109+様々な在り方。
こんばんは、モモです、再びなお久しぶりです。久しぶりな登場なモモちゃんは、お家でのんびりとテレビを見ています。
「うふふー」
このテレビ面白ーい。
「姉ちゃん、ホラー映画を笑って見るのやめようぜ」
弟に引かれてしまいました。
そんなこんなで私は今、愛しの弟と共にホラー映画を見ています。
「えー、だって面白いよー? あ、ほら此処なんて、此の這いずり回ってるのが面白くなあい?」
「なあい? じゃねーよ、全然だよ、這いずり回ってるの血塗れの女の人なの姉ちゃん分かってる?」
うちの弟はアサキ君並のキレのあるツッコミなんです、凄いでしょ。今度アサキ君達に会わせてみようかな。
――と、のうのうと会話をしている訳ですが。
「ねぇユズ君」
「あん?」
「お行儀悪い返事。……天気、悪いね~」
「だなぁ」
――外は嵐です。
こんばんはこんばんはりりりりりリョウコです。めっずらしく七月中に宿題やる気になったのに外が豪雨なんですけど! べ、別に慌ててはないけどさっ! 慌て過ぎて二回挨拶しちゃった訳じゃないんだから!!
「うー、雷鳴らないよねー……」
「鳴らないよ」
「何でアンタに分かるのよ」
「神だから」
ちなみに今の人類最強宣言をしたのはうちの妹です。 意味分からないわよもうーうちの妹よく分からないわよーモモの家のユズ君くらい良い子なら良かったのにー。
「無理、私はユズにはなれない。私は私、私なの」
「読心術を使わないでよ! 第一アンタはユズ君が好――」
「言ってはいけない、お姉ちゃん、人には言ってはいけないことがあるのよ」
何よこの不思議系妹ー。ユズ君が好きってのは知ってるのに何なのよ……。ていうか小学生がませ過ぎだわ!
「お姉ちゃん」
「何よ」
「遠い空から雷の音が聞こえる……」
「いやぁあああああ!!!!」
アスカです。ふふっ、空が鳴り響いているようですが、俺には特に関係ありませんね。
「所詮自然現象です」
しかしまぁ、一人っ子の俺は話す相手が居なくてつまりませんね。両親が仕事じゃあ致し方ないのですが。
こんな空じゃあアレですね、リョウコさんやアサキ君が自宅で大変そう……。――是非また見たいです。
こんばんは、かな。ユキだ。今私はアサキとユウヤの自宅にお邪魔しているのさ。カイリも共に居るのだが――帰れそうにない天気さ。
「ユキちゃんもカイト君も泊まっていきなよ~!」
「おや、いいのかい?」
「いんじゃね? 俺しょっちゅう泊まってるぜ」
カイリは節度がないのだろうな。
「夕飯も今日はマヒル兄が作るしね! マヒル兄のご飯美味しいんだよー?」
「そうそう! マヒルさんの飯はやばい美味いんだぜ~!」
ユウヤが食べたことがあるのはまぁいいとして、カイリはどれだけ此方にお邪魔しているのかが気になるところだ。マヒルさんは夏休みだからということで帰って来ているらしい、ふむ、少し夕食が楽しみだね。――というか、先程からアサキが見当たらないのだが……?
「ユウヤ、アサキはどうしたんだい?」
「アサ君? アサ君が雷の日に素直に此処に居る訳ないじゃない」
「……」
「今頃マヒル兄とキッチンじゃないの?」
「……アサキ、お前」
「五月蝿い五月蝿い馬鹿兄貴五月蝿い」
「いや、未だ何も言ってな――」
「二階に居たら音が響くんだ畜生」
「(ある意味素直だなー……)」
雨だなぁ、とリビングでのんびりしていただけなのに。
「しーろー、ただいまー」
「え? 珍しいね、お帰りなさ――ちょ、セツ貴方びっしょりじゃないですか」
「だって徒歩ってる最中に雨が」
「マヒル君にでも送ってもらえば良かったのに……」
「だーかーらー! 途中で降ってきたんだよー!!」
「はいはい分かりましたから……とりあえずタオル持って来るね、風呂沸かす?」
「勿論」
雷雨の中自宅に帰って来る自殺未遂の弟が帰宅。そんな弟を持った気持ちが分かりますか。……まぁ、可愛くない訳じゃないんですけど。
「飯!」
「セツ、貴方他宅でお世話になってるときもそんなじゃないでしょうね」
「え? そうだけど……」
「(今度、マヒル君に謝りに行こう)」
「よっしオトワ! 準備は出来たかー?」
「出来てるよ、持ってくもの特にないし」
「じゃあアレだな、お前が準備するのは健康な体だ!」
「……お姉には何時でも備わってるね」
「あたしが馬鹿だと言いたいのかお前は!!」
オトワです。……明後日のことなのに、お姉が五月蝿い。
「都会は楽しみだな~」
「別に、楽しいもんじゃないと思うけど……」
「まーまー♪ 宿題も持ってってあっちでやるんだからな? オトワのはちゃんとあたしが鞄に入れたし!」
何時入れたの。
「今日はもう寝るだけだな、よーっし、じゃあお休み!」
「……うん」
元気なお姉だ。俺には無いよそんなの……。だからお姉なんだけど。
色んな兄弟の在り方。