表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/500

104+今世紀最大の賭け。


「は? 行かないに決まってるでしょ?」


 ですよねー。はい、ユウヤです。思い切って切り出してみました祭りの話。ひと言で一刀両断されたけど。


「え~? 良いでしょ良いでしょー? アサ君去年も適当な理由つけて行かなかったじゃん!!」


「何が適当だ、唐突にゲームがやりたくなったという正当な理由があるだろう」


「その前は」


「今外に出たら確実に死んでしまう病」


「アサ君ってそういうところ適当だよね」


 俺も適当だけど、もう少し其れらしい理由ないのかな。


「とにかく、僕は行かない」


「駄目、行くの。リョウちゃんにはもう行くって行っちゃった」


「今から取り消して来い」


「いーや、取り消さない。今回は何としても連れてくんだからね」


 絶対連れてったる。アサキが何と言おうが引きずってでも連れてってやるぞー。


「来てくれるんだったら何だってするからさ!」


「じゃあ天に召されてみてよ」


「そんな軽いノリで出来ることじゃねぇよ、取り返しがつかねぇよ」


 アサキがボケに回るとボケが強烈過ぎて大変だよ。何時も思う。


「じゃあ――駄目だ、これも破壊力に欠ける」


 何考えてるんだこいつ。お兄ちゃんに頼むことじゃないこと考えてるだろ絶対。


「あ、じゃあ」


「何だい?」


「――数学のテストでお前が五十点い――」


「パス」


「……」


 次。五十点なんて取れる訳ないだろ……!!


「ユウヤさ、祭りなんか行ってないで勉強すれば……?」


「言わないで下さい、自分でも分かってますから!! 第一ね、先に言ってくれればやりようがあったってもんよ! 終わったことは悔やめません!!」


「じゃあ此れならどう? ――明日のテスト、どれでもいいから七十点以上」


 ――終わってないのに終わってる条件来た。つい硬直してしまっていると、アサキがひとつため息をついたのが聞こえた。


「無理だろ? ――僕はお前にとってそんだけ勉強しなきゃいけないくらい、祭りなんざに行きたくないんだよ」


「……」


「もう、祭りなんて二度と――」


 先を行ってしまうアサ君にどうボディーブローを考えている俺。でも何か裏があるその言い方に無理矢理なことは出来なくて。

 しかしまぁ――本当に性格ネジ曲がってるなぁ弟は。何かもう――一人で居るのが義務、みたいな感じだよね。

 ――だから。



「――分かった!!!!」



 ――そんな性格、お兄ちゃんが治してやろうじゃないか。


 大声で叫べば驚いた様子で振り向くアサキを見て、アサキがよくやるニヤリ、と言った笑みを見せてやった。


「明日のテストで七十、だね」


「……出来ると思ってんの? 明日、英語と国語だよ?」


「アサ君がいっつも言ってんじゃん、中学のテストなんて、一夜で充分って」


「……」


 俺はアサキのお兄ちゃんなんだもん、血の繋がり上、あの天才的頭が俺にだってあるはず。


「て訳で、今日のご飯は作れないからね! そんじゃ!!」


 脱兎の如く走り出せば、俺は歩いてきた方向に走り出した。きっとアサキは唖然としてるんだろうなぁ……。



 前回のテストは国語と英語双方四十点代。アサキはどっちも八十点代だったかな? だけどアサキ以外にだって英語八十点代取ってる奴くらい居る。恐らく徹夜で付き合ってくれる、英語だけなら頭良い奴が居るんだから!

 今からなら大分時間がある、絶対取ってやる、七十点を指定したことを後悔させたるわぁ!!!!





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ