118+夏の終幕。
「アサキの馬鹿ああああああ!!!!」
そう言ってアサ君に縋り付いているのは珍しく俺じゃなくてカイト君。こんばんはー、やっと皆で合流しましたユウヤです。
「一人寂し過ぎる! 皆がきゃーきゃー遊んでるのに何で一人で……馬鹿あああああ!!」
「いや、完璧自業自得じゃん……嗚呼もう、悪かったってば。悪かったって」
カイト君がうざ過ぎて軽くあしらっちゃってるよアサ君。
何があったか、ってより、皆でまたこうして会えたから良かったよね。皆何だか楽しそうだし! 勿論俺はすんごい楽しかった! 神輿を追い掛けるのがすっごい楽しかった!!
「お姉」
「うん、何だいオトワ!」
「アサキお兄に、相当奢って貰った」
「え? そうなのか? 後で礼言わなきゃな……」
「多分、請求が来るよ」
「マジ? まぁ、仕方ないっか。オトワどれくらい食った? ……ってオトワ? 何で視線を逸らすのさ……なぁオトワ? オトワくーん?」
……まぁ、楽しかったから良いか! 別にスルーとかじゃないから!!
やっぱり夜に友達と集まって遊ぶってすっごい楽しかった! 時間的にもう帰らなきゃなのが寂しいけど……ま、楽しい時間は過ぎるのが早いから仕方ない仕方ない。
「それじゃ、私達そろそろ帰るわね」
俺が考えたのとほぼ同時だったと思う。そう言ったのはしっかり者に定評があるリョウちゃんだった。
「今日は楽しかったよ~、またね、皆」
それに連れ立って帰るは勿論モモちゃん。疲れすら感じさせない笑みで帰っていった。
「ばいばーい! ……はぁ、可愛い子等だ。こっちに居る間にもう一回くらい会えたら良いな……」
「お姉、変態」
「えぇ!? お姉ちゃん只会いたいって言っただけだ――」
「変態」
あ、そっか、此の二人も夏休み終わったら帰っちゃうんだっけ……。夏が終わるのって、何だか寂しい。
「俺今日は帰らないからな! お前ん家泊まるからな!!」
「勝手に決めるなよ……帰れよ……」
――そう思ってはみるものの、二人見たら寂しさ吹っ飛んだよ全く。俺は苦笑して、泣きじゃくるカイト君と、さっきから「助けてよ」的視線を送ってくるアサ君の元に歩み寄った。
「いーじゃんいーじゃん! カイト君泊まりにきなよ!」
「ほらー! ユウヤもそう言ってるじゃん! 俺絶対帰らないからな!!」
「もう勝手にしてよ……」
ため息を付くアサ君。こういう時に折れるのはアサ君だよねー、大変だな此のカイト君相手にするの。寂しいの駄目駄目なカイト君。……いや、俺も嫌だけどさ。
長い夏も長い楽しい時間も、あっという間に終わっちゃうからこそ、楽しいんだもんね。
「ユウヤ、最後にじゃがバタ買って」
「え、何其の最後の頼み」
「僕何も食べてないのに出費がかさんだから」
――其処も、夏の特徴だよね。