102+夏と言えばな話題と言えば。
ユウヤですよ。ええユウヤです。
自宅に帰還しました。何をしていたかですって? 夕飯の買い出しですよ。アサ君と一緒に行こうと思ったけど行きませんでした、理由は此れです。
「――……」
――寝ちゃってる。
ソファで気持ち良さそうに寝ちゃってます。だから仕方ないので帰って来たら起きてるだろうと思ったのだが――未だ起きてないみたいですね。
まぁご飯以外で無理矢理起こすと機嫌悪くなるのでこのまま起こさないように――
――Prrrr
――バタバタバタ
「はいもしもし!?」
と思った最中電話ってどうですか!?
『もしもしこちら○○保険の――』
「うちは間に合ってます!!」
ガチャン!!
ふう、よし。保険なんか知りません、うちにはうちのやり方がある。
ゆっくりとした歩調でリビングに戻るともしかしたら起きちゃったかなー、と思えば起きてませんでした。
「ほっ。……何故俺が気にしないといけないのかアレな気分だけどまぁいいか」
仕方ない仕方ない、もし起こして気まずくなるのは俺だからね! なんか淋しい!!
「さって、夕飯作ろっかな」
折角買ってきた訳で。袋をゆっくり下ろせばキッチンにゆっくりと――
――Prrrr
――行かせて下さい。
また電話だよ、慌ててまた電話に出れば、キレ気味に「もしもし!?」と言う。勿論音量は小さく。
『あ、もしもし、カトウですけど』
「カトウさんですか、どこのカトウさんですか、知りませんよカトウさんなんて、カトウさんって世界に何人居ると思ってるんですか、そりゃ一番はサトウさんですけどカトウさんだって負けじ劣らず多いでしょう頑張れカトウさん」
『……カトウリョウコですけど何馬鹿言ってるのよヒコクユウヤ!!』
あ、リョウちゃんだった。
「ごめんよリョウちゃん、今アサ君は寝てるのさ」
『なっ、別にヒコクアサキに用があるなんて言ってないわよ!!』
「じゃあ誰に用があるのさ」
『……ヒコクアサキ』
あってんじゃん。
「起こすー?」
『い、いや良いわ! 寝かせてあげていいから!! 聞くのアンタでいいから!!』
「分かったよ、しかしアンタでいいって悲しいぜリョウちゃん」
『悪かったわね』
そうですよね、本当に恋する乙女は周りが見えなくなるんですよね、分かります。
『い、いやね!? 本当は私じゃなくてモモが言い出したことなのよ!? けどモモがどうしてもって言うから電話してるの!! 分かったわね!?』
「分かったよ、前置きはいいから本題何さ、早くしないとアサ君起きちゃってご飯出来てないとキレられるんだけど」
『随分自己中な弟ね』
そんな弟を好きになったのは何処のどなたですか。――なんて言いませんけどね、俺優しいから。
「で?」
『え? ああ、そうだったわね。あのね、テスト終わった後の話なんだけど、皆で――夏祭りに行かない?』
「夏祭り?」
テストって単語に大分テンションが下がった俺だけど、夏祭りという単語には反応。祭り――嗚呼、そういえば商店街にそんな貼紙があったっけ。
「ふーん、そういえばあったね、そんなの」
『な、何よその反応。興味ないなら無理にとは言わないわよ……!? でもアンタ達こういうの好きかなって――』
「大好きですけど何か?」
『……』
嫌いな訳ないじゃん、祭りもお祭り騒ぎも大好きだよ!!
「うん、行く行く、アサキにも伝えておくよ」
『ええ、頼むわ。……ねぇ、正直言ってヒコクアサキは来てくれると思う?』
「俺が連れて行くから安心しなさーい!」
そりゃ連れて行きますとも。リョウちゃんが一番来て欲しい人が来てくれないだなんて可哀相過ぎるでしょ。
元気にそう言ってやればリョウちゃんはまた頼むわ、と言って電話を切った。
さて、とりあえず美味しいご飯でも作ってから話を切り出そうかな。