120*閑話+アリスパロで続きます。
100の続きです。
暫くはこれで続きます。完結するのか全く分からない。そして原作知っていた方が良いかもしれない←
アリスがやる気ないのはどうしよう(・∀・)
アリスは白兎の後を追います。体力がない癖に足だけはやたら速い白兎は、どんどんどんどんアリスの前を行きます。
「ちくしょー、スカートじゃなければ追い付けたのに」
アリスのそんな呟きもありましたが、そう呟いたところでアリスの洋服が変わる訳でもありません。水色のエプロンドレスを翻し、しかし女の子とは思えないスピードで白兎を追いました。いや、ていうか寧ろもう女の子じゃないですから、嗚呼、そう、アリスはアリスなのです。
適当にまとめたところで、徐々に白兎との距離が縮まっていることに気付きました。
「流石は運動不足、体力無しだな!」
アリスはしてやったり顔で白兎に叫びます。しかし白兎はお構いなしに走り続けるのでした。おかしな奴、そりゃあ前からおかしいけどさ、そう割り切って距離を徐々に徐々に縮めていけば、――ふと、白兎の姿が消えてしまいました。
「……あっれー?」
しかし、速めた足は急には止まらないのが条理という訳で。アリスは己の足が赴くままに小走り気味にスピードを緩める――のですが、何か違和感が。
何だろう、アサキなら気付くのだろうか、完璧設定を忘れてくれたアリスはそう考えつつも、ひとつだけ、凄いことに気付きました。
「ああ! ――足場がないんだ!!」
もう少し早く気付くべきでした。手の平にポン、と手を置きつつ小走りを続けていたものだから、アリスは足場のないその位置にまで辿り着いてしまったのです。流石はアリス、アリスの癖にインドアなことがあまり好きじゃないからこうなるのです。アリスの頭には"慎重"という言葉がないのでした。
「――って、冷静なこと言ってる場合じゃなあああああああ!!!!!」
落下。
足場がない、要するに、――地面に穴が空いているのです。落とし穴なんて規模では済まされない程大きく、そして深い深い穴が。
己の叫び声と共にその穴に落ちたアリスは、とにかく深く深く、その穴の中へと吸い込まれていきます。すぐに着くだろう、アリスはそう高を括っていたのですが、下を見れば――闇。そうです、アリスはまだまだ落ち続けるのです。
「え、落ち過ぎじゃね? 落ち過ぎじゃね? これブラジルまで行くんじゃね?」
決してここは日本ではないのに、アリスは何やらふざけたことを言っています。アリスったらお茶目さん☆
「あ、でも重力は下にだからー……あ、死ぬな!!」
再び冷静に考え直すものの、アリスは知的という言葉が世界で一番似合わない人間です。単細胞な意見を爽やかな笑顔で出せば、慌てることが面倒になったのか、そのままなるがままに身を任せました。
どれくらい落ちたのでしょうか、アリスはズドン、という効果音と共に動きを強制停止されました。
「い、痛、俺死んだよ絶対」
あれだけ落ちたのにアリスは死にませんでした。そりゃあお伽話の世界、死んでもらっては困ります。
アリスは複雑な態勢からあっさり立ち上がり、何もないそこを見渡しました。すると、遠くに見たことのある後ろ姿を見つけ、アリスは一言、
「見つけた白兎ィ!!!!!」
と、男らしく叫びました。いや、アリスはアリスです。
誰に言われるでもなくスタートダッシュの如く走り出したアリス。遠くの白兎はこちらに気付いていないようですが、もしこれに気付いたらかなり引く速さです。流石はアリス、エプロンドレスを着てその速さを保てるのはこのアリス、君だけでしょうね。
「待てゴラァ! 俺をこんなとこに落としやがって!!」
落ちたことの責任すら白兎に押し付けて、アリスは走ります。本当にこいつはアリスなのでしょうか。
暫く走ったことでしょう、いつの間にかアリスは、白兎の姿を見失ってしまいました。辺りを見回してもあるのは複数の扉のみ。まさか白兎は、この複数の扉のどれかに入ってしまったのでしょうか。
「捜せってか? 白兎大捜査線かこんちくしょー」
ぐちぐちと文句を漏らしながらも、アリスはひとつの扉に手をかけました。しかしその扉は開きません。鍵がかかっていたのです。アリスは次の扉に手をかけます。しかしそこも開きません。アリスはそれを数十回繰り返しましたが全然開かないので、怠くなって手をかけることすら止めました。
「何で閉まってんのさ、これじゃあ物語が進まないよ」
相変わらずの裏設定トークもさておき、アリスはその部屋にあったテーブルセットの椅子に座りました。どうやらアリスは疲れてしまったようです。そのままぐったりと机に伏して、
「疲れたー、俺帰りてー、うち帰って寝るー」
と完全なるホームシックになってしまいました。目をつむりそのまま動かないアリス、もしかして寝てしまったのでしょうか。起きてアリス、そして机の上の鍵とビンに気付いて、ついでに言えば近くにある小さな扉にも気付いて下さい。
しかしそうはいかない可愛いアリス、すーすーと寝息を立てて眠ってしまった。
――え、このままで大丈夫?