104+今世紀最大の賭け。
「は? 行かないに決まってるでしょ?」
ですよねー。はい、ユウヤです。思い切って切り出してみました祭りの話。ひと言で一刀両断されたけど。
「え~? 良いでしょ良いでしょー? アサ君去年も適当な理由つけて行かなかったじゃん!!」
「何が適当だ、唐突にゲームがやりたくなったという正当な理由があるだろう」
「その前は」
「今外に出たら確実に死んでしまう病」
「アサ君ってそういうところ適当だよね」
俺も適当だけど、もう少し其れらしい理由ないのかな。
「とにかく、僕は行かない」
「駄目、行くの。リョウちゃんにはもう行くって行っちゃった」
「今から取り消して来い」
「いーや、取り消さない。今回は何としても連れてくんだからね」
絶対連れてったる。アサキが何と言おうが引きずってでも連れてってやるぞー。
「来てくれるんだったら何だってするからさ!」
「じゃあ天に召されてみてよ」
「そんな軽いノリで出来ることじゃねぇよ、取り返しがつかねぇよ」
アサキがボケに回るとボケが強烈過ぎて大変だよ。何時も思う。
「じゃあ――駄目だ、これも破壊力に欠ける」
何考えてるんだこいつ。お兄ちゃんに頼むことじゃないこと考えてるだろ絶対。
「あ、じゃあ」
「何だい?」
「――数学のテストでお前が五十点い――」
「パス」
「……」
次。五十点なんて取れる訳ないだろ……!!
「ユウヤさ、祭りなんか行ってないで勉強すれば……?」
「言わないで下さい、自分でも分かってますから!! 第一ね、先に言ってくれればやりようがあったってもんよ! 終わったことは悔やめません!!」
「じゃあ此れならどう? ――明日のテスト、どれでもいいから七十点以上」
――終わってないのに終わってる条件来た。つい硬直してしまっていると、アサキがひとつため息をついたのが聞こえた。
「無理だろ? ――僕はお前にとってそんだけ勉強しなきゃいけないくらい、祭りなんざに行きたくないんだよ」
「……」
「もう、祭りなんて二度と――」
先を行ってしまうアサ君にどうボディーブローを考えている俺。でも何か裏があるその言い方に無理矢理なことは出来なくて。
しかしまぁ――本当に性格ネジ曲がってるなぁ弟は。何かもう――一人で居るのが義務、みたいな感じだよね。
――だから。
「――分かった!!!!」
――そんな性格、お兄ちゃんが治してやろうじゃないか。
大声で叫べば驚いた様子で振り向くアサキを見て、アサキがよくやるニヤリ、と言った笑みを見せてやった。
「明日のテストで七十、だね」
「……出来ると思ってんの? 明日、英語と国語だよ?」
「アサ君がいっつも言ってんじゃん、中学のテストなんて、一夜で充分って」
「……」
俺はアサキのお兄ちゃんなんだもん、血の繋がり上、あの天才的頭が俺にだってあるはず。
「て訳で、今日のご飯は作れないからね! そんじゃ!!」
脱兎の如く走り出せば、俺は歩いてきた方向に走り出した。きっとアサキは唖然としてるんだろうなぁ……。
前回のテストは国語と英語双方四十点代。アサキはどっちも八十点代だったかな? だけどアサキ以外にだって英語八十点代取ってる奴くらい居る。恐らく徹夜で付き合ってくれる、英語だけなら頭良い奴が居るんだから!
今からなら大分時間がある、絶対取ってやる、七十点を指定したことを後悔させたるわぁ!!!!