111+快適な夏休みを過ごす為には。
「マヒルお兄、アサキお兄、ちょっと良い?」
「んぁ?」
「……」
アサキです。自宅です。クーラーって涼し過ぎです。従姉弟であるユウリとオトワがうちに来てから数日が経つけど、ユウリはユウヤと何処かに出掛けてます。正確にはユウリに振り回されて、ユウヤが連れ回されている状況だけども。
リビングでとにかく涼んでいる僕と兄貴の元に、オトワが参上した。何やら冊子を片手に。ちなみに柄の悪い返事をした方がマヒルです。
「宿題が分からないの」
「……偉いなぁ、もう宿題やってんのか? 姉ちゃん面目丸潰れだな」
まぁ姉ちゃんは遊び行っちゃってるからな。
「先にやって後でのんびりした方が楽しいって、お母さん言ってたから」
「お、ハザラさんって結構まともなことを言うんだな」
「兄貴、ハザラさんはアレでも父さんの妹だよ」
「ああ、そっか」
それで納得されるハザラさん。頭の中でもハザラさんは今も騒いでるけど、……まぁ掻き消そう。
「小学生の問題かー、俺十年近く前なんだけど分っかるかな」
「分からなかったら幻滅するよ……」
「酷いなおい」
マヒルは楽しそうにオトワの宿題らしきノートに向かっていった。僕はとりあえずそのままぐだぐだします。
「アサキー」
――はっ、寝てた。涼しいの眠くなる……!!
と、内心で騒いでみれば呼ばれていることを思い出して起き上がる。
「今寝てたか?」
「寝てないし、マジ寝てないし」
マヒルに苦笑された。ソファで寝転がってたら眠くなるだろうが。
「此れ、何だったっけか?」
どうやらまだオトワの宿題を見てやっているらしい。……うわぁ、懐かしいなこれ……未だ数学が算数と呼ばれている時代の話だし。
「こんな、だよ」
「……おお」
「さっすがアサキ」
何がさっすが、だ。小学生レベル解けないでどうすんだよ。つか僕は三年前までやってた勉強だっての。
「でも……マヒルお兄もアサキお兄も頭良いのに、何でユウヤお兄みたいなのが居るんだろう」
「「あれは神秘」」
僕だって知りたいよ、あの馬鹿野郎。
「突然変異か、若しくはなるようになった結果か」
「ん、そっか」
オトワは宿題が終わったらしく、ありがと、とひと言告げて部屋(※僕等の部屋だけども)に戻ってしまった。クーラー付いてない部屋に帰るだなんて勇者だなおい。
「今日夕飯何がいい?」
「冷麺」
「シンプルだな」
シンプルが良いよ、暑い日は。
「アサキ、お前の宿題は?」
「宿題? 終わってるけど」
「……」
早く終わらせてから遊ぶって訳さ。僕は言われなくたってやっちゃうんだよ、あの馬鹿共と違ってな。