105+さーさーのー葉ーさーらさらー。
「よーし、ここでいいかー?」
「おっけーだよマヒル兄ー!!」
自分の部屋からリビングに降りて来たら、其処には何故かマヒルが居ました、アサキです。何で居るんだ馬鹿兄貴。しかも庭に繋がる窓全開にして外出てるし……何してんのこいつ等。
「ねぇ……何してるの?」
「おうアサキ、ただいま」
「お帰り。――はいいから。何外出てるのさ、……って其れ……」
兄貴は外で何かを持って突っ立ってる。……嗚呼、そういえばそうか。
「さぁアサ君分かるかなー?」
「笹」
「正解!」
そりゃ分かりますよ、短冊までぶら下げてくれちゃってりゃあな……。僕は兄貴につられて庭に出て、何処から持って来たのかはあえて聞かない方向な笹を見た。――今日は七夕だったらしい。
「短冊なんて子どもじみたことを……」
「俺達は未だ子どもでしょーよ! ほらほらっ、アサ君も書いて書いて!」
そう言って短冊を渡して来ました我が兄貴。別にないよ、願いなんて。
「……というか、短冊多くない?」
「学校で皆に書いて貰ったの吊したー」
何やらしてんだ馬鹿野郎。テスト終わって気が抜けたから皆書いてくれたんだろうな……。……どれ、暇潰しがてら皆の短冊を見てみるか。
『今年の夏休みの宿題が少なくありますように』
切実だな。
というか七夕に対して何とピンポイントな願い。
「それはカイト君だねー、裏に名前あるから」
「あいつは所詮、ただの馬鹿だったという訳か……」
「アサ君酷ぇ」
すぐ隣の短冊を見ると、『夏休み宿題教えて下さい』と書いてあった。確実に僕宛てじゃねぇか。短冊にした意味を問いたい、つか短冊じゃねぇよ、吊すなよ。
もういい、次。
『一家安泰、健康一番』
「誰だ、このジジ臭いこと書いたの誰だ……!?」
急いで裏返してみたら、案の定というかとにかくユキでした。
「流石ユキちゃんだよねー」
「流石過ぎる」
考えることすら大人腐りやがって。
次。
『願いが叶いますように。』
「その願いを書けカトウ」
あいつは何時の間にかボケに回ったんだ。
「願い書くのが恥ずかしかったんだってー、だから遠回しな感じで」
「織姫か彦星にテレキネシスがなかったら終わりだな」
次。
『卒業出来ますようにー』
義務教育で何を言う。
「あ、それはモモちゃんだね! テストやばかったんだって」
「とりあえず明日義務教育について話してみる」
次。
『一攫千金』
此れアスカ君以外誰が居る。
『――は八割冗談で、有意義な学校生活を』
という訳で、二割本気なアスカ君の短冊でした。
――まだ数枚あるみたいだけど、僕の主要範囲の人のは見たから自分のを書きますか。
「で、アサ君何書くの?」
「まぁ、無難に――世界征服」
「全然無難じゃねぇぞ」
マヒルに笑われつつそのまま書いて、最後に『それか世界滅亡』と書き足しておいた。
苦笑いで僕の短冊を吊したマヒルと、それを侘しげに見ていたユウヤが印象的です。
僕の願いはともかく、皆の願いくらい、叶えばいいと思うよ。
なんてね。




