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117+いつまでもこれは続くでしょう。


「恐らく、俺達の所為だよね」


「……」


 引き続きアサキです。さっきの場所に戻って来たら、誰も居ない。最後に此処に居たのは……嗚呼、僕等だ。


「はぐれちゃったね」


「だな」


 元はと言えば、お前が奢れとか言うから――しかし年下の身内を責めている暇はないか、誰でも良いから見つけなくちゃ……。


「アサキお兄、携帯とか持ってないの?」


「んなの持ってねぇよ。持ってる二人が今日は居ない」


 こんなことなら鍵っ子ユキとアスカ君を連れて来れば良かった。……出掛けてるから仕方ないか。

 少し待ってみたけど一向に誰も来る気配がない、時間は経つし、僕の金は減る――ひたすらオトワが食っている――から、こうなったら探しに行くか。


「オトワ、お前は此処で待ってろよ」


「うん、焼きそば食べて待ってる」


 畜生、後で絶対ユウリに請求してやる。










 モモですー。


「居ないわね……」


 リョウちゃんと一緒に皆とはぐれてしまいましたー。歩いて皆を探してみるけどやっぱり居ない、しかもリョウちゃんはとにかく、


 もぐもぐ。


 ――食べてます。


「んー、折角の浴衣も意味を成さないじゃない……」


 要するにアサキ君とはぐれちゃ意味がないって意味だね。だからって食べ過ぎだと思うんだけど……んー、リョウちゃんが良いなら良いかな。恋は盲目、って、こういうことなんだろうなー。


 もぐもぐ。


「リョウちゃん」


「んー?」


「頑張ってね」


「何がよ」












「神輿ー!!」


「て、ちょ、うおおわあああ!!」


 あ、ユウヤとユウリが人波に呑まれた。ふははー、流石従姉だな、テンションがそっくりだな。とかのうのう見てる俺だけど、あれー、どんどん二人が遠ざかって行くぞー?



「おーい!」


「うわあああああ」


「ぎゃあああああ」



 ――え、あれ、マジで流されてっちまった。あっははあいつ等迷子になるぞ~。



 ――……ん、迷子は俺、か?

















 人が多い。見つからない。歩くの疲れた。

 という諸々の理由で座り込んだ僕、もう皆居ないんじゃないかな、疲れたよ、帰っていい?


「はぁ……」


 なんて、冗談を言ってる場合じゃないか。帰るにしたって、オトワを一人には出来ない。連れ帰らなきゃだ。つか、真面目に何で見つからないんだよ、しがない旧道でやってる小さな祭りなのに。



「やっぱり、来なきゃ良かった」



 膝を抱えて落ち込む僕。何だ此れ、皆祭りではしゃいでるのに、脇道の隅でうなだれる僕って寂し過ぎやしないか。

 元々来たかった訳じゃないんだ、仕方ないだろ。そう思ってみても、誰に言う相手も居ない。最悪だ。

 畜生、何も買ってないのに金は消費するし、人混みで頭は痛いし、――意味が分からない。



「――……」



 ――まぁ、僕にはお似合いな雰囲気だろうが。











「そんな端っこで、何やってんのよ!」


 モモと歩いて皆を探してたら、ふと暗い路地に目が行った。何でかしら、そう思ったのはよく分からなかったけど、理由はすぐに分かった。


 真っ暗闇に同化するように、アイツがそこに居たから。


「……よう、カトウ」


「何よ、ようって。こんな路地に座っちゃって。ちゃんと待ってなさいよ、探してたんだからね!?」


 こっちを見たのに何処見てるんだか分からない其の目。本当に何処見てるのよ。

 モモには近くで待ってもらってる、特に聞かれなかったけど、きっとモモは分かってる。本当、あの子は凄いわよね。


「僕だって探してたよ」


「なら、何でこんなとこに居るのよ……?」


 明らかに此処は祭りの外じゃない。



「疲れたからに決まってるじゃん」



 嗚呼、そういえばアンタはヒコクアサキだったわね。自由の代名詞だったことを忘れていたわよ。

 ひとつため息をついても、ヒコクアサキは何考えてるんだか分からない目で私を見て、


「君こそ、何でこんな路地に居るの」


 とか聞いてきた。

 ――……愚問中の愚問よ!!



「アンタが居たからに決まってるでしょ!?」


「よくこんな路地に気付いたね」


「そっ、其れは――」


 アンタだからよ! ――だなんて言えないわよ!! というか寧ろ何で気付いたのかなんて自分でも分からないんだから!!



「まぁ、何でもいいや」



 しかも切替早い!!


「何か、暗い方が落ち着く――ってない?」


「え?」


「僕には、ああいう明るいところに居ることが苦痛だから」


 苦痛……? 明るいって……お祭りが? でも、自分から来たんじゃないのかしら、――あ、無理矢理ヒコクユウヤが連れて来たんだったわね。

 ということは。


「――ゴメンナサイ」


 そういうこと。

 お祭りに誘ったのは、私。一緒に行きたくて誘ったのは、私。


「私が誘ったからだよね! 私が電話でアンタ達誘っちゃったから、無理に来てくれちゃったのよね! アハハ、私ってば酷いわねー、アンタの性格少しは知ったつもりだったのに」


 そういえばそうよ、酷いことしたな……。


「あの」


 凄い馬鹿かも、私って。やばいわ、凄い自己嫌悪よ。


「別に、そこまで嫌とは、言ってないんだけど」


 好きな人のこと、全然分かってな――え?


「わ、ワンモア!」


「何で英語。だから、そこまで嫌々来た訳じゃないってば」


 ――そうなの?


「確かに祭りとかは好きじゃないけど、一緒に行こうって言ってくれた奴放っておかないって。ぶっちゃけ結構渋ったのは事実だけど」


「で、でも明るいの苦痛って」


「眩しいもん、休む時くらい此処が良い」


 え、じゃあ勘違いだった、ってことでいいのよね? ――よし。



「ねぇ。また、こういうの、誘っても……良い?」



「まぁ……気が向いたら」 


 ふ、……ふふっ、やったわよリョウコ。また誘っても良いって言われたわよ。やったわよ! リョウコにしては好成績だわ!!

 浴衣についてね感想は全く貰えなかったけど、これから結果オーライ!


「ユウヤ達の付き添い程度なら」




 ――意味は伝わってないけど!!




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