我が家の兵が起きたみたいでした。
「アサちゃん、おはよ!」
あ、こっち見た。
「――……」
え、……見えてる?
「うわあ」
うわあ? 人を幽霊か何かだと思ったのかな、お母さん泣くわよ。
「――お帰り」
「……うん、ただいま!」
違う意味で泣きそうになった。言われるだけで嬉しい言葉って、素敵よね!!