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110+きっと都会は魔物。


「ねーアサ君」


「何」


「来ないねー」


「ね」


 アサキです、駅って微妙に暑苦しい。否、クソ暑い。

 僕と、何時もは元気だけど今日は暑さにやられてるユウヤは家に一番近い駅前に立っています。何故立ってるかって? いや、お迎えってやつです。



『わっるいアサキ! 今日寝過ごしたから明日行くわ!!』


『去ね』



 昨日の昼、昨日来るはずだったユウリからそんな電話が掛かってきた。寝過ごしたらしい。とりあえず、オトワが何故起こさなかったのかが聞きたいが、とりあえず中学生なのに一人で起きれないユウリを一喝した。

 指定席とかがある新幹線だったらどうするつもりだったんだ、公共の電車だからいいものを――。


 と、昨日はさておき。

 今日の正午に着くといった話を聞いて来たのだが、時刻は既に午後一時を過ぎていた。


「遅いねー、事故かなー?」


「ユウリめ、僕を溶かすのが目的だな? 僕という固有体を炎天下の元に置くことで脳天からじわじわと――」


「駄目だ此れ会話出来ないみたいだ」


 くつくつと怪しい笑みを浮かべる僕(※後日ユウヤ談)がぶっ倒れそうな勢いの中、


「ユウヤー! アサキー!」


 ――そいつ等はやっと現れた。そう、そいつ等とは――


「あ、ユウ――」






「――やったああああやっと会えたあああああ!!!! JR怖いよおおおおお!!!!! 何で!? 何であんなに駅に人居るの!? 改札怖いし! あたしん時だけ開かねぇんだぜ!? マジ怖えええええ!!!!」


 ――カルチャーショックに悩む田舎に住む人だった。



「改札が開かなかったのは、ユウリお姉が切符入れなかったからでしょ」



 ――それとオトワだった。


「ま、まぁユウリ落ち着きなよ」


「何をどう落ち着けって!? 何さあの山手線的なの!!」


 山手線だよ。


「一日に何本電車が来るのさ!! つーかぎゅーぎゅー詰めだっつーの!! あたしは何か!? 何かの詰め放題に巻き込まれたのか!?」


 巻き込まれてねぇよ。

 でもまあ言ってみれば、人間掴み取りに巻き込まれたんじゃねぇの。








 と、暫くして落ち着いたユウリとオトワを連れ、近くの駐車場で待機していたマヒルのところへ。


「お前等、兄ちゃんを置いて一時間何してたんだ」


 寂しそうだったけど気にせずクーラーに当たる僕。僕だって暑いんだよ、マヒルだけじゃないんだぞ、色々不満なのは。


「マヒル兄、あたし都会が怖いよ」


「早ぇよ、夏休み中居るんじゃなかったのか?」


 助手席に座ったユウリが珍しく弱気だ。オトワは普段通り表情が読めないが楽しそうだな。


「表情が読めないのに楽しそうなの分かるんだねアサ君」


 僕に類似するものがあるからな。


「でもユウリー、こっち来たら沢山色んなとこ連れてけって言ってたけど……それはどうすんの?」


「一週間くらい自宅待機してからの話だ」


 自宅じゃないだろ。まぁツッコむのも面倒だからとりあえず家に着いてからにしようと思う。


「じゃあユウリ、荷物少ない理由は?」


 ユウヤは次から次へと質問を投げ掛けている。飽きないな。しかし基本そんなことは愚問、とでも言いたいのかくるりと振り返ったユウリは、



「アンタのがあるじゃん」



 と笑顔で言っていた。

 ユウヤもユウヤで「あーそっか」とか言ってたが、……良いのか其れは。僕は知らないぞ。ちなみに今日はユウヤの私服は普通です、普通なんだから!


「アサキ、兄ちゃんはツッコむべきなのか」


「いや、スルーで」


 マヒルも同じ感じらしいがそう言ったら大きくため息をついて運転に戻った。……こいつ等相手は苦労しそうだ……。




 今年はどんな夏休みになるんやら。




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