112+可愛子ちゃんと対面。
「あ! ほらユウヤ! あっち行くぞ!」
「え、うん、ってちょっと待ってよー!!」
こんにちはユウヤです。今日は、……いえ、今日も! 俺はユウリに振り回されています。昨日はショッピング、一昨日は無意味に俺達の学校、その前は何処に行ったっけなぁ……。
ちなみに今日はデパートに来てるんだよね、でもただただ振り回されてる感じだよ。此の俺が珍しい。
車で来た訳だからマヒル兄、其れにたまにはってアサ君とオトワも連れて来たんだけど、
「僕等、此処で待ってるから」
とか何とか言い腐ってからに居ません。あの薄情な弟ー、フードコーナーでたむろうって何歳だよ!!
――どうせ十四歳です、とか普通に言ってくるんだろうな……まぁ良いや。
「あら? ヒコクユウヤじゃない」
――と、内心愚痴てれば聞こえてきたのは聞きなれた呼び方。振り返えらなくても誰だか分かるねー。
「あ、リョウちゃんじゃん」
「私で悪かったわね」
うん、だと思った。リョウちゃんは何時もな態度でフイッ、とそっぽを向いてしまった。うん、アサ君連れてきちゃおうかな。
「ユーウーヤー! ――あり、何其の子?」
何処かに旅立っていたユウリも帰って来て、早速リョウちゃんに目を付けた。うわー、リョウちゃん超怪訝そう。
「何何ー? この可愛い子ちゃんユウヤの知り合い?」
「か、か、可愛い子ちゃん!?」
ケロリ、と言うユウリ、真っ赤になるリョウちゃん。
ユウリは可愛い子大好きだからなー、モモちゃんとかに会わせたらどんな反応すんだろ。
「うん、学校の友達」
「へぇ、ユウヤ、アンタ彼女作るならこの子くらい可愛くないとあたし許さないからね」
お前に何の権限があるんだユウリ。
「わ、私可愛くなんてないわよ!」
「えー、超可愛いし! アサキとユウヤの次くらいに可愛い!!」
「男に負けた!?」
「女の子に勝っちゃった!!」
流石の俺もちょっと複雑!
「まぁあたしの可愛子ちゃんランキングの一位はダントツでオトワなんだけどな!!」
「結局男じゃん」
ブラコンじゃん。
「……で、あなたは誰なのかしら……」
家族で出掛けている最中らしいリョウちゃんが落ち着いて、ユウリについて改めて質問してきた。遅いけど。
「あたし? あたしはユウヤの彼女です」
「え!?」
「リョウちゃん、嘘だから」
「冗談です」
「紛らわしいわよ!!」
「本当はアサキの彼女でした」
「な、何ですって!? 本当なの!?」
「リョウちゃん、此れも嘘だから」
「事実です」
「紛らわし――え、やっぱり本当なの!?」
「冗談です」
うわー、完璧ユウリペースだ。でもアサ君の彼女って部分のリョウちゃんの反応が半端ねぇよ。
「うふふへへ可愛い子虐めるの楽しい」
従姉の妖しい癖を知った瞬間だった。
「じゃあオトワも虐めてるの?」
「え? オトワ虐めたら泣いちゃうじゃん、……あ、泣いたオトワを慰めるのも良いなぁ……」
改めて変質者だこの人。
「てかアレなんだよ、オトワは泣かないよ、虐めても反応ねぇんだよ」
「ああ……何か分かる」
オトワだもんね……。寧ろ虐め返してきそうだよね。
「――で!! 本当のところ、あなたは何なの!?」
あ、リョウちゃん忘れてた。
このままじゃ話が進まないので、俺は簡潔に説明を入れた。
「――へぇ、従姉の子だったの」
「おう! あたしクガユウリ! 夏休み中はユウヤん家居るから宜しくなー?」
「ええ、宜しくね。私はカトウリョウコ」
リョウちゃんは大人の対応みたく笑顔で言った。ユウリはにっこにこ、さっきまでのやりとりが嘘のように二人は笑っているよ。……微笑ましい限りだ。
「リョウコか! じゃあー、リョウでいいな、あたしのこともユウリで構わないからな?」
「え、ええ、分かったわ」
そんな感じの会話の後、リョウちゃんは家族の元に戻っていったらしい。俺達も戻ろー。
「んー、リョウ、か……」
「リョウちゃんがどうかしたの?」
「――可愛い」
「もう何でも良いや。あ、今度お祭りあるんだけどリョウちゃん達も来るよ」
「行く! あたしも行かせろ!」
「あーい」
ははっ、どうなんだろ。